TechLIONvol.6報告(2/2)―ITサファリパーク!英語の重要性と、ものづくりは誰のためかを学んだ

USP MAGAZINEまつうらです。昨日公開した前編に引き続きまして、TechLION vol.6(2012.04.12@六本木SuperDeluxe)のレポート後編をお送りいたします。

Intermission―休憩時間はお土産ゲットのチャンス

まつもとさんをお招きした第1部が終わり、しばし休憩。TechLIONの休憩時間はバーカウンターで酒の補給しつつ、物販スペースも訪れましょう。というか、訪れないでおく理由がない!(後藤さん風) USP出版発行の各種書籍・雑誌がいつも買えるのですから。過去のTechLIONの熱い記録が蘇るUSP MAGAZINEバックナンバーあり、それに最近出た新刊で、gccのほとんどのオプションを知っている(ホント?)というC言語のスピード狂が書いた「Cプログラム高速化研究班」あり、技術者たるもの読まない手はありません。

CloudCoreステッカー(角さんご提供)
CloudCoreステッカー
USP出版も絶賛物販中
USP出版も絶賛物販中

そして何より、さりげなくプレゼントが置いてあるから見逃せないのです。前編で紹介した忍者さんの置き土産、それから今回第2部で出演していただく角さんから今注目のクラウドサービスCloudCore(詳細はこの後の本文を見よ!)のステッカーを頂いていたのです。ノートPCの天板に貼ってパワーアップだ!

というわけで、次回のTechLIONからは物販スペースもよろしくおねがいします!(また写真にUSP友の会会長上田氏が映り込んでる……- -;) さぁ、そろそろ第2部の始まりですよ。

第2部―ITサファリパーク

後半の第2部は、IT界の愉快な技術者達を、ホントにホントにホントにホントに……、サファリパークに来たかのように観覧できるITサファリパーク。今回も濃い話が炸裂してました。メイン司会は法林さんから馮さんに交代。第1部で言葉数が少なかったとツッコミを受けてしまったので、第2部ではよろしく頼みますよ!

#1 後藤大地さん―言葉は通じず、電源タップは爆発し…

一人目は、USP MAGAZINE vol.4でも漢らしい姿を披露していただいた有限会社オングス後藤大地さん。題名は「世界にはばたけ!世界の*BSDカンファレンス四方山“裏”話」です。

後藤さん、FreeBSDコミッターをこなしつつSoftwareDesignマイナビニュースなど様々なメディアに記事も書いていらっしゃいます。特にFreeBSD Daily Topicsなど、閲覧者数が後藤さんの仕事に重要な意味を持つので「今すぐに」フィード登録してください(本人談)。

2部ゲスト#1 後藤さんさてメインのお話は、海外のカンファレンス参加をきっかけに英会話を身に付けていったエピソード。きっかけはコーヒー頼んだらコーラが出てきたことだったそうです。そこで「日本が誇る最強の電子辞書CASIO EX-word DATAPLUS 2 XD-GT9300を購入!コイツは単語を喋るし、これで勝てるっ!と思ったのにやっぱり通じない、ホワイ(‘A`)?カンファレンスの友人にそれがネイティブ発音でない現実を知らされ、ショックを受けたそうです。

それでどうしたか?そこで「日本が誇る最強の電子辞書CASIO EX-word DATAPLUS 4 XD-GP9700を購入したのです(←やっぱそれかい!!!)。 でもコイツはネイティブ発音な後継機。次第に英会話の場で空気が読めるようになりそれなりに効果ありでした。

しかし、問題はそれで終わりではなかったのです。オランダで開催のEuroBSDconに行った時、街には英語が一切ない!なんとかホテルに着いて、PCを立ち上げようとした瞬間……電源タップが爆発!!!(;゚д゚) ←電源電圧が違ったんですね。

後藤さん執筆の本をど~ん!(私も買います)
後藤さんの本ど~ん!

それでもとにかく、エンジニアには英語が不可欠、勉強しましょう。それにはまず危機感を高めることが重要です。何も考えず海外のカンファレンスに申し込んで一人で行ってみるのがオススメです。危機感が得られて数年で英語が身に付くようになるでしょう。

そんなわけで「エンジニアっていくつになっても勉強しないとダメだよね」ということで、26日に発売される僕らの本「実践 FreeBSD サーバ構築・運用ガイド」をよろしくお願いします、といって発表終わり。「発表こんな感じでよかったんでしょうか?」 と発表後にご本人から聞かれましたが、今回のゲストの中で一番観客を笑わせておいて何おっしゃってるんですか!!

