vol.12報告(2/2)―好きか嫌いか、考え得る事を全て説明してしまう技術屋にご理解を。

ITカップルズこんにちは、USP MAGAZINEまつうらです。すっかりゴールデンウィークですね。この時期、ITカップルの皆さんって、どう過ごしてるのかなぁと、先日のTechLION vol.12に参加してから考えていたりします。

というわけで、今週も4/18(木)に開催致しましたvol.12のレポート(後半戦)をお送りいたします。先週は小飼弾さんの「社会人は積極的に出会いを見つけよう」という前半戦をレポートしましたが、後半戦ではIT業界で知り合ったカップル二組を招き、実際に結婚したITカップルは何を思い、どう過ごしているのか、というトークをいろいろしていただきました。カッコいい話もあればカッコ悪い話もあり、それら全部含めて楽しそうです。でも、カッコ悪いところも律儀に説明してしまう技術屋の習性が、パートナーの理解を苦しめちゃうところなのかもしれませんね。ではレポートご覧ください。(当日の録画も視聴できます。→2部3部エンディング)

■第二部 ITカップルズ・プレゼンテーション

勝手に題名つけてしまいましたが、第二部・第三部は「ジャングルバス.com」というセッション。第二部ではまず、トークをしていただく二組のカップルに自己紹介を兼ねたプレゼンテーションをしていただきました。

#1 松崎吉伸&奥谷泉夫妻―異質との遭遇

maz & izumi 夫妻一組目はmazこと松崎吉伸@IIJさん、izumiこと奥谷泉@JPNICさん 夫妻。お二人とも有名なネットワークの組織にお勤めなんですね。

mazさんはL3(ネットワーク層)を司るバリバリの技術屋さんで、izumiさんはL8(ポリシー層)を司るお仕事をしているとのこと。「ポリシー層って何?」と思ったら、IPアドレスを配布するポリシーの調整業務に対して付けてみた名前ということです。なるほど、確かにインターネットの運営には重要な業務ですね。

さて、夫のmazさんは大学時代、研究室でコンピューターとインターネットに出会い、憑りつかれ、そして「面白そう」という理由で受けたIIJに採用されました。それから暫くして、世界各国のカンファレンスへの出張を命ぜられるようになりました。mazさんの記憶によれば、その一つ、インドで開かれたAPNICカンファレンスでizumiさんと出会ったそうなのですが……。

違うことは素晴らしい
驚きに満ちてる。woderful!
汗を拭うmazさん
汗を拭うmazさん

一方のizumiさん。大学は文系の学部へ進み、機械や通信技術全般は苦手だったとか。ならば何故JPNICに?……それはB-ing(リクルートの求人情報誌)にJPNICの求人情報が載っていて、国際的な仕事に就けそうということで応募し、採用されたからなのだそうです。そしてやはり海外カンファレンスへ出張するようになったそうなのですが、izumiさんの記憶によれば、mazさんとの初対面はJANOGミーティングだったといいいます。あれれ???

ま、そんな記憶の齟齬はさておき、出会った二人は「異質との遭遇」だったそうです。izumiさんは「自分だけでは味わえなかった世界を味わえるようになった」と語り、mazさんは「wonderful。もう驚きに満ちてる」といつもおっしゃってるそうです。ただそれ故なのかもしれませんが、izumiさんによれば「(mazさんからの)メールは『こんなことあったよー』ではなく、自分について語ったびっしりの内容がきて、これを私はどうすればいいんだろうか……」なんて思ったこともあったそうですよ。

#2 ショウジヨシオリ&ショウジユウコ夫妻―年表的なナニカ

ショウジヨシオリ&ショウジユウコ続いて「ドラ娘は俺の嫁」で有名なショウジヨシオリ@クックパッドさん、ショウジユウコ@グルーヴノーツさん夫妻。こちらはソフトウェア系のお二人ですね。

ヨシオリさんはAsakusa.rbもされているバリバリのプログラマー。ユウコさんは、昔プログラムも書いていたものの今は広報おねえさんだそうです。そんな二人は「年表的なナニカ」と題して自己紹介。

2001年、ヨシオリさんはプログラマーになりました。最初にプログラムを教えてくれたのは井原さんだったそうです。その頃ユウコさんは経済学部(=文系)の女子大生。授業でC言語があったものの、ぜんぜん解らず「プログラミング怖い」と思ったそうです。

