北の大地からのアツいトーク!TechLION vol.14、北海道初開催!!

TechLIONプロデューサーの馮です。こんにちは。先日の台風18号は本当に凄かったですね。京都や大阪など関西地域への多大な被害、自然災害の脅威を改めて思い知らされました。被災された皆さまにはお見舞い申し上げるとともに、いち早い復旧を願っています。

ちょうど台風18号が北上してくる中、北の大地、北海道で初めてのTechLION vol.14が開催されました。今回、MCの立場からその模様を写真(撮影:小笠原豊さん)とともにお届けします。

北海道初開催のTechLION

日本全国津々浦々、今ではIT/Web系に関するコミュニティやイベント・勉強会が多数開催されています。vol.14の開催場所となった北海道も例外ではなく、今回は前日開催されていたOSC Hokkaido 2013のタイミングに合わせての開催となりました。会場には、OSCに引き続いてご参加いただいた来場者の皆さんも多数見られました。

会場となったのは、札幌大通公園・すすきのの南に位置する「HIPPIES SAPPORO」。鴨々川沿いにある、オシャレなライブハウス&カフェバーです。

HIPPIES SAPPORO

開始2時間前から準備を始め、18:00に北海道初となるTechLION vol.14が開演しました。

HIPPIES SAPPORO準備中

会場内

環境を変えることの重要性~ワンランク上を求めて

トップバッターを務めたのは、@mrknこと、村田賢太さん。現在クックパッドのエンジニア、そしてcRubyのコミッタとして活躍しています。北海道前後という切り分けでトークが進みました。

むらけんさん

村田さん(以降むらけんさん)は、若いときからコンピュータに触れており、インターネットコミュニティへの参加は、19歳のときKondara Poject(Linuxディストリビューションの1つ)にジョインしたのが最初とのこと。このときはKondara Pojectの主要メンバーが首都圏にいたため、つねにオンラインでの参加となっていたそうです。その後、社会に出たそうですが、初めからRubyに触れていたわけではなく、業務アプリの開発などに携わっていたのです。

その後、2007年にRuby札幌にジョインし、2008年にRuby会議に、KaigiFreaksとして参加したのが1つの転機だったといいます。そして、2010年にRubyコミッタになり、2011年7月にクックパッドの社員がRuby札幌に遊びに来て出会いがあり、今の仕事につながったわけです。

こうした一連の流れについてむらけんさんは「さまざまな出会いときっかけ、そして運があった」と言いますが、その裏付けとして伝わってきたのが「自分で何かをやりたいと思ってそれを実現できないと感じたら、自分から環境を変えることが大事」という考え方です。実際、コミュニティに参加したり、転職したりといくつかの転機を迎える中、共通しているのが、次のステップ、上のステージを目指している意識ではないかと思います。

そして、むらけんさん自身「クックパッドに入ってから周りに優秀なエンジニアがたくさんいて刺激を受け満足できる環境に身を置くことになりました。それでも物足りない部分はあるわけで、それをコミュニティで補っていますね」と、クックパッドに入ってからコミュニティの捉え方が変わったと話しました。具体的には

  • 職場では触れない技術について知る場所
  • 職場で会えないエンジニアと交流する場所
  • 勉強やコードなどにこだわらない

といった点を挙げていました。

最後のまとめとして、「今の環境でやりたいことができないのであれば転職すると良い(環境を変えると良い)」と、環境の重要性を強調し、発表を終えました。

かかりつけ医になることの大切さ・難しさ

続いて登場したのは、たくさんのヒット書籍を執筆し、Webコンサルタントとして、またWeb関係の活動ではCSS Niteの運営にも関わるなどアクティブに活動をするサイバーガーデン益子貴寛さん。一部ではカニ好きWebプロデューサーとしても有名です 🙂

益子さん

益子さんは、先ほどのむらけんさんとは逆のパターンで、東京在住の立場から北海道に移住しました。きっかけの1つとして東日本大震災があったと言います。

益子さんの演題は“「情報の医者」としてのWebデザイナー論”。厳密には“「インターネットでの情報発信の医者」としてのWebデザイナー論”です。今回の発表内容は、5年前にWeb専門誌に投稿した記事「Web制作者の働き方の未来像~かかりつけ医と専門医~」がもとになっていて、当時から意識していたことだったそうです。そして,5年が経ち改めて見なおしてみると「あれ?(状況は)変わってない?むしろ悪くなっている?」というのが益子さんの印象だと言います。そこには、Webデザイナーという職種を考えたとき、

  • 参入障壁の低さ
  • 高年齢化
  • 増えつづける必須スキル
  • 上がらない単価

といった課題があり、加えて自分たち自身が歳を取り、(自分たちを)取り巻く環境が変化していることで状況が複雑化、ときに厳しくなっていると述べました。こうした状況を解決するにはどうするのか、益子さんは次の6つのポイントを挙げました。

  • なんでも屋になる
  • 二足のわらじをはく
  • 再就職する
  • 新技術に特化する
  • 得意分野に特化する
  • 得意分野に特化する

これを、

  • かかりつけ医
  • 二足のわらじをはく
  • 勤務医
  • 先端医療
  • 専門クリニック
  • 総合病院

このように置き換え、Webデザイナーとしてこの先進む道の1つとして、一番上の「かかりつけ医」≒「なんでも屋になる」というのが今の時代を生き抜くための1つの方法ではないかと提示し、発表を締め括りました。今回このお話を聞いて、広義の意味でのWebデザインというのは、クライアントあるいはチーム内での課題解決をするためのポジションであり、だからこそ(その状況に合わせて)なんでもできるスタンスでいることが大切なんだと考えさせられました。

偶然から生まれた大ヒットソーシャルゲーム開発

休憩を挟んで、3番目に登場したのは北海道札幌に拠点を置くWeb/ソーシャルゲーム開発企業、株式会社インフィニットループ代表取締役 松井 健太郎さんです。北海道に拠点を置くという立ち位置から「地方IT企業が成功していくための3つのポイント」と題して、企業から現在に至るまでの経緯、その中で感じた「北海道」にある企業としての理念と理想についてアツく語りました。

松井さん

松井さんはインフィニットループ以外に、ke-tai.org管理人を務めたり、LOCAL正会員として活動していました。そんな中、1つの転記を迎えたのがソーシャルゲーム「ブラウザ三国志」の開発案件と、その後の、ゲームのヒットだそうです。

「本当に偶然で受託したんですよ」というように、この案件は、たまたま「札幌 PHP」といった何の気なしのキーワードで検索された結果に、インフィニットループが表示され、仕事の発注が来たと言います。その後、発注元から正式にオファーされゲーム開発に至ったとのこと。余談ですが、僕自身ブラウザ三国志にハマって(しかも人生で唯一課金したソーシャルゲームw)なので、この話で、初対面の松井さんにいきなり親近感がわきました 🙂

この案件を受けたとき、インフィニットループの会社規模は社員3名だったのが、ゲームの盛り上がりとともにあれよあれよとスタッフが10名になってしまったことを振り返りました。そして、今では従業員数90名を数える規模に成長しています。

こうした経緯について、松井さんが振り返ったポイントは、

  • 運とタイミングに助けられた
  • やりたいようにやった(ユニークに)
  • 技術に特化した
  • 地方ならではの利点(リモートでのコミュニケーション活性)

といったものです。いずれもどの企業でも重要なポイントだとは思いますが、松井さんのお話を伺って、自社が北海道にあるということのメリット・デメリットをご自身できちんと捉え、デメリットはメリットに、メリットはさらに大きなメリットにするような意識を持っていたように感じます。

最後のまとめとして、地方企業のこれからについてこのように述べました。

「一社だけでは限界があることを理解したうえで、多様性を持たせることが大切だと考えています。また、人材については、北海道から東京に出て行ってしまうことは避けられないと思うので、であれば、僕たちはいつでも戻ってこられる環境を整えておくことが大切。そして、仕事をするときに、“この仕事は本当にここでしかできないのか?”を自問自答して突き詰めていることが大事だと思います」と、北海道企業ならではの想いと願いを語り、締め括りました。

世界はつながっている

TechLION vol.14、トリを務めたのは、一般社団法人LOCAL理事でもあり、ISCO日本支部プログラム委員としてワールドワイドに活躍される、三谷公美さん。演題の「世界はつながっているということ」とはどういうことか、ご自身の体験をふまえながら説明しました。

三谷さん

まず、ご自身が積極的にコミットしているLOCALについて詳しく紹介しました。LOCALは、北海道における技術系地域コミュニティの活動を支援し、コミュニティ間の連携イベント企画を開催するなどして、地域を盛り上げることを目的とした有志団体です。今回のTechLION開催にもご尽力いただきました。

LOCALを説明する中で、僕がとくに響いた言葉が三谷さんがおっしゃった「私達は北海道が好きだ」というセリフです。まさに、地域活性をしていくうえで、最も大切な“気持ち”であり、活動の根源になっていると思います。

そして、地域活性はもちろん、たとえばオープンソースカンファレンスやPHP Matsuriなど、他地域のイベントとの連動を図ることで、北海道←→全国をつなげるHUBとしての存在の大きさを改めて知ることができました。

こうした活動の背景として、三谷さん自身の「私達の地元に技術者文化を根付かせたい」という想いが強くあるそうです。だからこそ、「地域だけで閉じるのではなく、全国とつながっていくことも大切」と語りました。三谷さんご自身、先日のLLまつりに参加するなど、他イベントに武者修行に行くとおっしゃっていましたが、そこは法林GMから「いやいや(若手を)鍛えに行くでしょw」というツッコミも。

さらに、三谷さんの活動は日本にとどまらず、ISOC (Internet Society)を通じてワールドワイドに広がっています。ISOCは、インターネットのオープンな開発/進歩/利用を保証することを目的に、“The Internet is for everyone!”というキーワードを掲げてさまざまな標準・教育・方針についてリーダーシップを提供する団体です。