 #2 角俊和さん―自分が使うものとして作ったCloudCore

二人目は、先程のステッカーを持って来てくださったKDDIウェブコミュニケーションズ(旧CPI)角俊和さん。題して「クラウドインフラ事業の作り方。」ということで、立ち上げられたクラウドサービスCloudCoreの話を通して得た知見をお話しいただきました。

2部ゲスト#2 角さん角さんがお勤めの会社KDDIウェブコミュニケーションズはレンタルサーバーやホスティングの会社。角さんはそちらで、CloudCoreを始めとするホスティング事業を統括なさっているそうえす。ちなみに以前はPerlバリバリなプログラマーをしていたそうです。

さて、世の中を見回すとAmazon AWSだったり、さくらのクラウドだったり……と、既に大手の非の打ちどころがないサービスがあって、出遅れてしまっていたそうです。「じゃあウチはどういうサービスを打ち出せば?」

よくある3C(環境分析)だ4P(商品・販売戦略)だというやり方に基づき、アレしてみたらいいんじゃない?などと企画を練ってみます。しかし、企画段階ではよさそうに思えても、はたから見ると巨大なもの・ヘンなものになりがち。そういう「何を作るか」という考え方の市場分析から発想を転換し、「本当にそれを使って嬉しい人がいるのか?」という考えに基づいてサービスを企画してみました。これって言われてみれば当たり前なことですよね、と角さん。

そうして辿り着いたのが、「使う人」=「作る人」=「ITエンジニア」なサービスCloudCoreだったのです。ターゲットは自分達(目の前にいる)なので本当にユーザーの心に響く企画を立て易かったというわけです。CloudCoreに「開発者支援制度」という、開発コミュニティが催す勉強会向けに会議室を貸したりする制度を作ったのもそういう背景があったからです。

角さんの会社でやった4月バカ企画
MS台湾激似の4/1企画

蓋を開けてみればこのサービスは会社創業以来の大ヒット。今年のエイプリルフールは「使う人」=「作る人」=「ITエンジニア(俺たち)」=「(ならばきっと)オタク!」という綿密な調査に基づかない発想から、MS台湾のとあるページをパクって(でも許可は貰って)右写真のページ←(司会者)なんだこりゃ! を作ってしまい、非常にウケたりもしたそうです。(パクっているのはトップページだけではないのがスゴい……。感動した!)

しかもサービス立ち上げまでに要した日数は僅か60日。「巧遅より拙速」を合言葉に、サーバーエンジニアとプログラマーの座席を混ぜて交流を促進させたり、システムをシンプルな設計にしたり、などの工夫が功を奏したそうです。

やっぱり、使う人の姿を思い浮かべながら作られたモノというのは強いんですね。

#3 閑歳孝子さん―心掛けるは「お母さんにも使って貰えるサービス」

そして本日のラスト。三人目は株式会社ユーザーローカル閑歳孝子さんです。題名は「非エンジニアの私が、いかにしてサービスを作るようになったのか」です。聞き覚えのあるサービスを多数リリースされていますが、その秘訣はどこにあるのでしょうか。

2部ゲスト#3 閑歳さんまずはそんな閑歳さんの自己紹介から。高校時代。パソコン通信に目覚めたそうです。2400bpsのモデムを唸らせながら草の根ネットに始まってNIFTY-Serve。でも当時、恋の話などで夢中な学校の友達に、恥ずかしくてそんな話題はとても振れなかったそうです。あと、Visual Basicでプログラミングもしていたそうですが、挫折。なぜなら、わからない事が生じたところでやはり友達にそんな相談をできず、結局誰にも答えを聞けなかったからというのです。

閑歳さんが手掛けてきたサービス(こんなに!?)
手掛けたサービス(こんなに!?)

