vol.13報告(2/2)―若き2人のエンジニア、そのヤル気は変態級!(←褒め言葉)

後半ゲストの2人TechLION取材班まつうらです。vol.14申し込みが始まりまして、早速話題は次回へ移りつつありますが、vol.13の話ももう少しお楽しみください。……というわけで前半戦に引き続き、後半戦のレポートをお届けします。

vol.13の後半戦ではさらに2人の選手(ゲスト)が登場!サイバーエージェントミクシィというソーシャルメディア企業で活躍する若手エンジニア。聞けばどちらも同じ研究室の仲間だったといいます。二人はそれぞれに企業で、どんな経験を積み、どんなことを考えたのでしょうか。

■第二部 ジャングルバス.com

まずは選手の紹介からというわけで、両者のプレゼンテーションからスタート。

#1 紫竹佑騎さん―もう全然チャラくないですから!

紫竹佑騎@サイバーエージェントさん一番手は紫竹佑騎@サイバーエイジェントさん。苗字は「しちく」と読むそうで、79と略されていました。

学生時代はPBXのAsteriskを使ったり、Turbolinux社にインターンに行くなど経験しつつ、音声認識の研究をしていたそうです。二番手に登場する同研究室の同級生田中和紀さんとは卒業旅行も一緒に行った間柄。そんな彼の誘いでOpenIDコンテストに出た事も。あと、2ちゃんねる世代ということで、その手のコンテンツ(面白Flashとかオラエモンとかカトゆー家断絶あたり)を毎日見まくってたり、今ではTwitterにFacebookにtumblr、あとアニメの曲がたくさん流れてくるSoundCloudなどがお気に入りとのこと。(あれ?自社のサービスはとのツッコミには、ガールフレンド(仮)と答えてましたね)

さて、その「自社」ことサイバーエージェントさんの話。「チャラいと思うでしょ?」ということで、会場にも質問してみるとやっぱりそういう印象を抱いている人はそこそこいるようです。しかし紫竹さんは「もう全然チャラくないですから」と力説。「アニメとか超大好きだし、休日はバーベキューとかしないしー……」←いやいや、その喋り方が既にチャラいわ!(byさくらの田中さん)

キラキラ女子
彼女達が顔採用だというなら、あなたは仕事で勝てますか?

サイバーエージェントには新聞にも掲載されたキラキラ女子と呼ばれる方達がいるそうなのですが、彼女達を顔採用だと馬鹿にする人がいるなら「あなたはその顔採用の人に勝てる仕事ができるのか!」というくらいに優秀なのだそうです。確かに、社長の藤田晋さんと一緒に焼き鳥屋にいっちゃえるくらい和気あいあいとした一面もあるそうですが、仕事で求められる能力はチャラいのとは正反対。特に藤田さんの見る目はスゴいそうで、紫竹さんがプロジェクトマネージャーを務めていた時など、経営者的・プロデューサー的目線からこちらが予期していた問題点を見抜いて叱ったとか。そんな出来事もあり辛くなった時期もあったそうですが、そういった目線が持てるようになったことはいい経験だったそうです。

#2 田中和紀さん―作らず、創る

田中和紀@ミクシィさん二番手は田中和紀@ミクシィさん。第一部で登場した田中邦裕さんも田中姓なので呼び分けに気をつけなければなりませんが、適宜呼び分けることにします。

既に紹介したように田中さんは、紫竹さんと同じ研究室の同級生。自然言語処理と音声認識の研究をしていたそうです。この頃田中さんもインターンに行っていたということで、インターン先は今の勤務先であるミクシィ。この頃は会員数が100万人からぐんぐん伸びていた時期で、インフラを支えるべくさくらインターネットさんにお世話になっててラックマウントしに行ってたそうです。

またやはりこの頃、未踏ユースに「思いが伝わる情報デザインツール」というプロジェクトで応募して、見事採択。これはWeb上に写真や日記を投げ込むと勝手にWebマガジン化してくれるもので、今田中さんが推進しているノハナに繋がるサービスだったといいます。

ノハナにおける様々な仕事
これだけのことを、たった4人でこなしている。

ノハナといえばTechLION試合後のつい先日、スゴい事になりましたが、このサービスはミクシィ社内のイノベーションセンターというスタートアップ企画を生み出す部署で走り出したサービスだそうです。メンバーは田中さんを含めてたった4人。与えられる予算も少ない中で、サービスに必要なシステムの構築やデザイン(3か月以内が条件)、運営上必要な各種雑務、そして収益を上げる仕組みの構築まで、全て自分達の力でなさなければならないそうです。しかも何と、ミクシィ社のメインサービスであるmixiブランドは使わず、ゼロからの新規サービスとして展開することが前提とのこと。

こんな厳しい条件の中で学んだことこそが、冒頭で示した「作らず、創る」だったそうです。今、IT業界はますます競争が激化し、巨大企業が資金力や規模にものを言わせてベンチャーの前に大きく立ちはだかるようになってきました。しかし一方で、便利なクラウドサービスが次々登場するなどしてきてます。おかげで今IT業界では、自分で一からプログラムを作らなくてもある程度のところまでサービスを創り出せる時代に……。ここから生まれた発想だといいます。ノハナを創ることで、技術、サービスの作り方、価値検証方法等を学ぶことができ、こうしてビジネスの基礎を身に付けられることがありがたいそうです。

■最後はトークバトルで盛り上がる

今宵もトークバトル本日の選手が全員紹介された後は、トークバトルで盛り上がりました。第一部で登場したさくらの田中さんも再登場し、今期注目のアニメの話から、仕事の話、会社の話、開発環境の話など、エンジニア談義で湧きました。

え、バトルというほどの激しい論戦はあったのかって?……もちろんありましたよ。仕掛けたのはさくらの田中さんなのですが。それぞれの会社で、楽しく仕事をしていると言う二人に対し、「(サイバーエージェント社長の)藤田さんに対して腹立った事ないんですか?」とか「(ミクシィ元社長の)笠原さんに腹立てたこととかないんですか?」と、執拗に答えを求めたのです。優秀な二人は「全然無いですよ!」と応戦。するとその攻防を聞いていた馮P、「さくらの社員の方に、田中社長に対して腹立てたことあるかを聞いた方がいいですよね」と、ナイスなカウンター!そこで、観戦しにきていたさくらの研究所所長さんに聞いてみたところ「今週はまだないですね」と、クールな回答。この日はまだ火曜日でしたが果たして週末まで腹立たれずに済んだのでしょうか、油断なりませんね。

また中盤では、会場から「プログラム組むのは変態でないとできないらしいですが、皆さんはどうですか?」という質問が飛び出し、一時変態自慢大会に……。大して深刻に考えるわけでもなく終電逃したり、泊まり込んだりしてプログラム書くだとか、作ったプログラムがうまく動いた時は画面のソースコードを見ながら思わずニヤけるとか……、十分変態ですね。そしてそんな変態自慢をしている皆さんが、相手のエピソードを指して「それ、気持ち悪いですねー!!」と言うとか、皆さん一体どれだけ変態なんでしょうね(ご存知かと思いますが、ITの世界で「変態」というのは称賛・尊敬を表す言葉ですからね)。

◇ ◇ ◇

このようにして今回もまた、熱くて濃くて深いトークが満載のTechLIONとなったわけですが、その雰囲気は多少なりとも伝わったでしょうか。

それにしても、前半戦の田中さんもさることながら、後半戦から登場した二人もスゴかたったです。「終電後も会社に居て納得行くまでプログラム書いてます。だって仕事だし。ブラック企業って思われるかもしれないけど、僕は別に気にしてないです」と、サラっと言ってのけられるのは、頼もしく、羨ましいです。35歳定年説も単なる噂だとわかったからには、こっちも若い世代に負けちゃいられないですね。

ゲストの皆様、ありがとうございました。

■次回vol.14は海を越えて札幌

本州を脱出して北の大地で開催するTechLIONが、ついに次回となりました。東京を離れてやる回は、それぞれの地域でまた雰囲気がガラっと変わるんです。そこがまた面白い!次回は一体どんなトークが繰り広げられるのか?冒頭でもお伝えしましたが、昨日から予約受付を開始しましたので、是非ご参加ください。

来週水曜日からまた、いつものリレーブログに戻ります。次回担当はともちゃさん、よろしくおねがいします!

vol.13報告(1/2)―進撃の国産エンジニア!アニメ力と技術力は比例する?

TechLION取材班のまつうらです。さて今週は先日(7/23)開催されたTechLION vol.13レポート(注1)の前半ですが、それにしても今回来場してくださった皆様、本当にお疲れ様でした。当日の東京は最高気温35.2℃の猛暑日。かと思えば、夕方は一時電車も止めた程のゲリラ豪雨。「お前ら今日は来るな!」と言わんばかりの天気でしたね。

そんな中、観戦しに来た方々はラッキーだったはず。サイバーエージェントの、ミクシィのあの有名なサービス、そしてあの有名な会社を作ったエンジニア。さぞ高い実力を持っていて近寄り難い人達なんだろうな、と思っていたとしても、観戦すれば「なんだ鼻も目も口もあって同じ人間なんだ」っていう実感と希望と親近感が持てたことでしょう。オマケに、希望者はさくらのクラウドの2万円無料券まで貰えちゃいましたものね。

というわけでレポート前半は、第一部・さくらインターネットの田中邦裕さんのトークセッションの模様をお伝えします。さくらといえば、今年のエイプリルフールにはとある科学の電脳要塞(データセンター)という企画を社のクレジット入りでされてましたが、それというのもこのトークで語られたようなアニメ力の高さゆえなのでしょう。:-)

(注1)当日の全セッションの模様の録画(二部三部エンディング)を公開しています。(撮影協力:日本仮想化技術様)

■第一部 獅子王たちの夕べ(田中邦裕氏)

田中邦裕@さくらインターネットさん 本日のメインゲストは、田中邦裕さくらインターネットさん。1時間たっぷりトークしていただきました。題して「エンジニアと経営と、日本と海外と」。その内容の半分以上は、さくらインターネットの中の話以外に割かれました。ゆえにアニメ力の高い話題もありまして、私は一人のエンジニアとして改めて希望を感じました。

その ワンダーランドすぎる高専生活…

最初は生い立ちを話してくださいましたが、何といっても高専時代がスゴい!中学生の時に学校来て回路図を描くワケのわからない友達に出会って衝撃だったそうで、それもスゴいと思うのですが、進学した高専は、そういう学生の方がむしろ普通だったようです。普通に電子回路の話が通じ、自動車とか戦車とか飛行機とか好きな人達ばかり。学校の図書館には「鉄道ファン」とか「丸(軍事雑誌)」が普通にあったとか。まさにオタクパラダイスですね。

モテない趣味
鉄道とアニメで、モテない趣味のダブルコンボ!