三谷さんはこのISOC日本支部において、IETFへのフィードバックやグローバルIPv6支援など日本サイドの活動支援の旗振りをされているメンバーの一人になります。

余談ですが、MCをしながらエピソードを聞いている際、途中途中に村井純先生や高橋徹氏といった日本のインターネットを作ってきた主要人物の名前がポンポンと出てくるのを聞いていて、改めて「この人はインターネット界の重鎮なんだなぁ」と思った次第です(偉そうにスミマセンw) 🙂

三谷さんは、ご自身のセッション、そしてイベントの締め括りとして「要はきっかけが大事。何か気になるものを見つけたら、それは動き出すチャンスです。今回、LOCALやISOCといった団体を紹介しましたが、世の中にはいろいろな場所や環境があり、一歩踏み出せばつながっていけます。みんなつながっているので、ちょっとでも興味を持ったらまず見て、参加してみてください」と、コミニティが持つ「つながり」の価値を強く訴え、イベントを終えました。

北でコミュニティのアツさを体感できたイベント

以上、各セッションを駆け足で振り返ってみました。北海道から東京へ、東京から北海道へ、北海道に軸足を置いて、北海道から世界へ、四者四様、さまざまな考え方と働き方、活動の仕方をお話しいただきました。その中で共通して感じたのが、技術への思い、自分が大切にしていることをぶらさない気持ちでした。

そして、最後のセッションで三谷さんがお話した「みんなつながっている」ということ。これこそが、コミュニティの活力になっていることを改めて知ることができました。

TechLIONでは、これからもたくさんの地域・場所で開催し、一人ひとりをつなげていける、そういうトークセッションを目指していきたいと思います。

改めまして、北海道の皆さん、ありがとうございました!!またぜひ!!

記念写真

次回ブログは法林GMが担当します!vol.15の最新情報です!(たぶん)。お楽しみに!

ps
今回、5年ぶりの北海道ということで、サッポロビールに味噌ラーメンを堪能。さらに、人生初の一人ジンギスカンも体験w まさに孤独のグルメ状態です(画像は「孤独のカメラ」を使用)。

ジンギスカン

その後、台風18号の影響で千歳空港を2時間以上遅れで出発し、羽田空港についたのが日をまたいだ深夜1時過ぎでした。これまた貴重な思い出となりました。

vol.14 ご来場ありがとうございました!そしてvol.15のお知らせ

こんにちは、かなり屋です。

TechLION vol.14にご来場いただいたみなさま、誠にありがとうございました!
私も故郷北海道でのTechLION、感慨深かったです。

@tenyawanyaさんにtogetterでとりまとめいただきました。どうもありがとうございました!
昨日の楽しかった時間がよみがえってきますね。
TechLION vol.14 まとめ #techlion

ぼやぼやすると年末がやってきます、次回のvol.15は大感謝祭&大忘年会ですよ!

◆◆TechLION vol.15 大感謝祭&大忘年会◆◆
日時:2013年11月30日(土) 18:30開場、19:00開演、21:00終了予定
場所:アンクルハット
料金:未定
出演:村井純、およびこれまでのTechLIONの出演者(決まり次第発表)
MC:馮富久、法林浩之

更新情報は随時アップいたしますので、
TechLION vol.15
チェックよろしくお願いします。

vol.13報告(2/2)―若き2人のエンジニア、そのヤル気は変態級!(←褒め言葉)

後半ゲストの2人TechLION取材班まつうらです。vol.14申し込みが始まりまして、早速話題は次回へ移りつつありますが、vol.13の話ももう少しお楽しみください。……というわけで前半戦に引き続き、後半戦のレポートをお届けします。

vol.13の後半戦ではさらに2人の選手(ゲスト)が登場!サイバーエージェントミクシィというソーシャルメディア企業で活躍する若手エンジニア。聞けばどちらも同じ研究室の仲間だったといいます。二人はそれぞれに企業で、どんな経験を積み、どんなことを考えたのでしょうか。

■第二部 ジャングルバス.com

まずは選手の紹介からというわけで、両者のプレゼンテーションからスタート。

#1 紫竹佑騎さん―もう全然チャラくないですから!

紫竹佑騎@サイバーエージェントさん一番手は紫竹佑騎@サイバーエイジェントさん。苗字は「しちく」と読むそうで、79と略されていました。

学生時代はPBXのAsteriskを使ったり、Turbolinux社にインターンに行くなど経験しつつ、音声認識の研究をしていたそうです。二番手に登場する同研究室の同級生田中和紀さんとは卒業旅行も一緒に行った間柄。そんな彼の誘いでOpenIDコンテストに出た事も。あと、2ちゃんねる世代ということで、その手のコンテンツ(面白Flashとかオラエモンとかカトゆー家断絶あたり)を毎日見まくってたり、今ではTwitterにFacebookにtumblr、あとアニメの曲がたくさん流れてくるSoundCloudなどがお気に入りとのこと。(あれ?自社のサービスはとのツッコミには、ガールフレンド(仮)と答えてましたね)

さて、その「自社」ことサイバーエージェントさんの話。「チャラいと思うでしょ?」ということで、会場にも質問してみるとやっぱりそういう印象を抱いている人はそこそこいるようです。しかし紫竹さんは「もう全然チャラくないですから」と力説。「アニメとか超大好きだし、休日はバーベキューとかしないしー……」←いやいや、その喋り方が既にチャラいわ!(byさくらの田中さん)

キラキラ女子
彼女達が顔採用だというなら、あなたは仕事で勝てますか?

サイバーエージェントには新聞にも掲載されたキラキラ女子と呼ばれる方達がいるそうなのですが、彼女達を顔採用だと馬鹿にする人がいるなら「あなたはその顔採用の人に勝てる仕事ができるのか!」というくらいに優秀なのだそうです。確かに、社長の藤田晋さんと一緒に焼き鳥屋にいっちゃえるくらい和気あいあいとした一面もあるそうですが、仕事で求められる能力はチャラいのとは正反対。特に藤田さんの見る目はスゴいそうで、紫竹さんがプロジェクトマネージャーを務めていた時など、経営者的・プロデューサー的目線からこちらが予期していた問題点を見抜いて叱ったとか。そんな出来事もあり辛くなった時期もあったそうですが、そういった目線が持てるようになったことはいい経験だったそうです。

#2 田中和紀さん―作らず、創る

田中和紀@ミクシィさん二番手は田中和紀@ミクシィさん。第一部で登場した田中邦裕さんも田中姓なので呼び分けに気をつけなければなりませんが、適宜呼び分けることにします。

既に紹介したように田中さんは、紫竹さんと同じ研究室の同級生。自然言語処理と音声認識の研究をしていたそうです。この頃田中さんもインターンに行っていたということで、インターン先は今の勤務先であるミクシィ。この頃は会員数が100万人からぐんぐん伸びていた時期で、インフラを支えるべくさくらインターネットさんにお世話になっててラックマウントしに行ってたそうです。

またやはりこの頃、未踏ユースに「思いが伝わる情報デザインツール」というプロジェクトで応募して、見事採択。これはWeb上に写真や日記を投げ込むと勝手にWebマガジン化してくれるもので、今田中さんが推進しているノハナに繋がるサービスだったといいます。

ノハナにおける様々な仕事
これだけのことを、たった4人でこなしている。

ノハナといえばTechLION試合後のつい先日、スゴい事になりましたが、このサービスはミクシィ社内のイノベーションセンターというスタートアップ企画を生み出す部署で走り出したサービスだそうです。メンバーは田中さんを含めてたった4人。与えられる予算も少ない中で、サービスに必要なシステムの構築やデザイン(3か月以内が条件)、運営上必要な各種雑務、そして収益を上げる仕組みの構築まで、全て自分達の力でなさなければならないそうです。しかも何と、ミクシィ社のメインサービスであるmixiブランドは使わず、ゼロからの新規サービスとして展開することが前提とのこと。

こんな厳しい条件の中で学んだことこそが、冒頭で示した「作らず、創る」だったそうです。今、IT業界はますます競争が激化し、巨大企業が資金力や規模にものを言わせてベンチャーの前に大きく立ちはだかるようになってきました。しかし一方で、便利なクラウドサービスが次々登場するなどしてきてます。おかげで今IT業界では、自分で一からプログラムを作らなくてもある程度のところまでサービスを創り出せる時代に……。ここから生まれた発想だといいます。ノハナを創ることで、技術、サービスの作り方、価値検証方法等を学ぶことができ、こうしてビジネスの基礎を身に付けられることがありがたいそうです。

■最後はトークバトルで盛り上がる

今宵もトークバトル本日の選手が全員紹介された後は、トークバトルで盛り上がりました。第一部で登場したさくらの田中さんも再登場し、今期注目のアニメの話から、仕事の話、会社の話、開発環境の話など、エンジニア談義で湧きました。

え、バトルというほどの激しい論戦はあったのかって?……もちろんありましたよ。仕掛けたのはさくらの田中さんなのですが。それぞれの会社で、楽しく仕事をしていると言う二人に対し、「(サイバーエージェント社長の)藤田さんに対して腹立った事ないんですか?」とか「(ミクシィ元社長の)笠原さんに腹立てたこととかないんですか?」と、執拗に答えを求めたのです。優秀な二人は「全然無いですよ!」と応戦。するとその攻防を聞いていた馮P、「さくらの社員の方に、田中社長に対して腹立てたことあるかを聞いた方がいいですよね」と、ナイスなカウンター!そこで、観戦しにきていたさくらの研究所所長さんに聞いてみたところ「今週はまだないですね」と、クールな回答。この日はまだ火曜日でしたが果たして週末まで腹立たれずに済んだのでしょうか、油断なりませんね。

また中盤では、会場から「プログラム組むのは変態でないとできないらしいですが、皆さんはどうですか?」という質問が飛び出し、一時変態自慢大会に……。大して深刻に考えるわけでもなく終電逃したり、泊まり込んだりしてプログラム書くだとか、作ったプログラムがうまく動いた時は画面のソースコードを見ながら思わずニヤけるとか……、十分変態ですね。そしてそんな変態自慢をしている皆さんが、相手のエピソードを指して「それ、気持ち悪いですねー!!」と言うとか、皆さん一体どれだけ変態なんでしょうね(ご存知かと思いますが、ITの世界で「変態」というのは称賛・尊敬を表す言葉ですからね)。

◇ ◇ ◇

このようにして今回もまた、熱くて濃くて深いトークが満載のTechLIONとなったわけですが、その雰囲気は多少なりとも伝わったでしょうか。

それにしても、前半戦の田中さんもさることながら、後半戦から登場した二人もスゴかたったです。「終電後も会社に居て納得行くまでプログラム書いてます。だって仕事だし。ブラック企業って思われるかもしれないけど、僕は別に気にしてないです」と、サラっと言ってのけられるのは、頼もしく、羨ましいです。35歳定年説も単なる噂だとわかったからには、こっちも若い世代に負けちゃいられないですね。

ゲストの皆様、ありがとうございました。

■次回vol.14は海を越えて札幌

本州を脱出して北の大地で開催するTechLIONが、ついに次回となりました。東京を離れてやる回は、それぞれの地域でまた雰囲気がガラっと変わるんです。そこがまた面白い!次回は一体どんなトークが繰り広げられるのか?冒頭でもお伝えしましたが、昨日から予約受付を開始しましたので、是非ご参加ください。

来週水曜日からまた、いつものリレーブログに戻ります。次回担当はともちゃさん、よろしくおねがいします!

vol.13報告(1/2)―進撃の国産エンジニア!アニメ力と技術力は比例する?