その後大学は情報系の学部に進み、学内SNSの立ち上げ、起業などを経験した後、就職。記者、Webディレクターを経て、現在の会社へ。そこで数々のWebサービスをリリースしてきたわけですが、その数々が画面に映し出され(右写真)、多さにビックリしてしまいました。聞き覚えのあるサービスがたくさん……。そのうちの一つソーシャルインサイトで、この日のハッシュタグ #techlion に関するつぶやきの日本国内分布を表示してみると…………、島根県だけ真っ赤っ赤。これには会場も爆笑の渦でした。さすがメインゲストまつもとさん、松江市名誉市民な理由もよくわかります。

それにしてもどうして数年でこんなにいくつも有名なサービスをリリースできたのでしょう。それにはまず問題設定だといいます。ここが一番難しいそうですが、考える上で「適切な大きさの問題さえ生まれれば。」がとても参考になっているそうです。先程の開発サービス一覧にも出てきたソーシャル家計簿Zaimの場合、TechCrunch.comを一年分読破するなどして家計簿がちょうどいい問題設定であることを導き出しました。次に、これから作っていこうとしているものへの心掛けとして3つ基準を設けます。(1)日常的に使うもの、(2)普通の人が使うもの、(3)少なくとも自分が使うもの。さらに閑歳さんの場合、これに加え「お母さんにも使って貰えるサービス」という基準も取り入れているそうです。

そうして開発を始めたら後も、「使って感動するサービス」を常に心掛けます。「おもてなしの心」を持ち、一日に30~50通寄せられた要望・お問い合わせにももれなく対応してきたそうです。そうして、自分の知らない遠くの人の人生が変わることを願う……。

なるほど、やはりそうやって使う人を思い描いてサービスを作っていらっしゃるんですね。ゲスト皆様の話はどれも興味深かったです。ありがとうございました。

本編終了―超貴重な抽選会と次回予告

プレゼント抽選会でまともとさんが自著にサイン中
Rubyの父がRuby本にサイン

というわけで、TechLION本編は終了。最後は恒例のプレゼント抽選会です。今回も協賛の方々からこんなにいろいろプレゼント(+あとこちらも)をいただいたのですが、Ruby本が当たるとRubyの父ことまつもとさんにサインが貰えるというそれはそれは貴重な抽選会だったのです。

運良く当選されたお客様~、いっぱい自慢しつつ大切になさってくださいね。(関係者の私なんてどうあがいても貰えないのですよ~)

次回vol.7は5・14、名古屋で会おう!

次回は5.14、名古屋GeekBarだ!
次回は5.14、名古屋!

さてさて3時間にわたって開催されたTechLION vol.6もこれにておしまい。次回は、再び東京の地を飛び出し、今度は名古屋へ出没します。しかも開催は5月。前回開催から4か月待たされたと思ったらもう翌月なのです。早っ!会場は名古屋Geek Barです。

次回のゲストもまた、普通の顔して実は濃ゆ~い方ばかり?一体全体、どんな突拍子も無い展開が待っているのか!? 名古屋近郊にお住まいの方はもちろん、東京を含むその他地域の方も、是非足を延ばしていただけると嬉しく思います。

ご参加ありがとうございました。

出演者の皆さん、ありがとうございましたゲストの方々をはじめ、TechLION vol.6に参加してくださった皆様、ありがとうございました。このように多くの方々にご支持を頂けていることに、心より感謝を申し上げます。

今日この場を共有し、新たな知見を得た皆様が、それぞれのシーンでより一層ご活躍できますことをお祈りいたします。

TechLIONvol.6報告(1/2)―Rubyの父まつもと氏が考える「10年先も通用するプログラマー」とは

こんにちは。USP MAGAZINE編集長のまつうらです。既に各所で速報していただいておりますTechLION vol.6(2012.04.12@六本木SuperDeluxe)ですが、いやぁ~、前回に引き続き、今回も大変盛り上がりました。その雰囲気を余すことなく伝えるべく、スタッフの立場からより濃いレポートをお届けしてまいります。(→後編(2/2)はこちら)

そもそも、TechLIONって何?

さてレポートに入るわけですが、その前に!今一度おさらいしておきたいことはがあります。それは、TechLIONが何なのかについて、です。

TechLIONとは、今注目の技術者を招き、彼ら彼女らから技術者哲学を学ぶシンポジウム(=飲み会)である。

看板も準備OK

シンポジウムって言うと何かマジメで堅苦しいものを想像するかもしれませんが、本来のシンポジウムというのは酒を酌み交わしながら、哲学について深く語り合う会であり、哲学用語として用いられることもあります。

TechLIONでは日進月歩で登場する技術を勉強するのではなく、それら技術を操る技術者は一体どうあるべきか、どう考えていくべか。そういった、月日が経っても決して色褪せることのない「本質」を、参加者みんなで共有しようとするための宴なのです。本質を引き出すには、普段纏っている鎧兜を皆で脱ぐ必要があり、それでお酒が出てくるわけです。