そして、アニメですよ。田中さんは寮生だったそうなのですが、寮の個室にはテレビが無く、ラウンジに1台あったそうなのです。普通はみんなやっぱり阪神戦とかのスポーツ番組を見てるのですが、「土曜夜7時はセーラームーンが見たい!」そんな感じでチャンネル争いがあったそうです。セーラームーンが見たい人達は5時くらいからラウンジに陣取っていたものの、先輩が「おい、何見とんねん」などと声を掛けてくるとやはり譲らざるを得ませんでした。しかし、やがて野郎どもがみんな仲良くセーラームーンを見ている光景がキモく映ったようで、いつしか声を掛けられなくなったのだとか。

ちなみに5時頃は同様にしてかぼちゃワインを見ていたそうなんですが、「こんなに日本にかぼちゃワインを知ってるヤツおるのか!」と、感動されたそうです。もちろんオタクな活動だけでなく、吹奏楽部やロボコンなど、学生らしいクラブ活動もされていたそうなんですが、それにしても恵まれた環境だったんですね。

その ユートピアなホスティングサービスの幕開け…

高専にはSun-3等のコンピューターが普通にあり、ネットワークとしてはあの10BASE-5のイエローケーブルが張り巡らされていたようです。これらをおもちゃに学ぶうち、やがて学内で学生や教官相手に無償のホスティングを始めるようになりました。自分でOSをインストールし、自分でWebサーバーNCSA HTTPdApacheはまだ無い)を入れ、自分で学内マンホールにこっそり潜入してLANケーブルを引くなどして……。(えー!!) こうして、この頃「無ければ自分で作るという肌感覚」を身に付けたそうです。

マンホールに潜入
「LANが無ければマンホールに潜って自分で引く!」村井先生もびっくり?

やがて、インターネットに繋がるようになって、学外からも提供していたWebスペースにアクセスできるように……。この頃には、学内外含めて100人以上のユーザーが付くまでに好評を博していました。ある日、ロボコン大会で秋葉原を訪れた田中さんは、店に展示されてるパソコンから自分の高専のWebページが見えることを実感し「こらぁインターネットの時代来るで!」と思ったそうです。

ところが、運営の危機を迎えます。ホスティングが原因で回線がパンクしたこと、そしてWeb上で会員が公開していたコンテンツに同人のいかがわし~いもの(注2)が混じっており、そんなものをSINET(学術用ネットワーク)に流してはイカン!と言われてしまったというわけです。そこでやむなく、バイトで稼いだ資金を元にプロバイダーに加入してこの危機を乗り切ったそうですが、これが、今のさくらインターネットの始まりだったのでした。

(注2)「『同人コンテンツ=いやらしいもの』ではないと強く主張しておきたいのですが、大抵いやらしいんですね(田中さん談)」、ちなみにこの頃エヴァンゲリオンの同人コンテンツが流行っていたそうです。

その 35歳定年説のカラクリは…

生い立ちの話でだいぶ長引きましたが、本日のトークで田中さんが伝えたかったことの一つを最後に紹介しておきます。それは35歳定年説の真相。

IT業界では、確かにこの説をよく聞きますよね。それで、ちょうど今年35歳の田中さんは、話の冒頭で「今年で定年……」と言いました。これには一瞬驚きましたが、すぐに「そんなことない、というのを今日はお伝えしたい」と、きっぱり否定しました。

田中さん、今年定年!?
もし35歳定年説が真実なら、田中さんは今年引退しなければならない

では何故、35歳定年説がまことしやかに囁かれるのか?それは、35歳くらいから管理職に回って現場を離れるケースが多いからだと、田中さんは言います。また、人材派遣会社が現場要員として35歳位までしか派遣しない傾向もあるそうです。そうやって現場を離れてしまうからエンジニアとして錆びつき、定年と言われるようになるのだ、と。

ゆえに、田中さんは「現場主義」を重んじているそうです。

技術探究しながら後輩の面倒も見て、経営も、っていうのはさすがに無理で、どれが向いているかは性格だと思うんですね。やがては管理職に行かんとアカンみたいな話があるんですけど、僕は違うと思うんです。研究者、或いは経営者になって結果で勝負してもいいし、現場に居て、プロセスで評価されるのでもいいと思う。

その代わり「現場に居ながら、良き先輩になろうよ」と。

恥ずかしいセリフ禁止(注3)。田中さん自身ももちろん現場主義。田中さんにとって経営者というのは、エンジニアと同時に持っているもう一つの肩書きに過ぎず、実際に1日のうちの半分くらいは実は好きなプログラミングをやっているのだとか(こんなものとかも)。それに、経営上大事な「決断」という仕事も、現場を知っているからこそもできるのだ、と。

(注3)すみません。どうかわかる人は笑ってください。とあるアニメのネタですんで。えー( ̄口 ̄;)

田中さん、素晴らしいお話ありがとうざいました。

◇ ◇ ◇

今回の第一部トークの中で、レポーターの私は

「エンジニアであり続けられるかどうかは、
自分で決められるものだと思う」

の一言がとても印象深かったですね。私は37歳。説に従えば既に定年なので、エンジニアとしての技術力はもう無いことになります。さらに、一般的に転職したくても難くなりつつある年齢でもあります。「35歳定年説なんてきっと嘘だ」と薄々感じてはいても、噂として根強いのでやっぱり気になってしまいました。

しかし、個人的に大好きな会社の社長さんに、こうも頼もしく説を否定されると勇気づけられます。私も、自信を持ってエンジニアを続けていこうと思います。もちろん、好きなアニメ鑑賞も続けながら……。

というわけで、後半戦のレポートに続きます。

FreeBSDの実用性が尋常でないと話題に

皆さんこんにちは。TechLION取材班のまつうらです。始めに宣伝ですが、TechLION vol.12のレポートも収録したUSP MAGAZINE 2013 summerが遂に発売されましたのでよろしくおねがいしまーす。

さて、今日はまず、今月初めに話題になったDJポリスについて、知られざる真実をお伝えしましょう。【バカ記事注意!】

■DJポリスが渋谷の若者たちに真に訴えたもの

去る6月4日。日本が2014年サッカーワールドップ本戦出場を決めた際、DJポリスが東京の渋谷駅前に出動したことは有名です。しかしこの、DJポリスが乗っていたゴンドラには9の文字(→検証画像)が……。実はこの数字をもって、DJポリスはある真実を訴えていたのですが、肝心なその真実については未だにどのメディアでも報道されていません。

でも今このブログ記事のタイトルを読んだ勘のいい方ならお気づきになったかもしれませんね。そうです!彼は渋谷に集う若者に対し、

FreeBSDの最新リリースは、9です!
怖い顔をした警察官も実は心の中でFreeBSD9のリリースを喜んでいるんです

と訴えていたのです。渋谷といえばビットバレーと呼ばれるITベンチャー企業の拠点地域ですから、訴求するには最適の場所と判断したのでしょう。

■それはともかく、FreeBSDをお勧めする3つの理由

というウソ情報はさておき(ジョークですからねっ!)、ワールドカップ話の次は、FreeBSDを愛する人に向けたFreeBSD贔屓な話でちょっとだけ盛り上がってみます。

というわけで、「FreeBSDをお勧めする3つの理由」いきます!

1. tcshの“history-search-backward”が超便利

history-search-backwardのイメージLinuxのデフォルトシェルはBashですけど、FreeBSDではCシェル系のtcsh。シェルスクリプトを書くうえでは今ではお勧めされなくなってしまったCシェル系ですが、コマンドを叩くためのシェルとしてはやっぱり根強い人気を誇るのです。中でも特に大きな理由は“history-search-backward”ですよ。

“touch a”, “touch b”, “time”, “touch c”と、4つコマンド打った後、”to”まで打ち込んで↑キーを押せば、”touch *”の3つだけがヒストリー表示されるという。Bashでも設定してやれば同じことできるみたいですけど、デフォルトで使えるようにしてあるFreeBSDの気配りが、使い始めたばかりのユーザーの心をいきなり魅了します。

2. 面倒臭がり屋の心を鷲掴みにするportsシステム

portsのイメージportsというのはFreeBSDの半自動パッケージシステム。いや、半自動という言葉にはかなり語弊があって、都合のいいとこだけ手動にできる全自動パッケージシステムとでも言うべきか。他の大半のパッケージシステムのようにコンパイル済ファイルがあるわけじゃなく、make install一発打たれた後で、ダウンロードからコンパイル、インストールまでを全自動でこなす。もちろん依存パッケージがあればそれらも対象。

基本的にはmake install一発で、後はコーヒー飲みながら待ってりゃいいのですが、各工程に介入することも可能。例えばconfigureオプション変えたいとか、ソースコードに独自のパッチを宛てたいなんて芸当もこなせる。キャーァァ、チョー便利!!