TechLION取材班のまつうらです。さて今週は先日(7/23)開催されたTechLION vol.13レポート(注1)の前半ですが、それにしても今回来場してくださった皆様、本当にお疲れ様でした。当日の東京は最高気温35.2℃の猛暑日。かと思えば、夕方は一時電車も止めた程のゲリラ豪雨。「お前ら今日は来るな!」と言わんばかりの天気でしたね。

そんな中、観戦しに来た方々はラッキーだったはず。サイバーエージェントの、ミクシィのあの有名なサービス、そしてあの有名な会社を作ったエンジニア。さぞ高い実力を持っていて近寄り難い人達なんだろうな、と思っていたとしても、観戦すれば「なんだ鼻も目も口もあって同じ人間なんだ」っていう実感と希望と親近感が持てたことでしょう。オマケに、希望者はさくらのクラウドの2万円無料券まで貰えちゃいましたものね。

というわけでレポート前半は、第一部・さくらインターネットの田中邦裕さんのトークセッションの模様をお伝えします。さくらといえば、今年のエイプリルフールにはとある科学の電脳要塞(データセンター)という企画を社のクレジット入りでされてましたが、それというのもこのトークで語られたようなアニメ力の高さゆえなのでしょう。:-)

(注1)当日の全セッションの模様の録画(二部三部エンディング)を公開しています。(撮影協力:日本仮想化技術様)

■第一部 獅子王たちの夕べ(田中邦裕氏)

田中邦裕@さくらインターネットさん 本日のメインゲストは、田中邦裕さくらインターネットさん。1時間たっぷりトークしていただきました。題して「エンジニアと経営と、日本と海外と」。その内容の半分以上は、さくらインターネットの中の話以外に割かれました。ゆえにアニメ力の高い話題もありまして、私は一人のエンジニアとして改めて希望を感じました。

その ワンダーランドすぎる高専生活…

最初は生い立ちを話してくださいましたが、何といっても高専時代がスゴい!中学生の時に学校来て回路図を描くワケのわからない友達に出会って衝撃だったそうで、それもスゴいと思うのですが、進学した高専は、そういう学生の方がむしろ普通だったようです。普通に電子回路の話が通じ、自動車とか戦車とか飛行機とか好きな人達ばかり。学校の図書館には「鉄道ファン」とか「丸(軍事雑誌)」が普通にあったとか。まさにオタクパラダイスですね。

モテない趣味
鉄道とアニメで、モテない趣味のダブルコンボ!

そして、アニメですよ。田中さんは寮生だったそうなのですが、寮の個室にはテレビが無く、ラウンジに1台あったそうなのです。普通はみんなやっぱり阪神戦とかのスポーツ番組を見てるのですが、「土曜夜7時はセーラームーンが見たい!」そんな感じでチャンネル争いがあったそうです。セーラームーンが見たい人達は5時くらいからラウンジに陣取っていたものの、先輩が「おい、何見とんねん」などと声を掛けてくるとやはり譲らざるを得ませんでした。しかし、やがて野郎どもがみんな仲良くセーラームーンを見ている光景がキモく映ったようで、いつしか声を掛けられなくなったのだとか。

ちなみに5時頃は同様にしてかぼちゃワインを見ていたそうなんですが、「こんなに日本にかぼちゃワインを知ってるヤツおるのか!」と、感動されたそうです。もちろんオタクな活動だけでなく、吹奏楽部やロボコンなど、学生らしいクラブ活動もされていたそうなんですが、それにしても恵まれた環境だったんですね。

その ユートピアなホスティングサービスの幕開け…

高専にはSun-3等のコンピューターが普通にあり、ネットワークとしてはあの10BASE-5のイエローケーブルが張り巡らされていたようです。これらをおもちゃに学ぶうち、やがて学内で学生や教官相手に無償のホスティングを始めるようになりました。自分でOSをインストールし、自分でWebサーバーNCSA HTTPdApacheはまだ無い)を入れ、自分で学内マンホールにこっそり潜入してLANケーブルを引くなどして……。(えー!!) こうして、この頃「無ければ自分で作るという肌感覚」を身に付けたそうです。

マンホールに潜入
「LANが無ければマンホールに潜って自分で引く!」村井先生もびっくり?

やがて、インターネットに繋がるようになって、学外からも提供していたWebスペースにアクセスできるように……。この頃には、学内外含めて100人以上のユーザーが付くまでに好評を博していました。ある日、ロボコン大会で秋葉原を訪れた田中さんは、店に展示されてるパソコンから自分の高専のWebページが見えることを実感し「こらぁインターネットの時代来るで!」と思ったそうです。

ところが、運営の危機を迎えます。ホスティングが原因で回線がパンクしたこと、そしてWeb上で会員が公開していたコンテンツに同人のいかがわし~いもの(注2)が混じっており、そんなものをSINET(学術用ネットワーク)に流してはイカン!と言われてしまったというわけです。そこでやむなく、バイトで稼いだ資金を元にプロバイダーに加入してこの危機を乗り切ったそうですが、これが、今のさくらインターネットの始まりだったのでした。

(注2)「『同人コンテンツ=いやらしいもの』ではないと強く主張しておきたいのですが、大抵いやらしいんですね(田中さん談)」、ちなみにこの頃エヴァンゲリオンの同人コンテンツが流行っていたそうです。

その 35歳定年説のカラクリは…

生い立ちの話でだいぶ長引きましたが、本日のトークで田中さんが伝えたかったことの一つを最後に紹介しておきます。それは35歳定年説の真相。

IT業界では、確かにこの説をよく聞きますよね。それで、ちょうど今年35歳の田中さんは、話の冒頭で「今年で定年……」と言いました。これには一瞬驚きましたが、すぐに「そんなことない、というのを今日はお伝えしたい」と、きっぱり否定しました。

田中さん、今年定年!?
もし35歳定年説が真実なら、田中さんは今年引退しなければならない

では何故、35歳定年説がまことしやかに囁かれるのか?それは、35歳くらいから管理職に回って現場を離れるケースが多いからだと、田中さんは言います。また、人材派遣会社が現場要員として35歳位までしか派遣しない傾向もあるそうです。そうやって現場を離れてしまうからエンジニアとして錆びつき、定年と言われるようになるのだ、と。

ゆえに、田中さんは「現場主義」を重んじているそうです。

技術探究しながら後輩の面倒も見て、経営も、っていうのはさすがに無理で、どれが向いているかは性格だと思うんですね。やがては管理職に行かんとアカンみたいな話があるんですけど、僕は違うと思うんです。研究者、或いは経営者になって結果で勝負してもいいし、現場に居て、プロセスで評価されるのでもいいと思う。

その代わり「現場に居ながら、良き先輩になろうよ」と。

恥ずかしいセリフ禁止(注3)。田中さん自身ももちろん現場主義。田中さんにとって経営者というのは、エンジニアと同時に持っているもう一つの肩書きに過ぎず、実際に1日のうちの半分くらいは実は好きなプログラミングをやっているのだとか(こんなものとかも)。それに、経営上大事な「決断」という仕事も、現場を知っているからこそもできるのだ、と。

(注3)すみません。どうかわかる人は笑ってください。とあるアニメのネタですんで。えー( ̄口 ̄;)

田中さん、素晴らしいお話ありがとうざいました。

◇ ◇ ◇

今回の第一部トークの中で、レポーターの私は

「エンジニアであり続けられるかどうかは、
自分で決められるものだと思う」

の一言がとても印象深かったですね。私は37歳。説に従えば既に定年なので、エンジニアとしての技術力はもう無いことになります。さらに、一般的に転職したくても難くなりつつある年齢でもあります。「35歳定年説なんてきっと嘘だ」と薄々感じてはいても、噂として根強いのでやっぱり気になってしまいました。

しかし、個人的に大好きな会社の社長さんに、こうも頼もしく説を否定されると勇気づけられます。私も、自信を持ってエンジニアを続けていこうと思います。もちろん、好きなアニメ鑑賞も続けながら……。

というわけで、後半戦のレポートに続きます。

vol.13 ご来場ありがとうございました!そしてvol.14のお知らせ

こんにちは、かなり屋です。

TechLION vol.13にご来場いただいたみなさま、豪雨にも関わらず足をお運びいただき誠にありがとうございましたm(_ _)m
Ustreamでご覧いただいたみなさまにも楽しい様子が伝わったでしょうか(^^)

今回も@natsu_nananaさんにtogetterでとりまとめいただきました。いつもどうもありがとうございます!
昨日の楽しかった時間がよみがえってきますね。
2013/07/23 TechLION vol.13 #techlion

Ustreamのアーカイブもあります!今回は特に北海道のみなさまに、TechLIONの熱気あふれる様子をお伝えしたいです☆
第一部
第二部
第三部
抽選会

さてさて、次回のvol.14は初の北海道開催ぃぃぃっ!
札幌にTechLIONがやってきます!!