本日のメインゲスト、まつもとゆきひろさんのトーク「10年先も勝負できるプログラマーとは」というテーマ、これはまさにそういった技術者哲学を語ろうとしているものではないでしょうか。

それではTechLION vol.6のレポートにまいりましょう。

第0部―忍者も乱入!?張り切ってスタンバイ

「おうちに帰るまでが…」とよく言いいますが、それならおうちを出発した時から既にイベントは始まっているのです!というわけでまずはメイキングから。

午後5時、今回の会場である六本木のSuperDeluxeに入って椅子並べたり最終打ち合わせしたりと、手際よく進めます。やがて、ゲストの皆様も続々と会場入り。「あ、どうもー。本日はよろしくおねがいしまーす」などと時折名刺交換しつつ準備をしていたら、いつの間にやら会場内に忍者が忍び込んできたのでした。

忍者の置き土産(マシュマロ)
忍者の置き土産(マシュマロ)
忍者が乱入!?
忍者乱入!(後ろの男は一体…)
準備中(顔合わせ中)
準備中(顔合わせ中)

ムム、何奴!?……正体を問いただすと、どうやらスポンサーのサムライファクトリーさんが送り込んだ刺客のようです。カクカクシカジカな経緯でやって来たらしいのですが、正体を明かした途端、懐から何か取り出しました。一触即発!!! ……と思いきや、それは来場者プレゼントのマシュマロでした。「バカなことを全力でやる」とは素晴らしいキャッチコピーですねぇ。お礼を申し上げつつ、記念に一枚パシャリ。今日はゆっくり楽しんでいってくださいねー。……って、忍者の写真の後ろに誰か忍び込んでるぞ!(←まぁUSP友の会会長上田氏ですけどね)

そんなハプニング(?)もあり、いよいよ本編スタートです。

第1部―獅子王たちの夕べ

司会者はこの二人!
司会者の二人組

さてさて、TechLION、4か月ぶりに始まりました。皆さんおまちどーさまでした!今回は諸般の事情でUstream中継ができなかったので、しっかとこの場でレポートいたします。

観客の皆さん(100人超え!)
観客の皆さん(100人超え!)

司会はお馴染み、 IT業界の明石家さんま(?)法林浩之氏。そしてもう一方、今回から加わった技術評論社の馮富久氏の二人組です。

おぉっと、二人の来ているTシャツが新しいです。そうです、このあいだできたばかりものなんですね。さて、着ているシャツも一新し、これからどんな展開をみせてくれるのでしょうか? 観客の皆様もたくさんご来場いただき(何と100名超え)、今日のメインゲストの登場を今か今かと待っています。さあはじまりです。

メインゲストはMatz。「10年先も勝負できるプログラマーとは」

まつもとさん登場 大々的に宣伝してましたとおり、今回はあのRubyの生みの親で松江市名誉市民でもあるMatzこと、まつもとゆきひろさんにメインを張っていただきました。

いつの間にやらいろいろな肩書きが増えたそうですが、つい先日も2011 Free Software Awardsを受賞されて、また一つ増えましたね。PerlのLarry Wall氏も同賞を貰っていましたけどPHPはまだということで、「Perlに並び、PHPを超えたわけですね!」と早速司会者がフォロー。

10年前を振り返り、10年後を予測してみる

さて、本日のテーマは「10年先も勝負できるプログラマーとは」ということで、10年前の振り返りから話を始めました。なぜ10年か。それはMatzさん曰く「10年先ってのはIT業界にとって永遠の未来みたいなものと考えることができるから」です。

2002年というとRails以前。この頃Rubyは日本を代表するOSSではあった。しかしビジネスにRubyが使えるとは誰も信じていなかった。

まつもとさんトーク中Matzさんはまずそう振り返りました。そもそもレンタルサーバにRubyがプリインストールされてなかったせいもあるのでしょうが。一方で、「自分の周りはあんまり変わってない」とも言いました。自分は殆どの時間をRubyに使ってただけだし、メールもwebもチャットも既にあった、と。だから、この先10年の変化も意外と大したことないかもしれない。そこで「未来は連続的にやってくる」と仮定することにして、10年後をエクストリーム未来予測してみることにしました。

メインストリームPCの性能というのはだいたい20年ぐらい前のスパコンが降りてくる感じ。だから例えば10年後コンシューマ機が1024コアとかになってても不思議じゃない。
一方、メモリに関して言えば、次世代品は今のDRAM相当部分(主記憶)で不揮発化が実現していて、もちろん容量も増えてて320GBとかになっているかもしれない。

