vol.13報告(1/2)―進撃の国産エンジニア!アニメ力と技術力は比例する?

TechLION取材班のまつうらです。さて今週は先日(7/23)開催されたTechLION vol.13レポート(注1)の前半ですが、それにしても今回来場してくださった皆様、本当にお疲れ様でした。当日の東京は最高気温35.2℃の猛暑日。かと思えば、夕方は一時電車も止めた程のゲリラ豪雨。「お前ら今日は来るな!」と言わんばかりの天気でしたね。

そんな中、観戦しに来た方々はラッキーだったはず。サイバーエージェントの、ミクシィのあの有名なサービス、そしてあの有名な会社を作ったエンジニア。さぞ高い実力を持っていて近寄り難い人達なんだろうな、と思っていたとしても、観戦すれば「なんだ鼻も目も口もあって同じ人間なんだ」っていう実感と希望と親近感が持てたことでしょう。オマケに、希望者はさくらのクラウドの2万円無料券まで貰えちゃいましたものね。

というわけでレポート前半は、第一部・さくらインターネットの田中邦裕さんのトークセッションの模様をお伝えします。さくらといえば、今年のエイプリルフールにはとある科学の電脳要塞(データセンター)という企画を社のクレジット入りでされてましたが、それというのもこのトークで語られたようなアニメ力の高さゆえなのでしょう。:-)

(注1)当日の全セッションの模様の録画(二部三部エンディング)を公開しています。(撮影協力:日本仮想化技術様)

■第一部 獅子王たちの夕べ(田中邦裕氏)

田中邦裕@さくらインターネットさん 本日のメインゲストは、田中邦裕さくらインターネットさん。1時間たっぷりトークしていただきました。題して「エンジニアと経営と、日本と海外と」。その内容の半分以上は、さくらインターネットの中の話以外に割かれました。ゆえにアニメ力の高い話題もありまして、私は一人のエンジニアとして改めて希望を感じました。

その ワンダーランドすぎる高専生活…

最初は生い立ちを話してくださいましたが、何といっても高専時代がスゴい!中学生の時に学校来て回路図を描くワケのわからない友達に出会って衝撃だったそうで、それもスゴいと思うのですが、進学した高専は、そういう学生の方がむしろ普通だったようです。普通に電子回路の話が通じ、自動車とか戦車とか飛行機とか好きな人達ばかり。学校の図書館には「鉄道ファン」とか「丸(軍事雑誌)」が普通にあったとか。まさにオタクパラダイスですね。

モテない趣味
鉄道とアニメで、モテない趣味のダブルコンボ!

そして、アニメですよ。田中さんは寮生だったそうなのですが、寮の個室にはテレビが無く、ラウンジに1台あったそうなのです。普通はみんなやっぱり阪神戦とかのスポーツ番組を見てるのですが、「土曜夜7時はセーラームーンが見たい!」そんな感じでチャンネル争いがあったそうです。セーラームーンが見たい人達は5時くらいからラウンジに陣取っていたものの、先輩が「おい、何見とんねん」などと声を掛けてくるとやはり譲らざるを得ませんでした。しかし、やがて野郎どもがみんな仲良くセーラームーンを見ている光景がキモく映ったようで、いつしか声を掛けられなくなったのだとか。

ちなみに5時頃は同様にしてかぼちゃワインを見ていたそうなんですが、「こんなに日本にかぼちゃワインを知ってるヤツおるのか!」と、感動されたそうです。もちろんオタクな活動だけでなく、吹奏楽部やロボコンなど、学生らしいクラブ活動もされていたそうなんですが、それにしても恵まれた環境だったんですね。

その ユートピアなホスティングサービスの幕開け…

高専にはSun-3等のコンピューターが普通にあり、ネットワークとしてはあの10BASE-5のイエローケーブルが張り巡らされていたようです。これらをおもちゃに学ぶうち、やがて学内で学生や教官相手に無償のホスティングを始めるようになりました。自分でOSをインストールし、自分でWebサーバーNCSA HTTPdApacheはまだ無い)を入れ、自分で学内マンホールにこっそり潜入してLANケーブルを引くなどして……。(えー!!) こうして、この頃「無ければ自分で作るという肌感覚」を身に付けたそうです。

マンホールに潜入
「LANが無ければマンホールに潜って自分で引く!」村井先生もびっくり?