◆◆TechLION vol.14◆◆
日時:2013年9月15日(日) 時間未定(夜開催予定)
場所:HIPPIES SAPPORO
料金:未定
出演:村田 賢太, 益子 貴寛, 松井 健太郎, 三谷 公美
MC:馮富久、法林浩之

更新情報は随時アップいたしますので、
TechLION vol.14
チェックよろしくお願いします。

vol.12報告(2/2)―好きか嫌いか、考え得る事を全て説明してしまう技術屋にご理解を。

ITカップルズこんにちは、USP MAGAZINEまつうらです。すっかりゴールデンウィークですね。この時期、ITカップルの皆さんって、どう過ごしてるのかなぁと、先日のTechLION vol.12に参加してから考えていたりします。

というわけで、今週も4/18(木)に開催致しましたvol.12のレポート(後半戦)をお送りいたします。先週は小飼弾さんの「社会人は積極的に出会いを見つけよう」という前半戦をレポートしましたが、後半戦ではIT業界で知り合ったカップル二組を招き、実際に結婚したITカップルは何を思い、どう過ごしているのか、というトークをいろいろしていただきました。カッコいい話もあればカッコ悪い話もあり、それら全部含めて楽しそうです。でも、カッコ悪いところも律儀に説明してしまう技術屋の習性が、パートナーの理解を苦しめちゃうところなのかもしれませんね。ではレポートご覧ください。(当日の録画も視聴できます。→2部3部エンディング)

■第二部 ITカップルズ・プレゼンテーション

勝手に題名つけてしまいましたが、第二部・第三部は「ジャングルバス.com」というセッション。第二部ではまず、トークをしていただく二組のカップルに自己紹介を兼ねたプレゼンテーションをしていただきました。

#1 松崎吉伸&奥谷泉夫妻―異質との遭遇

maz & izumi 夫妻一組目はmazこと松崎吉伸@IIJさん、izumiこと奥谷泉@JPNICさん 夫妻。お二人とも有名なネットワークの組織にお勤めなんですね。

mazさんはL3(ネットワーク層)を司るバリバリの技術屋さんで、izumiさんはL8(ポリシー層)を司るお仕事をしているとのこと。「ポリシー層って何?」と思ったら、IPアドレスを配布するポリシーの調整業務に対して付けてみた名前ということです。なるほど、確かにインターネットの運営には重要な業務ですね。

さて、夫のmazさんは大学時代、研究室でコンピューターとインターネットに出会い、憑りつかれ、そして「面白そう」という理由で受けたIIJに採用されました。それから暫くして、世界各国のカンファレンスへの出張を命ぜられるようになりました。mazさんの記憶によれば、その一つ、インドで開かれたAPNICカンファレンスでizumiさんと出会ったそうなのですが……。

違うことは素晴らしい
驚きに満ちてる。woderful!
汗を拭うmazさん
汗を拭うmazさん

一方のizumiさん。大学は文系の学部へ進み、機械や通信技術全般は苦手だったとか。ならば何故JPNICに?……それはB-ing(リクルートの求人情報誌)にJPNICの求人情報が載っていて、国際的な仕事に就けそうということで応募し、採用されたからなのだそうです。そしてやはり海外カンファレンスへ出張するようになったそうなのですが、izumiさんの記憶によれば、mazさんとの初対面はJANOGミーティングだったといいいます。あれれ???

ま、そんな記憶の齟齬はさておき、出会った二人は「異質との遭遇」だったそうです。izumiさんは「自分だけでは味わえなかった世界を味わえるようになった」と語り、mazさんは「wonderful。もう驚きに満ちてる」といつもおっしゃってるそうです。ただそれ故なのかもしれませんが、izumiさんによれば「(mazさんからの)メールは『こんなことあったよー』ではなく、自分について語ったびっしりの内容がきて、これを私はどうすればいいんだろうか……」なんて思ったこともあったそうですよ。

#2 ショウジヨシオリ&ショウジユウコ夫妻―年表的なナニカ

ショウジヨシオリ&ショウジユウコ続いて「ドラ娘は俺の嫁」で有名なショウジヨシオリ@クックパッドさん、ショウジユウコ@グルーヴノーツさん夫妻。こちらはソフトウェア系のお二人ですね。

ヨシオリさんはAsakusa.rbもされているバリバリのプログラマー。ユウコさんは、昔プログラムも書いていたものの今は広報おねえさんだそうです。そんな二人は「年表的なナニカ」と題して自己紹介。

2001年、ヨシオリさんはプログラマーになりました。最初にプログラムを教えてくれたのは井原さんだったそうです。その頃ユウコさんは経済学部(=文系)の女子大生。授業でC言語があったものの、ぜんぜん解らず「プログラミング怖い」と思ったそうです。

2004年、ヨシオリさんはWeb系企業に転職。ユウコさんは、どうしたことか、IT会社に就職。怖いと思いながらもプログラムを書いたそうです。(しかしその後、管理部門へ異動)

Keccon2010
Keccon2010の祝辞は全部LT形式。ドラ娘は勿論……
突然の出会い!
LTしてたらドラ鳴らされた。それが出会いだった……

(途中割愛して)2008年、ヨシオリさんはLLイベント“LL Future”にてLTをすることに。ユウコさんは、勤務先が運営するコミュニティー”オブラブ“から誕生したドラ娘という役回りに立候補したのがきっかけで、同じLL Futureでドラ娘を務めることに。そしてヨシオリさんがLTし始めたら、無慈悲なドラが……。それは突然の出会いでした。その頃から交際がスタートし……

2010年5月2日、結婚。この年、“Keccon2010”という飽くまでカンファレンスな結婚披露宴が催されたことは一部で有名になりました。なにせ、参加者からの祝辞も全てLT。もちろん新郎挨拶もLT。そして時間が来れば容赦なくドラが鳴らされたのです。この日のドラ娘が誰だったのかは言うまでもありませんね。ドラ娘はウェディングドレスを纏っていました。

この後、結婚後はどんな生活を送っているかという話に映りましたが、そのお話はこの後の第三部にも登場してくださった太田智美さんのレポートに詳しく記されていますので、まだの方は是非読みましょう。(むちゃくちゃオモシロいですよ)

■第三部 そんなITカップルズとの本音トーク

第三部本日出場の二組のカップルの紹介が終わり、第三部では二組ともステージに呼び戻しての本音トークセッションを開催しました。カップル二組と、MCの二人、加えて前半戦に登場してくださった小飼弾さん。また、IT女子目線のコメンテーターも必要だろうということで前回(vol.11)に引き続き、太田智美@ITmediaさんにも参加していただきました。

いくつかのトピックについてトークがなされましたが、ここでは特に面白かった場面を2つご紹介します。

技術屋(理系)と非技術屋(文系)の愛の確かめ合い方

第三部MC&コメンテーター法林GM:太田さんもあまりITではない世界からこの業界に入ってきたということで、IT業界の人種を見てどう思いますか?

太田さん:自分でプログラム組めるところとか、カッコいいなって思います。

馮P:今、ユウコさんから「えー」って聞こえたんですけどそれはどういうところが?

ユウコさん:いえいえ、もうみなさんカッコいいなって思います!だた敢えて言うなら、文系女子の私が「○○だねー」って言ったら、素直に「そうだねー」って言ってくれればいいのに、そこでいちいち間違いを指摘されると、IT男子って面倒くさいなーって思っちゃうんですよね。

弾さん:うちの娘も僕の妻に対して理屈を言うんですよ。だから、あまり男女関係ないんじゃないかなぁ。でも逆に、理系はそこで「そうだね」って言えば、相手を騙せるってわかっちゃうんです。なのでいちいち指摘をするということは、嘘をついてない証拠なんです。

izumiさん:私はストレートには聞かないんです。「好き?」って聞いたら「好き」って簡単に返せると思うので、「私のどういうところが好きなの?」って聞くんです。でもそれにはざっくりと答えてくれればいいのに、正確に伝えなきゃいけないっていう考えがあるみたいで、「ココとココはダメだけど、ココはいい」って言ってくるんです。それが段々単なる分析みたいに聞こえてきて「私の事好きって言ってくれてるのよ……ねぇ?」って思っちゃうんです。

弾さん:うちは「行使」型だなぁ。好きって聞かれたらベッドに連れて行くなりして行動で示す、みたいな。それに、実力行使というのはこれ以上確たる証拠はないですけど、言葉だと「好きだよ」って返すサーバーがいて、そいつが答えているかもしれないし。

izumiさん:それで私、そういう答えをもらうようになってから「これは確認を求めちゃいけないんだ」と思って、やめました!一緒にいれば、「この人は楽しそうだ」という観察結果から、好きって思ってくれているんだろうなぁと考えられますし……。もし仮に嫌になったら、あまり家にも帰って来なくなるだろうし、話しかけなくなるだろうし。

ヨシオリさん:あの、ちょっとだけフォローさせてもらうと、エンジニアって、「通常は大丈夫なんですけど、万一データセンターが潰れてしまったら……」みたいにして、考え得る可能性を全て伝えなきゃいけないよなぁ……って思っちゃうんですよ。だからそこはあまり責めないであげていただけると……。

mazさん:ありがとうございます!!!(ヨシオリさんとガッチリ握手)

馮P:友情が芽生えてますね。

結婚って打算的?~結婚を維持する技術

第三部ITカップルズ馮P:太田さん、IT女子目線で恋愛ってどう思いますか?