3. UNIX哲学色の濃いCoolなファイアウォール実装!

ファイアウォールのイメージUNIX系OSを使いこなすようになると、自宅サーバーにしたいという欲望が芽生えてくるわけですが、その時に要になるのがファイアウォール。FreeBSDにはIPFWというネイティブなファイアウォール実装があるのですが、コイツがまたCool!!!

(1) ユーザーから見た構造が単純かつ奥深い

フィルタリング(マッチング)はNIC(Linuxで言うところのeth0とかloとか)の通過1回につき1回、ファーストマッチングで行われる。INPUT, FORWARD, OUTPUTとか複雑なチェインの概念はなくて単純明快。 NAPTやQoS制御等、併せてやりたい仕事があるなら各々別モジュールをロードして、その単純な機構に付け足していけばよい。単機能の組み合わせで物事を解決していくUNIXらしい思想。

(2) マルチコア対応等、パフォーマンスで一歩先を行く

ファイアウォール実装は様々あり、FreeBSDの中でも他にipfやpfが存在。しかしFreeBSDで最も歴史のあるIPFWは、FreeBSDカーネルとの最適化が最も進んでいて性能が高く、マルチコア対応も最近ようやく対応したpfを尻目にいち早く対応済。

と、使い出したらもう、他のファイアウォール実装が物足りなくて使う気が起らなくなる程のソゥクーゥ(So cool!!!)なヤツなのですよ。

そんなわけで、オススメする理由山盛りなFreeBSD。他にも、「システム標準ファイルとパッケージファイルで/usrと/usr/localをきっちり分けている」とか、「商人にも優しいBSDライセンスである」とか、とか、とか……。ユーザーを虜にする理由が、挙げればいくらでもでてきます。

■え、さくらインターネットの田中さん来るの!?

にもかかわらず、身の回りではLinuxを推す声ばかり。挙句の果てには、請け負った仕事で、せっかく構築したFreeBSDサーバーを、「FreeBSD分かる人居ないからLinuxで構築し直してください」と、構築し直させられることまであり、寂しい思いをしながら過ごす日々ですよ。

そんな私の心の拠り所はさくらインターネットレンタルサーバーに昔からFreeBSDを採用しつづけているこの会社のサービスが大好きで

あぁ、この会社で働ければFreeBSDに囲まれるし、
なんて幸せだろう……

なーんて思ったりすることもあります。

そんなこと思いながらTechLION vol.12に参加していたら、えー!次のゲストは、さくらインターネットの創業者、田中邦裕さんじゃないっすか!これは超楽しみ。

FreeBSDを採用するに至った(採用しつづけている)理由とか、エピソードとか聞けないかしらん。スタッフの仕事なんてほっぽり出して聞き入りたいくらいですが、本当にやると怒られるので真面目に取材します。(^^;

TechLION vol.13をお勧めする3つの理由

そんなわけで、TechLION vol.13が開催されるわけであります。おぉっと一カ月切りましたね(7/23)。遂にvol.13紹介ページに「演題と概要」が公開されましたが、ゲストはさくらの田中さんの他、サイバーエージェントの紫竹さん、ミクシィの田中さんがご出演!見どころはさくらの田中さんだけではありません。これまでの経験上、ノーマークだったゲストさんから抱腹絶倒のプレゼンや感心・感動を呼ぶトークが巻き起こされたことは何度もありましたから、油断できませんよー。そういう意味で3人のゲストというのは「TechLION vol.13をお勧めする3つの理由」といえます。

Ustream中継やレポートブログ、USP MAGAZINEでの観覧も大歓迎ではありますが、「観戦」するなら会場へくるしかありません!観戦こそがTechLIONの醍醐味です。

  • 料金パターン1(事前予約・事前支払) 2,700円(1ドリンク700円分込)
  • 料金パターン2(事前予約・会場支払) 2,700円(1ドリンク700円分込)

    (当日受付にて現金をお支払いください)

  • 料金パターン3(予約なし・会場支払) 3,200円(1ドリンク700円分込)

    (※事前予約で満員となった場合、ご入場できなくなる可能性があります。あらかじめご了承ください)

  • 事前予約フォーム

    TechLION vol.13

こちらのリレーブログ、来週は馮Pです。TechLION vol.13の見どころをじっくり語ってもらいますので、観戦前の予習に役立ててください。

vol.12報告(2/2)―好きか嫌いか、考え得る事を全て説明してしまう技術屋にご理解を。

ITカップルズこんにちは、USP MAGAZINEまつうらです。すっかりゴールデンウィークですね。この時期、ITカップルの皆さんって、どう過ごしてるのかなぁと、先日のTechLION vol.12に参加してから考えていたりします。

というわけで、今週も4/18(木)に開催致しましたvol.12のレポート(後半戦)をお送りいたします。先週は小飼弾さんの「社会人は積極的に出会いを見つけよう」という前半戦をレポートしましたが、後半戦ではIT業界で知り合ったカップル二組を招き、実際に結婚したITカップルは何を思い、どう過ごしているのか、というトークをいろいろしていただきました。カッコいい話もあればカッコ悪い話もあり、それら全部含めて楽しそうです。でも、カッコ悪いところも律儀に説明してしまう技術屋の習性が、パートナーの理解を苦しめちゃうところなのかもしれませんね。ではレポートご覧ください。(当日の録画も視聴できます。→2部3部エンディング)

■第二部 ITカップルズ・プレゼンテーション

勝手に題名つけてしまいましたが、第二部・第三部は「ジャングルバス.com」というセッション。第二部ではまず、トークをしていただく二組のカップルに自己紹介を兼ねたプレゼンテーションをしていただきました。

#1 松崎吉伸&奥谷泉夫妻―異質との遭遇

maz & izumi 夫妻一組目はmazこと松崎吉伸@IIJさん、izumiこと奥谷泉@JPNICさん 夫妻。お二人とも有名なネットワークの組織にお勤めなんですね。

mazさんはL3(ネットワーク層)を司るバリバリの技術屋さんで、izumiさんはL8(ポリシー層)を司るお仕事をしているとのこと。「ポリシー層って何?」と思ったら、IPアドレスを配布するポリシーの調整業務に対して付けてみた名前ということです。なるほど、確かにインターネットの運営には重要な業務ですね。

さて、夫のmazさんは大学時代、研究室でコンピューターとインターネットに出会い、憑りつかれ、そして「面白そう」という理由で受けたIIJに採用されました。それから暫くして、世界各国のカンファレンスへの出張を命ぜられるようになりました。mazさんの記憶によれば、その一つ、インドで開かれたAPNICカンファレンスでizumiさんと出会ったそうなのですが……。

違うことは素晴らしい
驚きに満ちてる。woderful!
汗を拭うmazさん
汗を拭うmazさん

一方のizumiさん。大学は文系の学部へ進み、機械や通信技術全般は苦手だったとか。ならば何故JPNICに?……それはB-ing(リクルートの求人情報誌)にJPNICの求人情報が載っていて、国際的な仕事に就けそうということで応募し、採用されたからなのだそうです。そしてやはり海外カンファレンスへ出張するようになったそうなのですが、izumiさんの記憶によれば、mazさんとの初対面はJANOGミーティングだったといいいます。あれれ???

ま、そんな記憶の齟齬はさておき、出会った二人は「異質との遭遇」だったそうです。izumiさんは「自分だけでは味わえなかった世界を味わえるようになった」と語り、mazさんは「wonderful。もう驚きに満ちてる」といつもおっしゃってるそうです。ただそれ故なのかもしれませんが、izumiさんによれば「(mazさんからの)メールは『こんなことあったよー』ではなく、自分について語ったびっしりの内容がきて、これを私はどうすればいいんだろうか……」なんて思ったこともあったそうですよ。

#2 ショウジヨシオリ&ショウジユウコ夫妻―年表的なナニカ

ショウジヨシオリ&ショウジユウコ続いて「ドラ娘は俺の嫁」で有名なショウジヨシオリ@クックパッドさん、ショウジユウコ@グルーヴノーツさん夫妻。こちらはソフトウェア系のお二人ですね。

ヨシオリさんはAsakusa.rbもされているバリバリのプログラマー。ユウコさんは、昔プログラムも書いていたものの今は広報おねえさんだそうです。そんな二人は「年表的なナニカ」と題して自己紹介。

2001年、ヨシオリさんはプログラマーになりました。最初にプログラムを教えてくれたのは井原さんだったそうです。その頃ユウコさんは経済学部(=文系)の女子大生。授業でC言語があったものの、ぜんぜん解らず「プログラミング怖い」と思ったそうです。

2004年、ヨシオリさんはWeb系企業に転職。ユウコさんは、どうしたことか、IT会社に就職。怖いと思いながらもプログラムを書いたそうです。(しかしその後、管理部門へ異動)

Keccon2010
Keccon2010の祝辞は全部LT形式。ドラ娘は勿論……
突然の出会い!
LTしてたらドラ鳴らされた。それが出会いだった……

(途中割愛して)2008年、ヨシオリさんはLLイベント“LL Future”にてLTをすることに。ユウコさんは、勤務先が運営するコミュニティー”オブラブ“から誕生したドラ娘という役回りに立候補したのがきっかけで、同じLL Futureでドラ娘を務めることに。そしてヨシオリさんがLTし始めたら、無慈悲なドラが……。それは突然の出会いでした。その頃から交際がスタートし……

2010年5月2日、結婚。この年、“Keccon2010”という飽くまでカンファレンスな結婚披露宴が催されたことは一部で有名になりました。なにせ、参加者からの祝辞も全てLT。もちろん新郎挨拶もLT。そして時間が来れば容赦なくドラが鳴らされたのです。この日のドラ娘が誰だったのかは言うまでもありませんね。ドラ娘はウェディングドレスを纏っていました。

この後、結婚後はどんな生活を送っているかという話に映りましたが、そのお話はこの後の第三部にも登場してくださった太田智美さんのレポートに詳しく記されていますので、まだの方は是非読みましょう。(むちゃくちゃオモシロいですよ)

■第三部 そんなITカップルズとの本音トーク

第三部本日出場の二組のカップルの紹介が終わり、第三部では二組ともステージに呼び戻しての本音トークセッションを開催しました。カップル二組と、MCの二人、加えて前半戦に登場してくださった小飼弾さん。また、IT女子目線のコメンテーターも必要だろうということで前回(vol.11)に引き続き、太田智美@ITmediaさんにも参加していただきました。

いくつかのトピックについてトークがなされましたが、ここでは特に面白かった場面を2つご紹介します。

技術屋(理系)と非技術屋(文系)の愛の確かめ合い方

第三部MC&コメンテーター法林GM:太田さんもあまりITではない世界からこの業界に入ってきたということで、IT業界の人種を見てどう思いますか?