2004年、ヨシオリさんはWeb系企業に転職。ユウコさんは、どうしたことか、IT会社に就職。怖いと思いながらもプログラムを書いたそうです。(しかしその後、管理部門へ異動)

Keccon2010
Keccon2010の祝辞は全部LT形式。ドラ娘は勿論……
突然の出会い!
LTしてたらドラ鳴らされた。それが出会いだった……

(途中割愛して)2008年、ヨシオリさんはLLイベント“LL Future”にてLTをすることに。ユウコさんは、勤務先が運営するコミュニティー”オブラブ“から誕生したドラ娘という役回りに立候補したのがきっかけで、同じLL Futureでドラ娘を務めることに。そしてヨシオリさんがLTし始めたら、無慈悲なドラが……。それは突然の出会いでした。その頃から交際がスタートし……

2010年5月2日、結婚。この年、“Keccon2010”という飽くまでカンファレンスな結婚披露宴が催されたことは一部で有名になりました。なにせ、参加者からの祝辞も全てLT。もちろん新郎挨拶もLT。そして時間が来れば容赦なくドラが鳴らされたのです。この日のドラ娘が誰だったのかは言うまでもありませんね。ドラ娘はウェディングドレスを纏っていました。

この後、結婚後はどんな生活を送っているかという話に映りましたが、そのお話はこの後の第三部にも登場してくださった太田智美さんのレポートに詳しく記されていますので、まだの方は是非読みましょう。(むちゃくちゃオモシロいですよ)

■第三部 そんなITカップルズとの本音トーク

第三部本日出場の二組のカップルの紹介が終わり、第三部では二組ともステージに呼び戻しての本音トークセッションを開催しました。カップル二組と、MCの二人、加えて前半戦に登場してくださった小飼弾さん。また、IT女子目線のコメンテーターも必要だろうということで前回(vol.11)に引き続き、太田智美@ITmediaさんにも参加していただきました。

いくつかのトピックについてトークがなされましたが、ここでは特に面白かった場面を2つご紹介します。

技術屋(理系)と非技術屋(文系)の愛の確かめ合い方

第三部MC&コメンテーター法林GM:太田さんもあまりITではない世界からこの業界に入ってきたということで、IT業界の人種を見てどう思いますか?

太田さん:自分でプログラム組めるところとか、カッコいいなって思います。

馮P:今、ユウコさんから「えー」って聞こえたんですけどそれはどういうところが?

ユウコさん:いえいえ、もうみなさんカッコいいなって思います!だた敢えて言うなら、文系女子の私が「○○だねー」って言ったら、素直に「そうだねー」って言ってくれればいいのに、そこでいちいち間違いを指摘されると、IT男子って面倒くさいなーって思っちゃうんですよね。

弾さん:うちの娘も僕の妻に対して理屈を言うんですよ。だから、あまり男女関係ないんじゃないかなぁ。でも逆に、理系はそこで「そうだね」って言えば、相手を騙せるってわかっちゃうんです。なのでいちいち指摘をするということは、嘘をついてない証拠なんです。

izumiさん:私はストレートには聞かないんです。「好き?」って聞いたら「好き」って簡単に返せると思うので、「私のどういうところが好きなの?」って聞くんです。でもそれにはざっくりと答えてくれればいいのに、正確に伝えなきゃいけないっていう考えがあるみたいで、「ココとココはダメだけど、ココはいい」って言ってくるんです。それが段々単なる分析みたいに聞こえてきて「私の事好きって言ってくれてるのよ……ねぇ?」って思っちゃうんです。

弾さん:うちは「行使」型だなぁ。好きって聞かれたらベッドに連れて行くなりして行動で示す、みたいな。それに、実力行使というのはこれ以上確たる証拠はないですけど、言葉だと「好きだよ」って返すサーバーがいて、そいつが答えているかもしれないし。

izumiさん:それで私、そういう答えをもらうようになってから「これは確認を求めちゃいけないんだ」と思って、やめました!一緒にいれば、「この人は楽しそうだ」という観察結果から、好きって思ってくれているんだろうなぁと考えられますし……。もし仮に嫌になったら、あまり家にも帰って来なくなるだろうし、話しかけなくなるだろうし。

ヨシオリさん:あの、ちょっとだけフォローさせてもらうと、エンジニアって、「通常は大丈夫なんですけど、万一データセンターが潰れてしまったら……」みたいにして、考え得る可能性を全て伝えなきゃいけないよなぁ……って思っちゃうんですよ。だからそこはあまり責めないであげていただけると……。

mazさん:ありがとうございます!!!(ヨシオリさんとガッチリ握手)

馮P:友情が芽生えてますね。

結婚って打算的?~結婚を維持する技術

第三部ITカップルズ馮P:太田さん、IT女子目線で恋愛ってどう思いますか?