太田さん:私win-winの関係ならいいと思うんですよね。好き、って言っても、だってみんな好きだし。恋愛って難しいし……。

弾さん:恋愛は簡単なんだけど、恋愛から結婚に持っていくとか、結婚を維持するってなると技術が要るかなぁ、と。「好き」って言って抱きつくのは情熱で十分だと思うけど、明日も明後日も3年後も30年後も……となると、やっぱただ好きなだけじゃだめで。

ヨシオリさん:メンテの技術が必要ですね。でも逆に、僕は好きだっていうのが一番大事だと思ってます。win-winの関係が最重要だとすると、例えば職を失ったら俺は捨てられちゃうのかな?って。

弾さん:そういう時に逆に確実に捨ててくれる人でないと僕はやだなぁ。

ヨシオリさん:その気持ちは有りますけど、「逆の立場になった時にできますか?」という話になってしまうわけで、例えば客観的に見て相手が僕に利益をもたらせなくなった時、そうだからといって捨てるなんて、そんな打算的には考えられないですよ。

弾さん:確かにそうだね……。やっぱり技術屋が一番誤解されるのはそこなんだよね。嫌なことが起こった時どうするかってのを、技術屋はキチッと考えちゃうんだよね。

mazさん:僕はちょっと違ってるんですよ。昔、「君にとってizumiさんと結婚するのってどんなメリットがあるの?」って友人に聞かれたんです。その時、「別にメリットがあって結婚するんじゃなくて、好きだから結婚するんだよ」って、一生懸命伝えて……。

法林GM:izumiさん、その時もmazさんは説明長かったんですか?

izumiさん:いえ、この時のmazさんの説明は端的で、私も確かにそうかなって思いました。

弾さん:でも、一緒に居るだけだったらべつに結婚でなくてもいいじゃないですか。僕は籍を入れるまでの三年間の同棲生活って、とても楽しかったですよ。

ヨシオリさん:確かに一緒に居るだけだったら籍を入れる必要はないんですけど、彼女にはご両親他、親戚もいて、みんなが幸せでないと彼女も幸せでない。そう考えると、籍を入れた方が彼女をもっと幸せにできるのかなって。

弾さん:そうそう!結婚って、うるさい親戚を一発で黙らせるってことだよね。

ヨシオリさん:オブラートに包んで言ってるんだから、バラさないでくださいよ~!(苦笑)

ユウコさん:うちの親戚うるさくないですよー!Ustの前のおじいちゃん、うるさいなんて思ってないからねっ。

◇ ◇ ◇

といった感じで、弾さんのぶっちゃけトークが炸裂する中、いろいろと考えさせられる深い意見が聴けました。結婚って情熱だけでは成り立たないものだと思うのですが、だからといって困難に遭遇した時、打算的に判断し、自分や相手を捨てるのか?と。

確かにwin-winというと打算的に聞こえますが、そこを技術屋的に表現するなら、「好き」という気持ちも評価パラメーターに加えて考えればいいのかな……と思います。でもその評価式をどう定めるかが、結婚という命題に対する永遠のテーマなんですよね、きっと。

ゲストの皆様、ありがとうございました。

■vol.13&vol.14予告

さくらインターネット田中邦裕さん
次回出場予定の、さくらインターネット田中邦裕さん

今回も大いに盛り上がったTechLIONですが、今後も精力的に興業してまいりますよ!次回vol.13は7/23(火)、同じくこの会場(六本木Super Deluxe)で開催。ゲストはお一方決まっており、なんとさくらインターネットの創業者田中邦裕さん。実は今回、ご夫婦で観戦しに来てくださいました。

そしてさらに、その次(vol.14)の開催も決まっています。なんと、TechLIONは海外進出!……ではなくて(海は渡るけど津軽海峡で)、札幌に行きます。ゲストは交渉中ですが、日付は9/15(日)、HIPPIES SAPPOROにて開催です。

vol.13, 14ともに申し込み受付はこれからですが、是非とも観戦にいらしてください。お待ちしております。

vol.12報告(1/2)―小飼弾「PerlってLISPだったの!?」その衝撃も学生時代の出会いから

@dankogaiこんにちは、USP MAGAZINEまつうらです。今年も新年度を迎えましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。私はあまり実感がないんですよね。新人と呼ばれたのもだいぶ昔ですし、どこか別の部署に異動して新しい人や環境と出会う……などということもなく、思えば平凡な日々になってしまっております。

しかし、今回のTechLION vol.12は、そんなふうにしてある意味日々に対する感覚の鈍っていた私などにとっては、ちょっとハッとするトークが聴けた回でした。テーマは「出会い」なのですが、よくあるミーハーなものを想像していたとしたら大変に勿体ない!そこはやはりTechLION、深いです。深いうえに、語られる出会いエピソードもエンジニアならではのオチがついているという……。

さて、前置きはこれくらいにして、今回もレポートをご覧ください。まずは前半戦の様子から。尚、当日の録画(1部2部3部エンディング)も視聴可ですので、併せてご覧ください。(撮影協力:日本仮想化技術様)

■第一部 獅子王たちの夕べ(小飼弾氏)

小飼弾さん第一部はメインゲストを迎えて大いに語ってもらうセッションですが、本日のメインゲストはダンコーガイこと小飼弾さん。Perlの雄、また404 Blog Not Foundを運営するアルファブロガーとしても知られ、そして名前に負けない弾丸トークの主。

今回のトークに明確なタイトルは付けられませんでしたが、全体を通してのキーワードは「出会い」、そしてもう一つ、意外かもしれませんがコンピューター言語“LISP”だったように思います。

以下、弾さんの発言を要約してレポートします……

社会人は、出会いがお膳立てされない

「出会い」というテーマをいただいたんですけども、今日は新社会人の方ってどれくらいいらっしゃいますか?……あれ、意外と少ないですね。実は今日温めてきたのは、「社会人と学生の一番の違いはどこか」ということで、それは「社会人は、出会いをお膳立てしてもらえない」という話なんです。

学生の頃だと例えばクラス替えとかで新しい人と出会ったりします。そうやって出会いを演出されているんですが、そうであることに気付かない程、学生というのはたくさんの出会いをお膳立てされているんですね。でもそういった出会いというのは、何も「人と人との出会い」だけじゃないというのが今日の本題です。

あなたはどこで出会った?今使っているその言語に

Fizz Buzz with Perl6
Perl6で”Fizz Buzz”を解く(右はRuby2.0による結果がまだ残っている)

それじゃここで、有名なFizz Buzzをやってみましょう。入社試験とかではこの「Fizz Buzzが2分以内で書けないとプログラマーとして失格」みたいですけど、まぁそれは置いといて……。

まずはPostScriptで……。はい、PostScriptでプログラム書いてる人は?……あれ、いませんか。じゃあメジャーどころのRuby 2.0でやってみましょう。……えーとそれから、僕はPerlの人として紹介されるみたいなので、じゃあ今度はPerl6で。……あとはPython 3.2。で、それからCで……、Brainf*ckで……

……と、数ある言語のほんの一部を紹介しましたが、じゃああなたは、今使っている言語とどこで出会いましたか?会場の方に何人か聞いてみましょう。

観戦者Aさん「大学1,2年の頃、JavaCに、プログラミングとは何ぞやという状態で出会いました。それで今は、それらで仕事してます」

者Bさん「会社に入る前に自習しておこうと、本屋でJava入門という本を見つけたのが言語との出会いでした」

者Cさん(実はスタッフ)「今仕事で使うのはCPythonAWKシェルスクリプトですが、初めてはC++Pascalで、大学一年の時に触りました」

者Dさん「出会ったのはC言語。大学院生の頃に石田晴久先生の『UNIX入門』を読みながらVAX 11/730を、まだ助手だった村井純という人に弄らせてもらっていました。その前はFortranとか、メインフレームのVOS3系のコマンドプロシージャとか」

観覧者Eことmasuidriveさんうーん、なるほど。もう一例いってみましょうかね。ではこの中に「私の触った言語にはevalがある」という人はいませんか?

者E(実はvol.10ゲストmasuidrive)さん「僕はMSXZ80 アセンブリです。あれはバイトコードをプログラム内に置いておけばevalができます。メモリが64KBと少ないから、そうやって自己書き換えしないと規模の大きいアプリが書けなかったんで……」

おいおい!そっちの方に来たかよぉぉぉー! まぁそれはそうだなぁ……。BASICもPEEKとPOKE命令だけ使って実質アセンブリでできるし……って、こんなに変態ばかりが観客だなんて聞いてないぞ(笑)

僕の言語との出会い

ブライアン・ハーヴェイ氏のWebページ
学生時代に授業を履修していたというブライアン・ハーヴェイ氏のWebページ

なんでこんな質問したかっていうと、「果たして僕は、学校に通ってなかったらこういうものと出会えただろうか?」って思うんです。学生の頃、ブライアン・ハーヴェイという先生の下でSchemeというLISPの方言を習ったんですけど、それに出会わなかったら僕は今「PHP最高」とか言ってたんじゃないかなぁ。

僕は元々コンピューターサイエンス専攻じゃなかったんですよ。最初の専攻は生化学だったんですけど、あまりにもつまらなくて文句言ったんです。そしたら「じゃあお前、こっち来い」って言われて習ったのがさっきのあれで……。そこではCアセンブリをやらされて、最後はMIPSのエミュレーターを書かされたんです。このクラスも今はPythonになってしまったのが残念なんですけど……

何が残念って、こういう言語に外で出会う機会ってあんまりないと思うんですよね。こういっちゃ何ですけど、PythonPerlあたりって、特にコンピューターサイエンスを習おうと思わなくても出会えると思うんですよね。つまり出会いを演出されなくてもわりと自然に使う言語なんですよ。

結局、僕に言語との出会いを演出したのは大学だった

僕の仕事は、言語の美しさがどうのこうのとか重要ではなくて、純粋に仕事をやっつけられればよかったんです。それで気が付いた頃にはPerlで仕事してたんですが、最初にPerl5を見た時はビックリしましたよ。「なんだこの矢印は。なんだよ”use strict”って。フザケんな!」と。

ところが、チャーチ数をPerlで書けるということを知って、Perlが単なるお仕事やっつけ言語じゃないかも、って気が付かされたんです。「待てよ、PerlってLISPだったの!?」くらいの衝撃でした。ちなみに、Jcode.pmは仕事やっつけ言語として使っている時に、作ったものだったんですけどね。それでその頃堀江さんに襟首掴まれてオン・ザ・エッヂで仕事したりで……。

だから今振り返っても、実は出会いを演出してくれたのって大学だったんです。その頃にあのカッコだらけのヘンな言語(=LISP)に出会わなければ、こういった話というのも無かったんじゃないかなって思うんです。ホント、大人になってから純粋に「出会う」っていうのは難しいんですよね。皆さんも薄々感じているとは思うんですが、それはむしろキツいんですね。社会人の今から、まるで別のパラダイムの言語に出会うというのは本当に難しいことで。もちろん大人になってからも出会いというのはあるんですけど、もう学校とか親戚とかがお膳立てしてくれはしないので自分で積極的に出会いにいかないといけないんです。

「機会」というものを逃さないで!