やがて、インターネットに繋がるようになって、学外からも提供していたWebスペースにアクセスできるように……。この頃には、学内外含めて100人以上のユーザーが付くまでに好評を博していました。ある日、ロボコン大会で秋葉原を訪れた田中さんは、店に展示されてるパソコンから自分の高専のWebページが見えることを実感し「こらぁインターネットの時代来るで!」と思ったそうです。

ところが、運営の危機を迎えます。ホスティングが原因で回線がパンクしたこと、そしてWeb上で会員が公開していたコンテンツに同人のいかがわし~いもの(注2)が混じっており、そんなものをSINET(学術用ネットワーク)に流してはイカン!と言われてしまったというわけです。そこでやむなく、バイトで稼いだ資金を元にプロバイダーに加入してこの危機を乗り切ったそうですが、これが、今のさくらインターネットの始まりだったのでした。

(注2)「『同人コンテンツ=いやらしいもの』ではないと強く主張しておきたいのですが、大抵いやらしいんですね(田中さん談)」、ちなみにこの頃エヴァンゲリオンの同人コンテンツが流行っていたそうです。

その 35歳定年説のカラクリは…

生い立ちの話でだいぶ長引きましたが、本日のトークで田中さんが伝えたかったことの一つを最後に紹介しておきます。それは35歳定年説の真相。

IT業界では、確かにこの説をよく聞きますよね。それで、ちょうど今年35歳の田中さんは、話の冒頭で「今年で定年……」と言いました。これには一瞬驚きましたが、すぐに「そんなことない、というのを今日はお伝えしたい」と、きっぱり否定しました。

田中さん、今年定年!?
もし35歳定年説が真実なら、田中さんは今年引退しなければならない

では何故、35歳定年説がまことしやかに囁かれるのか?それは、35歳くらいから管理職に回って現場を離れるケースが多いからだと、田中さんは言います。また、人材派遣会社が現場要員として35歳位までしか派遣しない傾向もあるそうです。そうやって現場を離れてしまうからエンジニアとして錆びつき、定年と言われるようになるのだ、と。

ゆえに、田中さんは「現場主義」を重んじているそうです。

技術探究しながら後輩の面倒も見て、経営も、っていうのはさすがに無理で、どれが向いているかは性格だと思うんですね。やがては管理職に行かんとアカンみたいな話があるんですけど、僕は違うと思うんです。研究者、或いは経営者になって結果で勝負してもいいし、現場に居て、プロセスで評価されるのでもいいと思う。

その代わり「現場に居ながら、良き先輩になろうよ」と。

恥ずかしいセリフ禁止(注3)。田中さん自身ももちろん現場主義。田中さんにとって経営者というのは、エンジニアと同時に持っているもう一つの肩書きに過ぎず、実際に1日のうちの半分くらいは実は好きなプログラミングをやっているのだとか(こんなものとかも)。それに、経営上大事な「決断」という仕事も、現場を知っているからこそもできるのだ、と。

(注3)すみません。どうかわかる人は笑ってください。とあるアニメのネタですんで。えー( ̄口 ̄;)

田中さん、素晴らしいお話ありがとうざいました。

◇ ◇ ◇

今回の第一部トークの中で、レポーターの私は

「エンジニアであり続けられるかどうかは、
自分で決められるものだと思う」

の一言がとても印象深かったですね。私は37歳。説に従えば既に定年なので、エンジニアとしての技術力はもう無いことになります。さらに、一般的に転職したくても難くなりつつある年齢でもあります。「35歳定年説なんてきっと嘘だ」と薄々感じてはいても、噂として根強いのでやっぱり気になってしまいました。

しかし、個人的に大好きな会社の社長さんに、こうも頼もしく説を否定されると勇気づけられます。私も、自信を持ってエンジニアを続けていこうと思います。もちろん、好きなアニメ鑑賞も続けながら……。

というわけで、後半戦のレポートに続きます。

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