太田さん:自分でプログラム組めるところとか、カッコいいなって思います。

馮P:今、ユウコさんから「えー」って聞こえたんですけどそれはどういうところが?

ユウコさん:いえいえ、もうみなさんカッコいいなって思います!だた敢えて言うなら、文系女子の私が「○○だねー」って言ったら、素直に「そうだねー」って言ってくれればいいのに、そこでいちいち間違いを指摘されると、IT男子って面倒くさいなーって思っちゃうんですよね。

弾さん:うちの娘も僕の妻に対して理屈を言うんですよ。だから、あまり男女関係ないんじゃないかなぁ。でも逆に、理系はそこで「そうだね」って言えば、相手を騙せるってわかっちゃうんです。なのでいちいち指摘をするということは、嘘をついてない証拠なんです。

izumiさん:私はストレートには聞かないんです。「好き?」って聞いたら「好き」って簡単に返せると思うので、「私のどういうところが好きなの?」って聞くんです。でもそれにはざっくりと答えてくれればいいのに、正確に伝えなきゃいけないっていう考えがあるみたいで、「ココとココはダメだけど、ココはいい」って言ってくるんです。それが段々単なる分析みたいに聞こえてきて「私の事好きって言ってくれてるのよ……ねぇ?」って思っちゃうんです。

弾さん:うちは「行使」型だなぁ。好きって聞かれたらベッドに連れて行くなりして行動で示す、みたいな。それに、実力行使というのはこれ以上確たる証拠はないですけど、言葉だと「好きだよ」って返すサーバーがいて、そいつが答えているかもしれないし。

izumiさん:それで私、そういう答えをもらうようになってから「これは確認を求めちゃいけないんだ」と思って、やめました!一緒にいれば、「この人は楽しそうだ」という観察結果から、好きって思ってくれているんだろうなぁと考えられますし……。もし仮に嫌になったら、あまり家にも帰って来なくなるだろうし、話しかけなくなるだろうし。

ヨシオリさん:あの、ちょっとだけフォローさせてもらうと、エンジニアって、「通常は大丈夫なんですけど、万一データセンターが潰れてしまったら……」みたいにして、考え得る可能性を全て伝えなきゃいけないよなぁ……って思っちゃうんですよ。だからそこはあまり責めないであげていただけると……。

mazさん:ありがとうございます!!!(ヨシオリさんとガッチリ握手)

馮P:友情が芽生えてますね。

結婚って打算的?~結婚を維持する技術

第三部ITカップルズ馮P:太田さん、IT女子目線で恋愛ってどう思いますか?

太田さん:私win-winの関係ならいいと思うんですよね。好き、って言っても、だってみんな好きだし。恋愛って難しいし……。

弾さん:恋愛は簡単なんだけど、恋愛から結婚に持っていくとか、結婚を維持するってなると技術が要るかなぁ、と。「好き」って言って抱きつくのは情熱で十分だと思うけど、明日も明後日も3年後も30年後も……となると、やっぱただ好きなだけじゃだめで。

ヨシオリさん:メンテの技術が必要ですね。でも逆に、僕は好きだっていうのが一番大事だと思ってます。win-winの関係が最重要だとすると、例えば職を失ったら俺は捨てられちゃうのかな?って。

弾さん:そういう時に逆に確実に捨ててくれる人でないと僕はやだなぁ。

ヨシオリさん:その気持ちは有りますけど、「逆の立場になった時にできますか?」という話になってしまうわけで、例えば客観的に見て相手が僕に利益をもたらせなくなった時、そうだからといって捨てるなんて、そんな打算的には考えられないですよ。

弾さん:確かにそうだね……。やっぱり技術屋が一番誤解されるのはそこなんだよね。嫌なことが起こった時どうするかってのを、技術屋はキチッと考えちゃうんだよね。

mazさん:僕はちょっと違ってるんですよ。昔、「君にとってizumiさんと結婚するのってどんなメリットがあるの?」って友人に聞かれたんです。その時、「別にメリットがあって結婚するんじゃなくて、好きだから結婚するんだよ」って、一生懸命伝えて……。

法林GM:izumiさん、その時もmazさんは説明長かったんですか?

izumiさん:いえ、この時のmazさんの説明は端的で、私も確かにそうかなって思いました。

弾さん:でも、一緒に居るだけだったらべつに結婚でなくてもいいじゃないですか。僕は籍を入れるまでの三年間の同棲生活って、とても楽しかったですよ。

ヨシオリさん:確かに一緒に居るだけだったら籍を入れる必要はないんですけど、彼女にはご両親他、親戚もいて、みんなが幸せでないと彼女も幸せでない。そう考えると、籍を入れた方が彼女をもっと幸せにできるのかなって。

弾さん:そうそう!結婚って、うるさい親戚を一発で黙らせるってことだよね。

ヨシオリさん:オブラートに包んで言ってるんだから、バラさないでくださいよ~!(苦笑)

ユウコさん:うちの親戚うるさくないですよー!Ustの前のおじいちゃん、うるさいなんて思ってないからねっ。

◇ ◇ ◇

といった感じで、弾さんのぶっちゃけトークが炸裂する中、いろいろと考えさせられる深い意見が聴けました。結婚って情熱だけでは成り立たないものだと思うのですが、だからといって困難に遭遇した時、打算的に判断し、自分や相手を捨てるのか?と。

確かにwin-winというと打算的に聞こえますが、そこを技術屋的に表現するなら、「好き」という気持ちも評価パラメーターに加えて考えればいいのかな……と思います。でもその評価式をどう定めるかが、結婚という命題に対する永遠のテーマなんですよね、きっと。

ゲストの皆様、ありがとうございました。

■vol.13&vol.14予告

さくらインターネット田中邦裕さん
次回出場予定の、さくらインターネット田中邦裕さん

今回も大いに盛り上がったTechLIONですが、今後も精力的に興業してまいりますよ!次回vol.13は7/23(火)、同じくこの会場(六本木Super Deluxe)で開催。ゲストはお一方決まっており、なんとさくらインターネットの創業者田中邦裕さん。実は今回、ご夫婦で観戦しに来てくださいました。

そしてさらに、その次(vol.14)の開催も決まっています。なんと、TechLIONは海外進出!……ではなくて(海は渡るけど津軽海峡で)、札幌に行きます。ゲストは交渉中ですが、日付は9/15(日)、HIPPIES SAPPOROにて開催です。

vol.13, 14ともに申し込み受付はこれからですが、是非とも観戦にいらしてください。お待ちしております。

vol.12報告(1/2)―小飼弾「PerlってLISPだったの!?」その衝撃も学生時代の出会いから

@dankogaiこんにちは、USP MAGAZINEまつうらです。今年も新年度を迎えましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。私はあまり実感がないんですよね。新人と呼ばれたのもだいぶ昔ですし、どこか別の部署に異動して新しい人や環境と出会う……などということもなく、思えば平凡な日々になってしまっております。

しかし、今回のTechLION vol.12は、そんなふうにしてある意味日々に対する感覚の鈍っていた私などにとっては、ちょっとハッとするトークが聴けた回でした。テーマは「出会い」なのですが、よくあるミーハーなものを想像していたとしたら大変に勿体ない!そこはやはりTechLION、深いです。深いうえに、語られる出会いエピソードもエンジニアならではのオチがついているという……。

さて、前置きはこれくらいにして、今回もレポートをご覧ください。まずは前半戦の様子から。尚、当日の録画(1部2部3部エンディング)も視聴可ですので、併せてご覧ください。(撮影協力:日本仮想化技術様)

■第一部 獅子王たちの夕べ(小飼弾氏)

小飼弾さん第一部はメインゲストを迎えて大いに語ってもらうセッションですが、本日のメインゲストはダンコーガイこと小飼弾さん。Perlの雄、また404 Blog Not Foundを運営するアルファブロガーとしても知られ、そして名前に負けない弾丸トークの主。

今回のトークに明確なタイトルは付けられませんでしたが、全体を通してのキーワードは「出会い」、そしてもう一つ、意外かもしれませんがコンピューター言語“LISP”だったように思います。