太田さん:私win-winの関係ならいいと思うんですよね。好き、って言っても、だってみんな好きだし。恋愛って難しいし……。

弾さん:恋愛は簡単なんだけど、恋愛から結婚に持っていくとか、結婚を維持するってなると技術が要るかなぁ、と。「好き」って言って抱きつくのは情熱で十分だと思うけど、明日も明後日も3年後も30年後も……となると、やっぱただ好きなだけじゃだめで。

ヨシオリさん:メンテの技術が必要ですね。でも逆に、僕は好きだっていうのが一番大事だと思ってます。win-winの関係が最重要だとすると、例えば職を失ったら俺は捨てられちゃうのかな?って。

弾さん:そういう時に逆に確実に捨ててくれる人でないと僕はやだなぁ。

ヨシオリさん:その気持ちは有りますけど、「逆の立場になった時にできますか?」という話になってしまうわけで、例えば客観的に見て相手が僕に利益をもたらせなくなった時、そうだからといって捨てるなんて、そんな打算的には考えられないですよ。

弾さん:確かにそうだね……。やっぱり技術屋が一番誤解されるのはそこなんだよね。嫌なことが起こった時どうするかってのを、技術屋はキチッと考えちゃうんだよね。

mazさん:僕はちょっと違ってるんですよ。昔、「君にとってizumiさんと結婚するのってどんなメリットがあるの?」って友人に聞かれたんです。その時、「別にメリットがあって結婚するんじゃなくて、好きだから結婚するんだよ」って、一生懸命伝えて……。

法林GM:izumiさん、その時もmazさんは説明長かったんですか?

izumiさん:いえ、この時のmazさんの説明は端的で、私も確かにそうかなって思いました。

弾さん:でも、一緒に居るだけだったらべつに結婚でなくてもいいじゃないですか。僕は籍を入れるまでの三年間の同棲生活って、とても楽しかったですよ。

ヨシオリさん:確かに一緒に居るだけだったら籍を入れる必要はないんですけど、彼女にはご両親他、親戚もいて、みんなが幸せでないと彼女も幸せでない。そう考えると、籍を入れた方が彼女をもっと幸せにできるのかなって。

弾さん:そうそう!結婚って、うるさい親戚を一発で黙らせるってことだよね。

ヨシオリさん:オブラートに包んで言ってるんだから、バラさないでくださいよ~!(苦笑)

ユウコさん:うちの親戚うるさくないですよー!Ustの前のおじいちゃん、うるさいなんて思ってないからねっ。

◇ ◇ ◇

といった感じで、弾さんのぶっちゃけトークが炸裂する中、いろいろと考えさせられる深い意見が聴けました。結婚って情熱だけでは成り立たないものだと思うのですが、だからといって困難に遭遇した時、打算的に判断し、自分や相手を捨てるのか?と。

確かにwin-winというと打算的に聞こえますが、そこを技術屋的に表現するなら、「好き」という気持ちも評価パラメーターに加えて考えればいいのかな……と思います。でもその評価式をどう定めるかが、結婚という命題に対する永遠のテーマなんですよね、きっと。

ゲストの皆様、ありがとうございました。

■vol.13&vol.14予告

さくらインターネット田中邦裕さん
次回出場予定の、さくらインターネット田中邦裕さん

今回も大いに盛り上がったTechLIONですが、今後も精力的に興業してまいりますよ!次回vol.13は7/23(火)、同じくこの会場(六本木Super Deluxe)で開催。ゲストはお一方決まっており、なんとさくらインターネットの創業者田中邦裕さん。実は今回、ご夫婦で観戦しに来てくださいました。

そしてさらに、その次(vol.14)の開催も決まっています。なんと、TechLIONは海外進出!……ではなくて(海は渡るけど津軽海峡で)、札幌に行きます。ゲストは交渉中ですが、日付は9/15(日)、HIPPIES SAPPOROにて開催です。

vol.13, 14ともに申し込み受付はこれからですが、是非とも観戦にいらしてください。お待ちしております。