など、いろいろと想像を巡らせてみると、これだけみても課題はいろいろ出てきます。こういったメニーコアが普及した時、言語としてどう対応すべきか。また、主記憶がそうなっていたら(キャッシュの概念が不要になる等で)ソフトウェアアーキテクチャも変わっていることでしょう。

10年先でも重要なことを押さえる

その後、より本質的な話に移りました。大事だと思うものを一つ一つ考えていきます。

まつもとさんトーク中数学はどうか。……「数千年前からやってるもんだからあと10年でどうかなるものじゃない」と、ちょっと意外な見解。Matzさん実は数学が苦手で、学生の頃1(10段階評価で)を貰ったそうです。Matzさんが「得意科目は国語と英語」とボソっと言ったところ、すかさず法林さん「やっぱ言語得意なんだ!(笑)

サイエンス。……何よりもサイエンス的な考え方。事実に基づいて推論を行なって検証するというスタイル。これをその時代のトレンドに合わせていくことで、地に足の着いたエンジニアになれるのではないか、と言います。

チャレンジ。……年をとると新しいことしたくなくなりがち。「大人げない大人になろう」。社会生活には分別あったほうがいいがプログラミングに関しては大人げない方がいい、と。そんなMatzさんは、とある中学生コミッターに対抗意識を燃やしているそうです。

名声w。……オープンソース、フリーソフトウェアの世界では、勤めてる企業を話したところで通用しない。「○○を作った人だからプログラミング強そう」と考えてもらえ、それが良い話に繋がる。

継続。……例えば自分の考えたこと、感じたことをブログやTwitterに書く。自分の書いたコードを公開する。こういうのを10年、20年と続ける。「今から10年何かを続けることで、10年先も通用する人になれる」とMatzさんは言います。天才だったのではなく継続によって、今の自分があるのだと。

楽しさ。……「プログラミングが楽しいとずっと思ってて、楽しくないと思ったことは無い」ときっぱり。Matzさんの場合、このように思えるポイントは「万能感」だそうです。プログラミングは「やれば出来る」が結構通用するのだと。

なるほど、10年先も通用したければ今から10年続ける気持ちが大切なんですね。そしてそれを支えるために重要なのが「楽しさ」であると。また一人、天才と思っていた人の蓋を開けたら中には努力が詰まっていた……、そんな思いでした。

最後に質問タイムがあり、私も一つ伺ってみたかった質問をさせていただきました。

世の中には多くのOSSがあり、特長をプレゼンすると「いいね!」と言ってもらうまでは比較的容易です。しかし「俺も使ってみる」という言葉が出てくる程までに訴求することは難しく、それで悩んでいるOSS開発者がたくさんいます。Rubyは今や世界中で使われるOSSになりましたが、何が成功の要因だったと思いますか?

すると、Matzさんは「愛されるプロダクトを作って継続することが、成功の秘訣かな。僕自身はプロモーションを全然していません」とおっしゃいました。質問するまでもなく、トークの内容がその答えだったんですね。今日は、貴重なトークを聞かせてくださいましてありがとうございました。

後編へ続く

第1部はこれにて終了。このトークは、6月発行のUSP MAGAZINE vol.5にてさらに深く掘り下げて再録しますのでご期待ください。

この後、しばしの休憩を挟んで第2部が始まるわけですが、その模様は次の記事で!

法林浩之さんが「日本OSS貢献者賞」を受賞

はじめまして、今回からスタッフの末席に加わりました、かなり屋です。
どうかよろしくお願いいたします。

TechLIONのMCとしておなじみの法林浩之さんが「日本OSS貢献者賞」を受賞されました。
「第7回 日本OSS貢献者賞・日本OSS奨励賞」受賞者を選定

以下引用です。
『日本UNIXユーザ会幹事としてOSS関連イベントの開催を継続的に続けることで、OSSの啓蒙に大きな役割を果たしている。イベント司会を通じて、公開の場で喋ることに不慣れなエンジニアの発表を巧妙なトークで盛り上げている。トークイベントTechLION を立ち上げるなど新たな試みにも挑戦している。』

名試合には名レフリーあり、まさにその功績をたたえられた受賞ですね。おめでとうございます!

今回のTechLIONも超豪華メンバー。どんな試合が待ち受けているのでしょうか?

4月12日、六本木SuperDeluxeにてみなさまをお待ちしております!