以下、弾さんの発言を要約してレポートします……

社会人は、出会いがお膳立てされない

「出会い」というテーマをいただいたんですけども、今日は新社会人の方ってどれくらいいらっしゃいますか?……あれ、意外と少ないですね。実は今日温めてきたのは、「社会人と学生の一番の違いはどこか」ということで、それは「社会人は、出会いをお膳立てしてもらえない」という話なんです。

学生の頃だと例えばクラス替えとかで新しい人と出会ったりします。そうやって出会いを演出されているんですが、そうであることに気付かない程、学生というのはたくさんの出会いをお膳立てされているんですね。でもそういった出会いというのは、何も「人と人との出会い」だけじゃないというのが今日の本題です。

あなたはどこで出会った?今使っているその言語に

Fizz Buzz with Perl6
Perl6で”Fizz Buzz”を解く(右はRuby2.0による結果がまだ残っている)

それじゃここで、有名なFizz Buzzをやってみましょう。入社試験とかではこの「Fizz Buzzが2分以内で書けないとプログラマーとして失格」みたいですけど、まぁそれは置いといて……。

まずはPostScriptで……。はい、PostScriptでプログラム書いてる人は?……あれ、いませんか。じゃあメジャーどころのRuby 2.0でやってみましょう。……えーとそれから、僕はPerlの人として紹介されるみたいなので、じゃあ今度はPerl6で。……あとはPython 3.2。で、それからCで……、Brainf*ckで……

……と、数ある言語のほんの一部を紹介しましたが、じゃああなたは、今使っている言語とどこで出会いましたか?会場の方に何人か聞いてみましょう。

観戦者Aさん「大学1,2年の頃、JavaCに、プログラミングとは何ぞやという状態で出会いました。それで今は、それらで仕事してます」

者Bさん「会社に入る前に自習しておこうと、本屋でJava入門という本を見つけたのが言語との出会いでした」

者Cさん(実はスタッフ)「今仕事で使うのはCPythonAWKシェルスクリプトですが、初めてはC++Pascalで、大学一年の時に触りました」

者Dさん「出会ったのはC言語。大学院生の頃に石田晴久先生の『UNIX入門』を読みながらVAX 11/730を、まだ助手だった村井純という人に弄らせてもらっていました。その前はFortranとか、メインフレームのVOS3系のコマンドプロシージャとか」

観覧者Eことmasuidriveさんうーん、なるほど。もう一例いってみましょうかね。ではこの中に「私の触った言語にはevalがある」という人はいませんか?

者E(実はvol.10ゲストmasuidrive)さん「僕はMSXZ80 アセンブリです。あれはバイトコードをプログラム内に置いておけばevalができます。メモリが64KBと少ないから、そうやって自己書き換えしないと規模の大きいアプリが書けなかったんで……」

おいおい!そっちの方に来たかよぉぉぉー! まぁそれはそうだなぁ……。BASICもPEEKとPOKE命令だけ使って実質アセンブリでできるし……って、こんなに変態ばかりが観客だなんて聞いてないぞ(笑)

僕の言語との出会い

ブライアン・ハーヴェイ氏のWebページ
学生時代に授業を履修していたというブライアン・ハーヴェイ氏のWebページ

なんでこんな質問したかっていうと、「果たして僕は、学校に通ってなかったらこういうものと出会えただろうか?」って思うんです。学生の頃、ブライアン・ハーヴェイという先生の下でSchemeというLISPの方言を習ったんですけど、それに出会わなかったら僕は今「PHP最高」とか言ってたんじゃないかなぁ。

僕は元々コンピューターサイエンス専攻じゃなかったんですよ。最初の専攻は生化学だったんですけど、あまりにもつまらなくて文句言ったんです。そしたら「じゃあお前、こっち来い」って言われて習ったのがさっきのあれで……。そこではCアセンブリをやらされて、最後はMIPSのエミュレーターを書かされたんです。このクラスも今はPythonになってしまったのが残念なんですけど……

何が残念って、こういう言語に外で出会う機会ってあんまりないと思うんですよね。こういっちゃ何ですけど、PythonPerlあたりって、特にコンピューターサイエンスを習おうと思わなくても出会えると思うんですよね。つまり出会いを演出されなくてもわりと自然に使う言語なんですよ。

結局、僕に言語との出会いを演出したのは大学だった

僕の仕事は、言語の美しさがどうのこうのとか重要ではなくて、純粋に仕事をやっつけられればよかったんです。それで気が付いた頃にはPerlで仕事してたんですが、最初にPerl5を見た時はビックリしましたよ。「なんだこの矢印は。なんだよ”use strict”って。フザケんな!」と。

ところが、チャーチ数をPerlで書けるということを知って、Perlが単なるお仕事やっつけ言語じゃないかも、って気が付かされたんです。「待てよ、PerlってLISPだったの!?」くらいの衝撃でした。ちなみに、Jcode.pmは仕事やっつけ言語として使っている時に、作ったものだったんですけどね。それでその頃堀江さんに襟首掴まれてオン・ザ・エッヂで仕事したりで……。

だから今振り返っても、実は出会いを演出してくれたのって大学だったんです。その頃にあのカッコだらけのヘンな言語(=LISP)に出会わなければ、こういった話というのも無かったんじゃないかなって思うんです。ホント、大人になってから純粋に「出会う」っていうのは難しいんですよね。皆さんも薄々感じているとは思うんですが、それはむしろキツいんですね。社会人の今から、まるで別のパラダイムの言語に出会うというのは本当に難しいことで。もちろん大人になってからも出会いというのはあるんですけど、もう学校とか親戚とかがお膳立てしてくれはしないので自分で積極的に出会いにいかないといけないんです。

「機会」というものを逃さないで!

Haskell Tシャツ
この日、弾さんが着ていたTシャツはHaskellだった

僕が今着てるTシャツはHaskellなんですけど、僕はオードリー・タングという友人に紹介されて知り、感銘を受けました。LISPも一応関数型言語なんですけど、スペシャルフォームっていうある意味ズルい仕組みでifやforを実現してたんです。遅延評価の概念を実装すればそんなもの要らないことはわかってたのにLISPはそれを長年サボってて……。でもHaskellはそれを本気で実装し、きっちりした関数型言語になってたんです。これはLISPをマジメに勉強していた人ほど衝撃的だと思います。こういった言語も今なら気の利いた学校へ行けば教えてくれるでしょうけど、社会人になると例え見知っても、感銘を受け、つまり真の意味で出会える機会なんてホントにないんですよ。

というわけで、今日は新社会人の方々に、「機会というものを逃さないでくださいよ」って言って、オチをつけるつもりだったんですが……。今日の皆さんは既に相当ご存知ですね(笑)

◇ ◇ ◇

小飼弾さん、ありがとうございました。新社会人じゃありませんが、私にもそのメッセージ、響きました。毎年この時期、街中で卒業生や新入生を見かける度、「あの頃はいろんなイベントがあったけど、社会人になってしまえば以後そういうのが途端に減ってしまって寂しいものだ」なんて思ってました。が、「寂しい」などと言ってないで、私も積極的に機会を見つけに行かなきゃ、と、トークを聴いて思いました。

さて、この後は2組のITカップルを迎えての後半戦へと移るのですが、そのレポートはまた次回に……。どうぞご期待ください。

許可を求めるな。だが信頼を失う覚悟はあるか?

今週のリレーブログは、毎回イベントレポートを担当しておりますUSP MAGAZINE編集部の熱血ライター松浦が務めます。

TechLIONは、いつも弊誌で掲載させていただいているイベントであり、お世話になってます。(サンプル読めますよりぬき版2013winterにTechLION記事収録)

さて今日は、過去のTechLIONで紹介された「許可を求めるな。謝罪せよ」のフレーズについて、思いをぶつけます。

「許可を求めるな。謝罪せよ」との出会い

「許可を求めるな。謝罪せよ」というハッカー心得を紹介する吉岡さん
「許可を求めるな。謝罪せよ」というハッカー心得を紹介する吉岡さん

私は自他共に認める熱血漢です。他人がそう認めているのは尊敬ゆえではなく、信念だけで行動している人間性への批判だろうと思っています。そんな私はTechLION vol.5で「プロの酔っ払い」こと吉岡弘隆さんが紹介していたフレーズ「許可を求めるな。謝罪せよ」に大変感銘を受けております。

この言葉は元々3M社の社是であり、ハッカーの心得でもあるらしいのですが、

インターネットなんつーものはね、許可なんか求めていないクレージーな人たちによって作られてきたんだよ。それによって社会はすごくよくなったんだ。もし彼らが許可を求めていたら何も起こらなかった。そんな社会を我々は求めているのか。そーゆーことだと思う。許可を求めるな。謝罪せよ。

吉岡さんのブログより抜粋引用

ということで、その半ば強引なまでの積極性がなければ、世の中を変えることなんてできやしないという教えであろうと思います。そして私は前述のとおりの熱血漢ゆえに、このフレーズとの相性がピッタリで、以前からわりと近い考えで動いてきました。

謝罪は、信頼喪失を伴う。覚悟はあるか?

しかし、背負う責任、与えられる信頼が大きくなるほど、これは実践が難しいということを痛感します。他に大した後ろ盾もなく、ただ心に湧き上がる信念に則って行動することにはやはり限界がある、と。

実際、そのフレーズにしたって、「謝罪せよ」……と説きはしますが、実際に謝罪するとどうなるか。その人は信頼を失うことになります。謝ればそれで済むなんてふうに世の中都合よくありませんもの。もちろん信頼は回復することができます。さらには、以前よりも大きな信頼を得ることも不可能ではないでしょう。しかし、一旦は手放すことを覚悟しなければなりません。一旦どころか、元に戻らないかもしれません。時間もどれだけかかるかわからず、その間に別のチャンスを逃す恐れすらあります。

それでも許可を求めず行動を起こすか?