Haskell Tシャツ
この日、弾さんが着ていたTシャツはHaskellだった

僕が今着てるTシャツはHaskellなんですけど、僕はオードリー・タングという友人に紹介されて知り、感銘を受けました。LISPも一応関数型言語なんですけど、スペシャルフォームっていうある意味ズルい仕組みでifやforを実現してたんです。遅延評価の概念を実装すればそんなもの要らないことはわかってたのにLISPはそれを長年サボってて……。でもHaskellはそれを本気で実装し、きっちりした関数型言語になってたんです。これはLISPをマジメに勉強していた人ほど衝撃的だと思います。こういった言語も今なら気の利いた学校へ行けば教えてくれるでしょうけど、社会人になると例え見知っても、感銘を受け、つまり真の意味で出会える機会なんてホントにないんですよ。

というわけで、今日は新社会人の方々に、「機会というものを逃さないでくださいよ」って言って、オチをつけるつもりだったんですが……。今日の皆さんは既に相当ご存知ですね(笑)

◇ ◇ ◇

小飼弾さん、ありがとうございました。新社会人じゃありませんが、私にもそのメッセージ、響きました。毎年この時期、街中で卒業生や新入生を見かける度、「あの頃はいろんなイベントがあったけど、社会人になってしまえば以後そういうのが途端に減ってしまって寂しいものだ」なんて思ってました。が、「寂しい」などと言ってないで、私も積極的に機会を見つけに行かなきゃ、と、トークを聴いて思いました。

さて、この後は2組のITカップルを迎えての後半戦へと移るのですが、そのレポートはまた次回に……。どうぞご期待ください。

vol.11報告―容赦無きドラに大喜利に、どうなる三年目のTechLION!

TechLIONvol.11「1月生まれのエンジニアたち」こんばんは、USP MAGAZINEまつうらです。年も明けてだいぶ経ちましたが、今年も宜しくお願い致します。

TechLIONとしての新春初試合は去る1月16日、東京・六本木にてvol.11「1月生まれのエンジニアたち」と題して開催してまいりました。今日はその模様をレポート致します。

■三年目の新たな試み

立ち上げた2011年、そして2012年を経て三年目に突入。これまでも少しずつ新たな試みをしてきましたが、今年一発目の新たな試みは「メインゲストを置かないで、立場関係無く、終始みんなで語り合ってみよう」というものでした。

皆でLTやって容赦なくドラを打ち、皆で大喜利やってツッコミ合戦したり、そして皆で腹を割った話をしたり……。ゲスト集めにも趣向を凝らしました。1月開催だし、馮Pも1月生まれだし、1月生まれの人を集めてみようかと。ただ、すごく旬な人がいても「この人一月生まれじゃないからダメ」みたいなことがあって、それなりに苦労もしたようですが(笑)

参加した皆様、今回の試みはいかがだったでしょうか。では、vol.11のレポートをお送りします。録画もあります(第一部第二部第三部)ので、お仕事の合間に是非こちらもご覧ください。(撮影協力のびぎねっと様にはこの場を借りて感謝)

■第一部 私と○○と2012年(自己紹介)

今回のTechLIONは三部構成で開催しました。第一部はライトニングトークExのコーナーで、実はこれ初期のTechLIONでは毎回やっていたコーナーなのです。ゲストそれぞれに5分間一本勝負のLTをしてもらい、その後司会とトークをするというもの。ただし、今回は「私と○○と2012年」というテーマでという課題があり、本日対戦するゲストの自己紹介も兼ねる仕掛けとなっております。

「ドラ娘」太田智美さん(写真左)
「ドラ娘」太田智美さん(左)
本日の「ドラ」(デビュー戦)
本日の「ドラ」

LTといえば、必要不可欠な小道具と役としてドラとドラ娘というのがありますが、今回ドラはこれまたびぎねっとさんご提供(ちなみにこのドラはデビュー戦だそうです)。そしてドラ娘は、ITmedia記者の太田智美さんにしていただきました。しかもその大役に見合う衣装で臨んでいただきましてありがとうございます。

#1 宮原徹さん―「全俺に聞いた2012年10大ニュース」

宮原徹さんお一人目は宮原徹びぎねっとさん。今回は撮影やドラ等でも大変お世話になりましたが、実は記念すべきTechLION vol.1にも出演していただきお世話になっていました。実はTechLION史上二度目のご出演なのです。

今日のLTのテーマは「全俺に聞いた2012年10大ニュース」ということで、去年の出来事の振り返り。強引に割愛してご紹介すると……、(1)1/9誕生日…年間ニュースで大抵最初に来る、(2)主食抜きダイエット実施、8kg以上痩せた、(3)赤ワインにハマり、ワインセラー設置、(4)オフィス移転、(5)初めての配当出し…やってみたかった、といった感じでした。

あと、毎朝30分「環境整備タイム」と称して、自分達で事務所の掃除や整理整頓、環境改善の雑談、等を行う時間を設けたということで、これで大掃除が不要になり業務効率改善に役立ったそうです。

#2 廣川類さん―「私とPHPと2012年~PHP三大ニュース~」

廣川類さん二人目は廣川類日本PHPユーザ会さん。日本PHPユーザ会でもう15年くらい活動なさっているということで、法林GM曰く「LLイベントでもお世話になっている」そうです。(弊誌でも取材させていただきました)

LTは「私とPHPと2012年 ~2012年PHP三大ニュース~」ですが、まずは軽く自己紹介。PHPは職業でやっているのではなくホビーユーザーということなのですが、PHP国際化(mbstring)や、マニュアル類の翻訳、マンモス本(PHPのバイブル)の執筆など、実にパワフルに活動されています。

と、自己紹介していたらまさかの時間切れ。PHPカンファレンス2012WordCampと共同開催したというところで無情にもドラが響きました……。

#3 稲葉香理さん―「私とPostgreSQLと2012年」

稲葉香理さん三人目は本日ゲストの紅一点、稲葉香理SRA OSSさん。主にPostgreSQL関連のコミュニティ活動をされています。

題目は「私とPostgreSQLと2012年」。仕事を始めてから13年程だそうですが、最初は純粋なエンジニアからスタートし、今はマーケティングのお仕事をされているそうです。

昨年は突然山登りに目覚めたそうで、夏くらいから計数十回も登山をしたといいます。仕事関係では監視ソフトZabbixのカンファレンス等で海外に計一か月以上も赴いたり、二年間通っていたビジネススクールを無事卒業したり、ととてもアクティブに活動なさっています。

#4 川崎有亮さん―「私とべいでえたひんと2012」

川崎有亮さん4人目は川崎有亮クルキューズさん。「KagoDBって知ってるかい(後述)」などなかなかいい味出してました。

さて、LTのお題は当初与えられた課題の○○に「べいでえたひん」をハメ込んで「私とべいでえたひんと2012」(渡米で得たヒント)、というわけでここからしてユニークですね。

昨年までリクルートの事業開発部門で仕事されていた流れで、米国でオフィス立ち上げをしてきたそうです。当初は色々とわからない事だらけだったものの、頑張ればどうにかなるのかな?という印象を掴んできたといいます。

そして、シリコンバレーではDemo Dayという対投資家発表会やハッカソンが毎週のようにしかも大規模にも行われており、日本には無いスケールの大きさとエコシステムを肌で感じてきたそうです。「エンジニアなら一度は行ってみるべきだ」と。

#5 米林正明さん―「僕とくもと2012年」

米林正明さん最後は米林正明Abby(エビイ)さん。馮Pによれば、前回の片山さんに相当するイジられ役のようですが、確かにそんな一面が……。

LTは「僕とくもと2012年」ということで、クラウドを匂わせる題目でした。去年は、その片山さんに雲隠れされたとか、初夢は筋斗雲に乗る夢だったとか、いう事でしたが、マジメな話をすると去年は殆どの案件をGoogle AppsAWSといったクラウドでこなしたそうです。去年ともなるとお客さんもクラウドについてはよく知っていて、「じゃあそれでお願いします」とすんなり提案が通るようになっていたのだとか。

最後に、今回出演の機会を与えてくれてTechLION Love!、馮さんLove!、法林さんLove! そして「Yes!法林Love!」とキメたかったところですが、スライドが(リトライしても)ちゃんと出ずに、きっちりスベってくださいました。ご馳走様です!!

■第二部 ジャングルバス.com 新春大喜利

新春大喜利風景
こんな感じで大喜利しました

さて二部は、これも初の試みで大喜利です。ゲストを一同に集めてホワイトボードとサインペンを渡し、司会が出すお題に答えてもらうというセッションです。名回答、珍回答が出てくるかなーと実は個人的に今回一番楽しみにしておりました。

それで、期待通りに面白かったので、受け答えを全部紹介したいところですが、スペースの都合もありますので涙を飲んで抜粋しました。こんな感じのやり取りがありました……

第一問「2013年、この技術/サービスが来る!(理由とともに)」

KagoDB知ってる人は?
KagoDB。あれ知りませんか?