お前のやろうとしている事は、最後に信頼を取り戻せるほど立派なものか?

取り戻せるほど立派だとしても、取り戻し終えるまでお前の気力は持つのか?責任は果たせるのか?

やめといた方が利口だぞ。±0、何も損しやしない。

もう一度問う。それでも許可を求めず行動を起こすか?

最近、そんなふうに葛藤するようになりました。おそらくあのフレーズと出会ったことが大きな理由でしょう。「許可を求めるな。謝罪せよ」というフレーズが存在することを知らなければ、もっと早い段階で諦めていたはずです。

行動原理を形づくるヒントに

そうやって諦めていれば、頭の中に突如浮かんだ「もしかしたら世の中を変えるかもしれない(変えないかもしれないが)」というアイデアは、今までもこれからもあっけなく霧散していたことでしょう。私にとって、そういったアイデアをしぶとく吟味するようにしてくれたのはTechLION vol.5でした。

こんなふうにして自分オリジナルの行動原理を形づくるためのヒントを与えてくれるのが、TechLIONだと思っています。私はあのフレーズから以上のような思いを抱くようになりましたが、聴いた人の数だけ違った考え方が生まれたことでしょう。

とにかく、そんなヒントを集めたくて、私は次回もTechLIONに参加します。取材だからという理由は関係無しに。


  • 料金パターン1(事前予約・事前支払) 2,700円(1ドリンク700円分込)
  • 料金パターン2(事前予約・会場支払) 2,700円(1ドリンク700円分込)
    (当日受付にて現金をお支払いください)
  • 料金パターン3(予約なし・会場支払) 3,200円(1ドリンク700円分込)
    (※事前予約で満員となった場合、ご入場できなくなる可能性があります。あらかじめご了承ください)
  • 事前予約フォーム
    TechLION vol.12

つぎは、高坂さんに、このリレーブログのバトンを渡したいと思います。

vol.11報告―容赦無きドラに大喜利に、どうなる三年目のTechLION!

TechLIONvol.11「1月生まれのエンジニアたち」こんばんは、USP MAGAZINEまつうらです。年も明けてだいぶ経ちましたが、今年も宜しくお願い致します。

TechLIONとしての新春初試合は去る1月16日、東京・六本木にてvol.11「1月生まれのエンジニアたち」と題して開催してまいりました。今日はその模様をレポート致します。

■三年目の新たな試み

立ち上げた2011年、そして2012年を経て三年目に突入。これまでも少しずつ新たな試みをしてきましたが、今年一発目の新たな試みは「メインゲストを置かないで、立場関係無く、終始みんなで語り合ってみよう」というものでした。

皆でLTやって容赦なくドラを打ち、皆で大喜利やってツッコミ合戦したり、そして皆で腹を割った話をしたり……。ゲスト集めにも趣向を凝らしました。1月開催だし、馮Pも1月生まれだし、1月生まれの人を集めてみようかと。ただ、すごく旬な人がいても「この人一月生まれじゃないからダメ」みたいなことがあって、それなりに苦労もしたようですが(笑)

参加した皆様、今回の試みはいかがだったでしょうか。では、vol.11のレポートをお送りします。録画もあります(第一部第二部第三部)ので、お仕事の合間に是非こちらもご覧ください。(撮影協力のびぎねっと様にはこの場を借りて感謝)

■第一部 私と○○と2012年(自己紹介)

今回のTechLIONは三部構成で開催しました。第一部はライトニングトークExのコーナーで、実はこれ初期のTechLIONでは毎回やっていたコーナーなのです。ゲストそれぞれに5分間一本勝負のLTをしてもらい、その後司会とトークをするというもの。ただし、今回は「私と○○と2012年」というテーマでという課題があり、本日対戦するゲストの自己紹介も兼ねる仕掛けとなっております。

「ドラ娘」太田智美さん(写真左)
「ドラ娘」太田智美さん(左)
本日の「ドラ」(デビュー戦)
本日の「ドラ」

LTといえば、必要不可欠な小道具と役としてドラとドラ娘というのがありますが、今回ドラはこれまたびぎねっとさんご提供(ちなみにこのドラはデビュー戦だそうです)。そしてドラ娘は、ITmedia記者の太田智美さんにしていただきました。しかもその大役に見合う衣装で臨んでいただきましてありがとうございます。

#1 宮原徹さん―「全俺に聞いた2012年10大ニュース」

宮原徹さんお一人目は宮原徹びぎねっとさん。今回は撮影やドラ等でも大変お世話になりましたが、実は記念すべきTechLION vol.1にも出演していただきお世話になっていました。実はTechLION史上二度目のご出演なのです。

今日のLTのテーマは「全俺に聞いた2012年10大ニュース」ということで、去年の出来事の振り返り。強引に割愛してご紹介すると……、(1)1/9誕生日…年間ニュースで大抵最初に来る、(2)主食抜きダイエット実施、8kg以上痩せた、(3)赤ワインにハマり、ワインセラー設置、(4)オフィス移転、(5)初めての配当出し…やってみたかった、といった感じでした。

あと、毎朝30分「環境整備タイム」と称して、自分達で事務所の掃除や整理整頓、環境改善の雑談、等を行う時間を設けたということで、これで大掃除が不要になり業務効率改善に役立ったそうです。

#2 廣川類さん―「私とPHPと2012年~PHP三大ニュース~」

廣川類さん二人目は廣川類日本PHPユーザ会さん。日本PHPユーザ会でもう15年くらい活動なさっているということで、法林GM曰く「LLイベントでもお世話になっている」そうです。(弊誌でも取材させていただきました)

LTは「私とPHPと2012年 ~2012年PHP三大ニュース~」ですが、まずは軽く自己紹介。PHPは職業でやっているのではなくホビーユーザーということなのですが、PHP国際化(mbstring)や、マニュアル類の翻訳、マンモス本(PHPのバイブル)の執筆など、実にパワフルに活動されています。

と、自己紹介していたらまさかの時間切れ。PHPカンファレンス2012WordCampと共同開催したというところで無情にもドラが響きました……。

#3 稲葉香理さん―「私とPostgreSQLと2012年」

稲葉香理さん三人目は本日ゲストの紅一点、稲葉香理SRA OSSさん。主にPostgreSQL関連のコミュニティ活動をされています。

題目は「私とPostgreSQLと2012年」。仕事を始めてから13年程だそうですが、最初は純粋なエンジニアからスタートし、今はマーケティングのお仕事をされているそうです。

昨年は突然山登りに目覚めたそうで、夏くらいから計数十回も登山をしたといいます。仕事関係では監視ソフトZabbixのカンファレンス等で海外に計一か月以上も赴いたり、二年間通っていたビジネススクールを無事卒業したり、ととてもアクティブに活動なさっています。

#4 川崎有亮さん―「私とべいでえたひんと2012」

川崎有亮さん4人目は川崎有亮クルキューズさん。「KagoDBって知ってるかい(後述)」などなかなかいい味出してました。

さて、LTのお題は当初与えられた課題の○○に「べいでえたひん」をハメ込んで「私とべいでえたひんと2012」(渡米で得たヒント)、というわけでここからしてユニークですね。

昨年までリクルートの事業開発部門で仕事されていた流れで、米国でオフィス立ち上げをしてきたそうです。当初は色々とわからない事だらけだったものの、頑張ればどうにかなるのかな?という印象を掴んできたといいます。

そして、シリコンバレーではDemo Dayという対投資家発表会やハッカソンが毎週のようにしかも大規模にも行われており、日本には無いスケールの大きさとエコシステムを肌で感じてきたそうです。「エンジニアなら一度は行ってみるべきだ」と。

#5 米林正明さん―「僕とくもと2012年」

米林正明さん最後は米林正明Abby(エビイ)さん。馮Pによれば、前回の片山さんに相当するイジられ役のようですが、確かにそんな一面が……。

LTは「僕とくもと2012年」ということで、クラウドを匂わせる題目でした。去年は、その片山さんに雲隠れされたとか、初夢は筋斗雲に乗る夢だったとか、いう事でしたが、マジメな話をすると去年は殆どの案件をGoogle AppsAWSといったクラウドでこなしたそうです。去年ともなるとお客さんもクラウドについてはよく知っていて、「じゃあそれでお願いします」とすんなり提案が通るようになっていたのだとか。

最後に、今回出演の機会を与えてくれてTechLION Love!、馮さんLove!、法林さんLove! そして「Yes!法林Love!」とキメたかったところですが、スライドが(リトライしても)ちゃんと出ずに、きっちりスベってくださいました。ご馳走様です!!

■第二部 ジャングルバス.com 新春大喜利

新春大喜利風景
こんな感じで大喜利しました

さて二部は、これも初の試みで大喜利です。ゲストを一同に集めてホワイトボードとサインペンを渡し、司会が出すお題に答えてもらうというセッションです。名回答、珍回答が出てくるかなーと実は個人的に今回一番楽しみにしておりました。

それで、期待通りに面白かったので、受け答えを全部紹介したいところですが、スペースの都合もありますので涙を飲んで抜粋しました。こんな感じのやり取りがありました……

第一問「2013年、この技術/サービスが来る!(理由とともに)」

KagoDB知ってる人は?
KagoDB。あれ知りませんか?

第一問のこのお題は今年はきっと「これが来るに違いない!」という予想を発表してくださいというものだったんですが、のっけからやられました。

宮原さんは「キャッシュ技術」、廣川さんは「オープンソースハードウェア(Raspberry Piなど)」などと各自マジメに答える中、川崎さんの答え→『KagoDB』。「はい、これ知ってる人?」……、誰も居ません。しょうがないので川崎さん自ら説明したところによると、「これは今僕書いててリリースしてないんですけども」って、そんなのわかるかー!! 真面目な話をすると、JavaScriptで作っている軽量NoSQL実装のようです。MongoDBのMongoはバカデカいという意味から来てますが、カゴくらいのデータを扱えるようにという……。

それだけじゃあんまりなので、他の回答も紹介すると、あと稲葉さんが「クラウド」と答えていました。周囲を見渡してみても使い始めたというお客さんが増えているし、自由にサービスを設計できるのが特長のオープンソースソフトウェアには一サーバー年間保守でいくらというこれまでのビジネスモデルが合わなくなってきていると。実際、PostgreSQL等も台数を増やして分散化させる技術が登場してきているといいます。

第二問「自分をプログラミング言語に例えて言うなら何?」

これもいろいろ面白かったんですが、廣川さんの回答を紹介します。

PHPユーザ会の方なので当然PHPと答えるかと思いきや、いや確かにそうなのですが、答えは「PHP1.0」。

私はシンプルで可愛くて小さいのが好き。最新のPHP5.4だと何MBもあって巨大になっちゃったんですけど1.0って数十KB程度なので半日あればソースコード読めます。こういうところでちょっと楽しみながら勉強できるが昔のPHPのいいところなんです。

なるほど、そのお気持ちわかります。それにしてもPHPも1.0は随分と小っちゃかったんですね。ちなみに、その1.0はPHP museumに行くと今でも入手できるそうです。

第三問「関わったプロジェクトがまさかの大炎上!さあ、どうする?」

これまたクスっとくる回答続出だったのですが、個人的には宮原さんのが特に面白かったです。答えは「(とりあえず)走る」

結局何とかしなきゃならないという時に、最後に頼れるのは肉体である。だから自席からとりあえずマシンルームに走って自分で何とかするのだそうです。そして実はこれが、オープンソースに「走る」きっかけだったと。

一時期は「これぁもうWi○NTダメだ、と。Linux版のOracle出してくれ」と、悲鳴を上げていたそうですが、そんな話を人にすると「実は俺も走った」なんて答えが返ってきたのだとか。「(あの頃は元気で)まぁ若かったですね(笑)」と、宮原さん。

■第三部 大放談!あのひとに聞いてみたい~質問

締めくくりの第三部は、第二部より若干マジメ路線に戻してのトークセッション。事前にゲストから相手に質問したい内容を募って互いに尋ねあうという内容です。ここも涙を飲んで巻きで紹介します。(是非とも録画を見よう!→第三部

2012年、OSS界で活躍した人に「いいね!」を送るとしたら誰?

これは廣川さんから出された質問なのですが、他の人が考えている間にナゼか廣川さん自身にも振られました。

廣川さん:(まさか自分に振られるとは!)続けることが素晴らしいと思うので、私はOSCを続けていらっしゃる宮原さんを尊敬します。短期間ならまだしも、5年10年続けられるのは冷静に考えるとスゴイな、と。

すると宮原さんがそれに対して、

宮原さん: 今は結構皆に任せきりなんです。そうでないと回らないくらいの規模に成長してきていて、僕個人の手を離れて事務局という組織戦へ移ってきてます。そして君達はそれぞれこういう立場なんだから、君はこう、君はこう立回らなきゃならないんだよ、みたいなこと言ってます。

なるほど。OSCは個人戦から組織戦へと上手に移行していったところが大きいんですね。そして他には、川崎さんからこんな答えが……(ちなみに米林さんも同様でした)

川崎さん:Qiita(キータ)。2011年に始まったソフトウェアの開発や運用に関するTipsの共有サービスですね。今までは解説とかしたければブログを開かなきゃいけなかったけど、最近はこういったサービスのおかげで開発者にとっての敷居が下がっているのかなと感じます。だからQiitaを公開した人達だけじゃなく、参加している人達みんなにですね。

私も登録してますし、困りごとを検索するとよくここがヒットしてお世話になってます。英語圏でのStack Overflowも同様に、今では多くのエンジニア達に重宝される存在になってますよね。

皆さんのお奨めの勉強方法は、どのようなものがありますか?

これは米林さんからの質問。勉強法で米林さん自身が間違った勉強法で後悔していての質問なのですが最後に発表するそうです。さて、それに対して宮原さんはこう回答しました。

宮原さん:セミナーの講師とかを企画して自分を追い込みますね。教えるという立場になると習得率が大体8割くらいになるそうです。……って、こんなこと言ってるから「2週間後にセミナーやってください」とか無茶頼まれるんですけどね。(笑) でも、そうなったらもう必死で勉強するわけですよ、評判ガタ落ちにならないように。自分ひとりで完結させるとどうしても甘えがでちゃうから、アウトプットを出して他人に評価されるように仕組むんです。

自分で完結させると甘えが出ちゃうというのは、耳が痛いですね。ちゃんと結果を出さないと覚えたつもりで終わりがちですよね。同様の事は稲葉さんも回答されていて、例えばリサーチした後は、社内で15分くらいのショートプレゼンを行うようにしているといいます。

2013年、エンジニアに向けたメッセージ

米林さんの間違った勉強法発表が気になるところですが、それはここでのメッセージにもなっていたので、まとめて皆さんからのメッセージを一気に発表します。

稲葉さん:「石の上にも……」ですね。「これやってて意味あるのか?」って思っちゃうことありますけど、ある程度続けていると見えてくるものってあるなって思います。最初の頃って周りが見えてないんですよね。「3年くらいやってみてようやく見えてくる」と、自分がエンジニアやっていた頃も、マーケティングを始めてみても感じます。

川崎さん:(図で説明)ローカル、クラウド、グローバル。どうやって新たなテーマを見つけていくかと言う時に、これらどれかの分野に注目してみたり、重なり合う分野に注目してみたり、あるいは全く違う分野から見つけてみたり。いろいろあると思います。去年私はグローバルの分野を突き詰めていた、と。

写経禁止
「写経禁止!」

米林さん:「写経禁止」。以前僕はノートに書くことが正しい勉強法だと信じていたのでC言語の本に書いてあるプログラムをひたすらノートに写してました。先輩からは「おーすごいじゃん!超やってるね」と言われて調子に乗っちゃったものの、いざパソコンに向かったら結局int mainしか書けなかったんです。だからそういう間違った勉強法をせず、エンジニアの皆さんにはよく考えて無駄なことをしてほしくないですね。

宮原さん:自戒の念も込めて「あえて自分でやれ」と。ネットには結果としての知識の集合「集合知」があってすごいなーとは思うんですけど、それが当たり前になってくるとやがてうまくいかなくなると思うんです。サッカーだってちゃんと個々が戦術の意味を理解してこそチームとしても強いわけで。「ちょっとネットで調べてわかる程度だったら、それ誰でもできるよ」と。それが再評価される、揺り戻しが来てると思います。

Have fun!
「Have fun!」やっぱり楽しまなくっちゃ!

廣川さん:「Have fun!」。20年弱くらいエンジニアやって、一番重要なスキルがこれだと思うんですよね。失敗するとそこでウジウジしちゃいがちですけど、そんな時は「何てこんなに奥深いんだ。神は俺にまだハードルを残してくれてたんだな」みたいにしてその奥深さを楽しめることがエンジニアの才能に繋がるんだと思います。

皆さんそれぞれに、深くて素晴らしいですね。この発表は最後の人が一番責任重大ですからねと脅かされていた廣川さんのメッセージでは感動の拍手が巻き起こっていました。面白オカシいシーン満載だけど、実は深い話が聞けるTechLIONも、こんな感じで今年も順調なスタートがきれました。皆様ありがとうございました。スタッフ一同、今年も引き続きよろしくお願い致します。(下の写真は、毎回恒例の出場者記念撮影。写真にマウスを重ねると……)

■気になる次回(vol.12)は?

小飼弾登場!さて、次のTechLION(vol.12)ですが、今回のエンディング時にアノ人の登場が滑り込みで決まりました。

法林GM自ら、今回たまたま用意していたホワイトボードにて発表!その人とは…小飼弾です。Perlの雄でブロガーで、SoftwareDesign誌でもブイブイ言わせているあの人ですね。

他にも、ショウジヨシオリ&ショウジユウコカップル(「ドラ娘は俺の嫁」カップル)だったり、松崎吉伸&奥谷泉カップル(世界のインターネットで活躍するITカップル)だったり、とアルファブロガーに新婚さんいらっしゃい的なカップルズと、これまたどーなることやら想像もつきません。

お申し込みはこちらから、是非!!!!!