第一問のこのお題は今年はきっと「これが来るに違いない!」という予想を発表してくださいというものだったんですが、のっけからやられました。

宮原さんは「キャッシュ技術」、廣川さんは「オープンソースハードウェア(Raspberry Piなど)」などと各自マジメに答える中、川崎さんの答え→『KagoDB』。「はい、これ知ってる人?」……、誰も居ません。しょうがないので川崎さん自ら説明したところによると、「これは今僕書いててリリースしてないんですけども」って、そんなのわかるかー!! 真面目な話をすると、JavaScriptで作っている軽量NoSQL実装のようです。MongoDBのMongoはバカデカいという意味から来てますが、カゴくらいのデータを扱えるようにという……。

それだけじゃあんまりなので、他の回答も紹介すると、あと稲葉さんが「クラウド」と答えていました。周囲を見渡してみても使い始めたというお客さんが増えているし、自由にサービスを設計できるのが特長のオープンソースソフトウェアには一サーバー年間保守でいくらというこれまでのビジネスモデルが合わなくなってきていると。実際、PostgreSQL等も台数を増やして分散化させる技術が登場してきているといいます。

第二問「自分をプログラミング言語に例えて言うなら何?」

これもいろいろ面白かったんですが、廣川さんの回答を紹介します。

PHPユーザ会の方なので当然PHPと答えるかと思いきや、いや確かにそうなのですが、答えは「PHP1.0」。

私はシンプルで可愛くて小さいのが好き。最新のPHP5.4だと何MBもあって巨大になっちゃったんですけど1.0って数十KB程度なので半日あればソースコード読めます。こういうところでちょっと楽しみながら勉強できるが昔のPHPのいいところなんです。

なるほど、そのお気持ちわかります。それにしてもPHPも1.0は随分と小っちゃかったんですね。ちなみに、その1.0はPHP museumに行くと今でも入手できるそうです。

第三問「関わったプロジェクトがまさかの大炎上!さあ、どうする?」

これまたクスっとくる回答続出だったのですが、個人的には宮原さんのが特に面白かったです。答えは「(とりあえず)走る」

結局何とかしなきゃならないという時に、最後に頼れるのは肉体である。だから自席からとりあえずマシンルームに走って自分で何とかするのだそうです。そして実はこれが、オープンソースに「走る」きっかけだったと。

一時期は「これぁもうWi○NTダメだ、と。Linux版のOracle出してくれ」と、悲鳴を上げていたそうですが、そんな話を人にすると「実は俺も走った」なんて答えが返ってきたのだとか。「(あの頃は元気で)まぁ若かったですね(笑)」と、宮原さん。

■第三部 大放談!あのひとに聞いてみたい~質問

締めくくりの第三部は、第二部より若干マジメ路線に戻してのトークセッション。事前にゲストから相手に質問したい内容を募って互いに尋ねあうという内容です。ここも涙を飲んで巻きで紹介します。(是非とも録画を見よう!→第三部

2012年、OSS界で活躍した人に「いいね!」を送るとしたら誰?

これは廣川さんから出された質問なのですが、他の人が考えている間にナゼか廣川さん自身にも振られました。

廣川さん:(まさか自分に振られるとは!)続けることが素晴らしいと思うので、私はOSCを続けていらっしゃる宮原さんを尊敬します。短期間ならまだしも、5年10年続けられるのは冷静に考えるとスゴイな、と。

すると宮原さんがそれに対して、

宮原さん: 今は結構皆に任せきりなんです。そうでないと回らないくらいの規模に成長してきていて、僕個人の手を離れて事務局という組織戦へ移ってきてます。そして君達はそれぞれこういう立場なんだから、君はこう、君はこう立回らなきゃならないんだよ、みたいなこと言ってます。

なるほど。OSCは個人戦から組織戦へと上手に移行していったところが大きいんですね。そして他には、川崎さんからこんな答えが……(ちなみに米林さんも同様でした)

川崎さん:Qiita(キータ)。2011年に始まったソフトウェアの開発や運用に関するTipsの共有サービスですね。今までは解説とかしたければブログを開かなきゃいけなかったけど、最近はこういったサービスのおかげで開発者にとっての敷居が下がっているのかなと感じます。だからQiitaを公開した人達だけじゃなく、参加している人達みんなにですね。

私も登録してますし、困りごとを検索するとよくここがヒットしてお世話になってます。英語圏でのStack Overflowも同様に、今では多くのエンジニア達に重宝される存在になってますよね。

皆さんのお奨めの勉強方法は、どのようなものがありますか?

これは米林さんからの質問。勉強法で米林さん自身が間違った勉強法で後悔していての質問なのですが最後に発表するそうです。さて、それに対して宮原さんはこう回答しました。

宮原さん:セミナーの講師とかを企画して自分を追い込みますね。教えるという立場になると習得率が大体8割くらいになるそうです。……って、こんなこと言ってるから「2週間後にセミナーやってください」とか無茶頼まれるんですけどね。(笑) でも、そうなったらもう必死で勉強するわけですよ、評判ガタ落ちにならないように。自分ひとりで完結させるとどうしても甘えがでちゃうから、アウトプットを出して他人に評価されるように仕組むんです。

自分で完結させると甘えが出ちゃうというのは、耳が痛いですね。ちゃんと結果を出さないと覚えたつもりで終わりがちですよね。同様の事は稲葉さんも回答されていて、例えばリサーチした後は、社内で15分くらいのショートプレゼンを行うようにしているといいます。

2013年、エンジニアに向けたメッセージ

米林さんの間違った勉強法発表が気になるところですが、それはここでのメッセージにもなっていたので、まとめて皆さんからのメッセージを一気に発表します。

稲葉さん:「石の上にも……」ですね。「これやってて意味あるのか?」って思っちゃうことありますけど、ある程度続けていると見えてくるものってあるなって思います。最初の頃って周りが見えてないんですよね。「3年くらいやってみてようやく見えてくる」と、自分がエンジニアやっていた頃も、マーケティングを始めてみても感じます。

川崎さん:(図で説明)ローカル、クラウド、グローバル。どうやって新たなテーマを見つけていくかと言う時に、これらどれかの分野に注目してみたり、重なり合う分野に注目してみたり、あるいは全く違う分野から見つけてみたり。いろいろあると思います。去年私はグローバルの分野を突き詰めていた、と。

写経禁止
「写経禁止!」

米林さん:「写経禁止」。以前僕はノートに書くことが正しい勉強法だと信じていたのでC言語の本に書いてあるプログラムをひたすらノートに写してました。先輩からは「おーすごいじゃん!超やってるね」と言われて調子に乗っちゃったものの、いざパソコンに向かったら結局int mainしか書けなかったんです。だからそういう間違った勉強法をせず、エンジニアの皆さんにはよく考えて無駄なことをしてほしくないですね。

宮原さん:自戒の念も込めて「あえて自分でやれ」と。ネットには結果としての知識の集合「集合知」があってすごいなーとは思うんですけど、それが当たり前になってくるとやがてうまくいかなくなると思うんです。サッカーだってちゃんと個々が戦術の意味を理解してこそチームとしても強いわけで。「ちょっとネットで調べてわかる程度だったら、それ誰でもできるよ」と。それが再評価される、揺り戻しが来てると思います。

Have fun!
「Have fun!」やっぱり楽しまなくっちゃ!

廣川さん:「Have fun!」。20年弱くらいエンジニアやって、一番重要なスキルがこれだと思うんですよね。失敗するとそこでウジウジしちゃいがちですけど、そんな時は「何てこんなに奥深いんだ。神は俺にまだハードルを残してくれてたんだな」みたいにしてその奥深さを楽しめることがエンジニアの才能に繋がるんだと思います。

皆さんそれぞれに、深くて素晴らしいですね。この発表は最後の人が一番責任重大ですからねと脅かされていた廣川さんのメッセージでは感動の拍手が巻き起こっていました。面白オカシいシーン満載だけど、実は深い話が聞けるTechLIONも、こんな感じで今年も順調なスタートがきれました。皆様ありがとうございました。スタッフ一同、今年も引き続きよろしくお願い致します。(下の写真は、毎回恒例の出場者記念撮影。写真にマウスを重ねると……)

■気になる次回(vol.12)は?

小飼弾登場!さて、次のTechLION(vol.12)ですが、今回のエンディング時にアノ人の登場が滑り込みで決まりました。

法林GM自ら、今回たまたま用意していたホワイトボードにて発表!その人とは…小飼弾です。Perlの雄でブロガーで、SoftwareDesign誌でもブイブイ言わせているあの人ですね。

他にも、ショウジヨシオリ&ショウジユウコカップル(「ドラ娘は俺の嫁」カップル)だったり、松崎吉伸&奥谷泉カップル(世界のインターネットで活躍するITカップル)だったり、とアルファブロガーに新婚さんいらっしゃい的なカップルズと、これまたどーなることやら想像もつきません。

お申し込みはこちらから、是非!!!!!

vol.11 ご来場ありがとうございました!そしてvol.12のお知らせ

こんにちは、かなり屋です。

 

TechLION vol.11にご来場いただいたみなさま、寒いなかお越しいただき誠にありがとうございました☆
Ustreamでご覧いただいたみなさま、一緒に盛り上がってくださりありがとうございました♪
 

今回も@natsu_nananaさんにtogetterでとりまとめいただきました。
どうもありがとうございました。
2013/01/16 TechLION vol.11 #techlion

 

みなさまの絶えない笑い声や新品のドラやささやかな鐘(?)の音が今でも頭の中をかけめぐります。
次回もまた、みなさまと楽しい時間が共有できるのを楽しみにしています。

ということで、次回予告です!
 

◆◆TechLION vol.12◆◆
日時:2013年4月18日(木) 19:00開場、19:30開演、22:30終了予定
場所:SuperDeluxe
料金:前売2,700円、当日3,200円 (1ドリンク付き)
出演:小飼弾、松崎吉伸、奥谷泉、ショウジヨシオリ、ショウジユウコ
MC:馮富久、法林浩之

アルファブロガーに、カップルタッグマッチ、まったく予測がつかない戦いになりそうです!!
 

更新情報は随時アップいたしますので、
TechLION vol.12
こちらでチェックしてみてくださいね♪

Vol.10報告(2/2)―エンジニアとは「好きなことをやる人」のことだ

こんにちはUSP MAGAZINEの取材班 まつうらです。村井先生セッションの前半戦レポートはいかがだったでしょうか。お読みいただいて、このイベントの方向性やノリが伝われば幸いです。(まだ読んでいない方は是非)

今回は先週に引き続き、11/16(金)に開催しましたTechLION vol.10のレポート(後半戦)をお届けします。当日の模様を録画した動画もありますので是非あわせてご覧ください。

■後半戦、ITサファリパーク

村井先生も司会に回ってゲストを迎え撃つ
今度は村井先生も司会席に回り、ゲストを迎え撃つ

さて、後半戦のはじまり。今回はvol.6と同じく「ITサファリパーク」です。

これは、サファリパークに来たかの如く、次々に登場する今注目の若きITエンジニア達と対談していくセッションです。前半戦で語る側だった村井先生も左写真のようにしてコメンテーターとして司会側に回り、愉快にトークしていきます。(司会側に回ったはずが、司会にツッコミを入れられるシーンも→上記動画の35:17あたりから)

今回招かれた3人のエンジニアの皆さんも、仏具を磨くのが趣味だったり、一人一人が世界各地域に分散しながら働く会社で仕事をしていたり、自宅の風呂が主な仕事場だったり、と非常にユニーク!そして、自由でアクティブ。では、いきましょう。

#1 片山暁雄さん―AWSは「一家に一台成型機」を実現した

片山暁雄@アマゾンデータサービスジャパン さんお一人目は片山暁雄アマゾンデータサービスジャパン さん。AWSのサービスを提供する仕事の傍ら、そのユーザーコミュニティーであるJAWS-UGでも精力的に活動されています。それと、個人なのにナゼか#ヤマンというハッシュタグが付けられているそうですよ。

まずは自己紹介ということで、小学生の頃の話から(どういうわけか、TechLION出場者って小学校まで遡って話し始める方が多いです)。……ひたすら仏具を磨いていたそうです。「この真鍮のテカリが~」とか「これが世界だ!」みたいな感じで。やがて趣味が高じて大学は金属工学科、卒業後は南京錠を製造する会社へ。ところが配属されたのは鍵は鍵でも車のドアの取っ手部分、樹脂(=非金属)だったそうです。

非常に残念な思いはしたものの「それでも技術は磨きたい!」。製造現場の樹脂成型機を好きなだけ弄りたかったものの、適いませんでした。動かすのも原材料もタダではないからです。自由に技術を磨ける場を求めてIT業界へ!そこでやがて巡り合ったのがオープンソースの世界とAWSだったといいます。

AWS上には何でもあります。独り占めできるホストは勿論、ロードバランサーCDNなどなど。しかもパソコン一台用意するだけで誰でも弄れるのです。さらに、使った分だけ課金なので膨大な初期費用も不要。こうしてまた一つ、技術が個人の手の届く高さに降りてきたという意味で革命的な出来事です。

そんな環境が手に入る時代、ユーザーグループの存在はますます重要になってきました。AWSには様々なソフト・ハードがありますが、Amazon自身が活用法を全て網羅しているわけではないからです。各分野に詳しいユーザーと、一緒になって新たな活用法やノウハウを積み上げていく必要があります。そんなこともあり、2009年にJAWS-UGというユーザーグループを立ち上げ、3年経った今年、気がつけば国内24支部になり、世界的に見ても活発なコミュニティーになっていたそうです。

まさに「一家に一台成型機」の精神ですね。JAWS-UGの盛り上がりは、そこに共感する人々の多さを物語っているように思います。

#2 高野直子さん―分散して働くことでわかったことがある

高野直子@Automattic さん続いて登場したのは高野直子Automattic さん。以前はマクラケン名義で活動されていましたが、直子さんといえばWordCamp等、WordPressに関する活動でご存知の方も多いのではないでしょうか。直子さんのトークで特に興味深かったのは勤めている会社と、肩書き、そして働き方でした。

所属されているAutomatticという会社。WordPress等のオープンソースソフトウェア開発への貢献やホスティングを主な業務としている社員130名程の会社なのだそうですが、社員一人一人が世界中の各地域に分散して働いているのです。(会社案内ページの一番最後にその様子が……)何故この形態がとられたかと言えば「この仕事に適したスキルを持つ人が世界中でオープンソース活動しており、一国で人を雇うより、彼らを雇う方がメリットだったから」といいます。

また、直子さんの持つ肩書き「ハピネスエンジニア」。実のとこと具体的に何をしなければならないかということは全く決まっていないそうです。今は日本のユーザーにWordPressを使ってもらうための翻訳や国際化、サポート、それにWordCamp等のコミュニティー活動などをされているそうですが、ゴールは「ユーザーを幸せにすること」であり、それらの業務が目的ではないといいます。

こういう非常に自由なスタイルで仕事をしている中で見えてきたこと。それは、当たり前のように聞こえますが「コミュニケーションがいかに重要か」ということ。普段から社員同士が離れて仕事をするため、いかにコミュニケーションをとるかということも重要なテーマ。例えば以前、社員同士のやりとりツールとしてTwitter等を使っていたものの、自分達が求める要求をいまいち満たせていないと感じ、ついにはWordPressのテーマという形で独自に作ってしまった程だそうです。これも、離れているからこそわかることだといいます。

またコミュニティー活動に関わる中で、先程のJAWS-UG同様、やはり日本のコミュニティーの強さを実感したそうです。イベントなどはっきりした目標があると皆一丸となってやるぞという雰囲気で。そもそもWordCampが一カ国で年何回も開かれ、その度に数百人以上集まる日本は珍しいケースなのだそうです。

半分ノマドワーカーやってる筆者からしてもその働き方はとても魅力的です。そしてこういう働き方であるほど、コミュニケーションの重要性が人一倍見えてくるものなのだなあと思いました。

#3 増井雄一郎さん―全てを失っても仕事のできるエンジニアに

増井雄一郎(masuidrive)@FrogApps本日後半戦の最後は増井雄一郎(masuidrive)FrogApps さん。紹介するにあたって所属(@~)を記してみたものの、増井さんがトークで話していた目標や生き方からするとあまり意味がないのかもしれません。テーマが「どこでも生きていけるエンジニアを目指して」だったのです。(→当日の資料(マインドマップ)

masuidriveこと増井さんといえば、風呂でプログラミングをする「フログラミング(風呂グラミング)」或いは「フログラマー(風呂グラマー)」として有名です。が、それは純粋に風呂が好きだからというのみならず、エンジニアとして生きていくうえでのある戦略であることも窺い知れました。

増井さんはRubyの他、PHP、Java、C/C++/ObjectiveCなど実に多様な言語を使うほどに技術に対する好奇心が旺盛で「ほっとけばやっている」ものの、そうやって多くの技術に興味を持つ故なのでしょう、「飽きっぽい」そうです。つまりやりたいことが次から次へと現れては移っていくことに。それ故に個人的な目標は、いかにして好きなことして暮らしていけるかであり、常にそのことを考えているそうです。

そんな自分のこれまでを振り返ると何をしてきたか。色々話をされていましたが、オープンソース活動に携わったり(その一つが有名なPukiWiki)、人々の興味を引くブログをつけたり、作りたい物リストを公開してみたり(それを見た企業の誘いで実際に製品を作ったことも)など、オンライン的手段を上手に活用したそうです。(フログラムもその一つ)そうやって知名度を上げることで自分の技術を買ってくれる人を探して大事にし、「自分が今持っているものを全て失ってもすぐ仕事ができる下地」を築いてきたといいます。

「今後は海外でも仕事ができるようになりたい。なぜなら自分のやりたいことがニッチになればなるほど、国内の需要に重ねることが難しくなるから」

最後はそう語っていました。「やりたい事だけやるなんてそんなの甘いよ」などと思うかもしれません。しかし、その欲求を忠実に守るため、しっかりとした戦略を描き、実践していることはむしろ素晴らしいと思いましたし、羨ましいです。ちなみに、村井先生から「あのさ、海外で『フログラミング』ってなんて説明するの?」って質問を受けた際「ちゃんと説明したんですが、何人かに『ハードコアだね』って言われました」と返していたのが面白かったです。

エンジニアって「好きなことをやる人」のことだよ

今日の3人がこうしてとても生き生きとしたエンジニアライフを送っている様子を聞き、村井先生がこう言いました。

エンジニアの定義って何だと思う?……好きなことをやるのがエンジニアなんだよ。 さっきの「ハピネスエンジニア」ってのそうなんだけど、今日のゲストみんなハッピーでしょ。法林さんもツッコミばっかりやってるからハッピーだよね(笑) 日本が世界にどれだけ貢献できるかってのも、やっぱり「どれだけ好きなことをやれるか」だと思う。
(中略)
それとね。このあいだ山中さんノーベル賞とったけど、俺サイエンティストとエンジニアにはそう敵はいないと思うんだ。それ以外は大体何やっても敵がいるんだよね。だからこの2つは結構ハッピーだと思うんだ。

残念ながら実際のところ、ハッピーなエンジニアライフを送れていない人々は今も多数います。しかし先生が言わんとしている内容、わかります。自ら幸せを感じられるような成果を上げることこそがエンジニアの仕事なんだと、私は受け止めています。また、サイエンティストやエンジニアは、それが許される数少ない、恵まれた職業なのだと。

このTechLIONというイベント。そもそも「ハッピーなエンジニアライフを送るにはどうすればいいか」これを皆で探っていくイベントだと思っています。そのために、今輝いているエンジニア達を招き、彼らの話からそのヒントを得られれば……。多くのエンジニアがその答えに辿り着けるよう、私達はこれからもTechLIONを開催していきます。

■今年も一年ありがとうございました

今回のvol.10に参加していただいた皆様、そして今年も一年、TechLIONを応援し、支えてくださった皆様に心より感謝を申し上げます。

最後に毎回恒例の出場者記念写真を添えて、vol.10レポートの締めくくりとさせていただきます。(マウスを重ねるとファイティングポーズ!)

皆様ありがとうございました。
そして……、

来年もやるよ!来年もよろしくお願いします!!

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