Vol.10報告(2/2)―エンジニアとは「好きなことをやる人」のことだ

こんにちはUSP MAGAZINEの取材班 まつうらです。村井先生セッションの前半戦レポートはいかがだったでしょうか。お読みいただいて、このイベントの方向性やノリが伝われば幸いです。(まだ読んでいない方は是非)

今回は先週に引き続き、11/16(金)に開催しましたTechLION vol.10のレポート(後半戦)をお届けします。当日の模様を録画した動画もありますので是非あわせてご覧ください。

■後半戦、ITサファリパーク

村井先生も司会に回ってゲストを迎え撃つ
今度は村井先生も司会席に回り、ゲストを迎え撃つ

さて、後半戦のはじまり。今回はvol.6と同じく「ITサファリパーク」です。

これは、サファリパークに来たかの如く、次々に登場する今注目の若きITエンジニア達と対談していくセッションです。前半戦で語る側だった村井先生も左写真のようにしてコメンテーターとして司会側に回り、愉快にトークしていきます。(司会側に回ったはずが、司会にツッコミを入れられるシーンも→上記動画の35:17あたりから)

今回招かれた3人のエンジニアの皆さんも、仏具を磨くのが趣味だったり、一人一人が世界各地域に分散しながら働く会社で仕事をしていたり、自宅の風呂が主な仕事場だったり、と非常にユニーク!そして、自由でアクティブ。では、いきましょう。

#1 片山暁雄さん―AWSは「一家に一台成型機」を実現した

片山暁雄@アマゾンデータサービスジャパン さんお一人目は片山暁雄アマゾンデータサービスジャパン さん。AWSのサービスを提供する仕事の傍ら、そのユーザーコミュニティーであるJAWS-UGでも精力的に活動されています。それと、個人なのにナゼか#ヤマンというハッシュタグが付けられているそうですよ。

まずは自己紹介ということで、小学生の頃の話から(どういうわけか、TechLION出場者って小学校まで遡って話し始める方が多いです)。……ひたすら仏具を磨いていたそうです。「この真鍮のテカリが~」とか「これが世界だ!」みたいな感じで。やがて趣味が高じて大学は金属工学科、卒業後は南京錠を製造する会社へ。ところが配属されたのは鍵は鍵でも車のドアの取っ手部分、樹脂(=非金属)だったそうです。

非常に残念な思いはしたものの「それでも技術は磨きたい!」。製造現場の樹脂成型機を好きなだけ弄りたかったものの、適いませんでした。動かすのも原材料もタダではないからです。自由に技術を磨ける場を求めてIT業界へ!そこでやがて巡り合ったのがオープンソースの世界とAWSだったといいます。

AWS上には何でもあります。独り占めできるホストは勿論、ロードバランサーCDNなどなど。しかもパソコン一台用意するだけで誰でも弄れるのです。さらに、使った分だけ課金なので膨大な初期費用も不要。こうしてまた一つ、技術が個人の手の届く高さに降りてきたという意味で革命的な出来事です。

そんな環境が手に入る時代、ユーザーグループの存在はますます重要になってきました。AWSには様々なソフト・ハードがありますが、Amazon自身が活用法を全て網羅しているわけではないからです。各分野に詳しいユーザーと、一緒になって新たな活用法やノウハウを積み上げていく必要があります。そんなこともあり、2009年にJAWS-UGというユーザーグループを立ち上げ、3年経った今年、気がつけば国内24支部になり、世界的に見ても活発なコミュニティーになっていたそうです。

まさに「一家に一台成型機」の精神ですね。JAWS-UGの盛り上がりは、そこに共感する人々の多さを物語っているように思います。

#2 高野直子さん―分散して働くことでわかったことがある

高野直子@Automattic さん続いて登場したのは高野直子Automattic さん。以前はマクラケン名義で活動されていましたが、直子さんといえばWordCamp等、WordPressに関する活動でご存知の方も多いのではないでしょうか。直子さんのトークで特に興味深かったのは勤めている会社と、肩書き、そして働き方でした。

所属されているAutomatticという会社。WordPress等のオープンソースソフトウェア開発への貢献やホスティングを主な業務としている社員130名程の会社なのだそうですが、社員一人一人が世界中の各地域に分散して働いているのです。(会社案内ページの一番最後にその様子が……)何故この形態がとられたかと言えば「この仕事に適したスキルを持つ人が世界中でオープンソース活動しており、一国で人を雇うより、彼らを雇う方がメリットだったから」といいます。

また、直子さんの持つ肩書き「ハピネスエンジニア」。実のとこと具体的に何をしなければならないかということは全く決まっていないそうです。今は日本のユーザーにWordPressを使ってもらうための翻訳や国際化、サポート、それにWordCamp等のコミュニティー活動などをされているそうですが、ゴールは「ユーザーを幸せにすること」であり、それらの業務が目的ではないといいます。

こういう非常に自由なスタイルで仕事をしている中で見えてきたこと。それは、当たり前のように聞こえますが「コミュニケーションがいかに重要か」ということ。普段から社員同士が離れて仕事をするため、いかにコミュニケーションをとるかということも重要なテーマ。例えば以前、社員同士のやりとりツールとしてTwitter等を使っていたものの、自分達が求める要求をいまいち満たせていないと感じ、ついにはWordPressのテーマという形で独自に作ってしまった程だそうです。これも、離れているからこそわかることだといいます。

またコミュニティー活動に関わる中で、先程のJAWS-UG同様、やはり日本のコミュニティーの強さを実感したそうです。イベントなどはっきりした目標があると皆一丸となってやるぞという雰囲気で。そもそもWordCampが一カ国で年何回も開かれ、その度に数百人以上集まる日本は珍しいケースなのだそうです。

半分ノマドワーカーやってる筆者からしてもその働き方はとても魅力的です。そしてこういう働き方であるほど、コミュニケーションの重要性が人一倍見えてくるものなのだなあと思いました。

#3 増井雄一郎さん―全てを失っても仕事のできるエンジニアに

増井雄一郎(masuidrive)@FrogApps本日後半戦の最後は増井雄一郎(masuidrive)FrogApps さん。紹介するにあたって所属(@~)を記してみたものの、増井さんがトークで話していた目標や生き方からするとあまり意味がないのかもしれません。テーマが「どこでも生きていけるエンジニアを目指して」だったのです。(→当日の資料(マインドマップ)

masuidriveこと増井さんといえば、風呂でプログラミングをする「フログラミング(風呂グラミング)」或いは「フログラマー(風呂グラマー)」として有名です。が、それは純粋に風呂が好きだからというのみならず、エンジニアとして生きていくうえでのある戦略であることも窺い知れました。

増井さんはRubyの他、PHP、Java、C/C++/ObjectiveCなど実に多様な言語を使うほどに技術に対する好奇心が旺盛で「ほっとけばやっている」ものの、そうやって多くの技術に興味を持つ故なのでしょう、「飽きっぽい」そうです。つまりやりたいことが次から次へと現れては移っていくことに。それ故に個人的な目標は、いかにして好きなことして暮らしていけるかであり、常にそのことを考えているそうです。

そんな自分のこれまでを振り返ると何をしてきたか。色々話をされていましたが、オープンソース活動に携わったり(その一つが有名なPukiWiki)、人々の興味を引くブログをつけたり、作りたい物リストを公開してみたり(それを見た企業の誘いで実際に製品を作ったことも)など、オンライン的手段を上手に活用したそうです。(フログラムもその一つ)そうやって知名度を上げることで自分の技術を買ってくれる人を探して大事にし、「自分が今持っているものを全て失ってもすぐ仕事ができる下地」を築いてきたといいます。

「今後は海外でも仕事ができるようになりたい。なぜなら自分のやりたいことがニッチになればなるほど、国内の需要に重ねることが難しくなるから」

最後はそう語っていました。「やりたい事だけやるなんてそんなの甘いよ」などと思うかもしれません。しかし、その欲求を忠実に守るため、しっかりとした戦略を描き、実践していることはむしろ素晴らしいと思いましたし、羨ましいです。ちなみに、村井先生から「あのさ、海外で『フログラミング』ってなんて説明するの?」って質問を受けた際「ちゃんと説明したんですが、何人かに『ハードコアだね』って言われました」と返していたのが面白かったです。

エンジニアって「好きなことをやる人」のことだよ

今日の3人がこうしてとても生き生きとしたエンジニアライフを送っている様子を聞き、村井先生がこう言いました。

エンジニアの定義って何だと思う?……好きなことをやるのがエンジニアなんだよ。 さっきの「ハピネスエンジニア」ってのそうなんだけど、今日のゲストみんなハッピーでしょ。法林さんもツッコミばっかりやってるからハッピーだよね(笑) 日本が世界にどれだけ貢献できるかってのも、やっぱり「どれだけ好きなことをやれるか」だと思う。
(中略)
それとね。このあいだ山中さんノーベル賞とったけど、俺サイエンティストとエンジニアにはそう敵はいないと思うんだ。それ以外は大体何やっても敵がいるんだよね。だからこの2つは結構ハッピーだと思うんだ。

残念ながら実際のところ、ハッピーなエンジニアライフを送れていない人々は今も多数います。しかし先生が言わんとしている内容、わかります。自ら幸せを感じられるような成果を上げることこそがエンジニアの仕事なんだと、私は受け止めています。また、サイエンティストやエンジニアは、それが許される数少ない、恵まれた職業なのだと。

このTechLIONというイベント。そもそも「ハッピーなエンジニアライフを送るにはどうすればいいか」これを皆で探っていくイベントだと思っています。そのために、今輝いているエンジニア達を招き、彼らの話からそのヒントを得られれば……。多くのエンジニアがその答えに辿り着けるよう、私達はこれからもTechLIONを開催していきます。

■今年も一年ありがとうございました

今回のvol.10に参加していただいた皆様、そして今年も一年、TechLIONを応援し、支えてくださった皆様に心より感謝を申し上げます。

最後に毎回恒例の出場者記念写真を添えて、vol.10レポートの締めくくりとさせていただきます。(マウスを重ねるとファイティングポーズ!)

皆様ありがとうございました。
そして……、

来年もやるよ!来年もよろしくお願いします!!

vol.11のお申込みはこちら

Vol.10報告(1/2)―Jun Murai、インターネットの父である前に一人のUnixマニアだった

おはようございます。USP MAGAZINE取材班 松浦です。さてお待たせしました。今回、次回と、公式ブログによるTechLION vol.10レポートをお届けします。場所や日時の問題で参加できなかったという皆様は勿論、参加された皆様も、読みながら当日の熱いステージの記憶を呼び起こしてください。

今回は有志のご協力により、本格的なUstream中継(前半63756″>後半)もしてもらいましたので、併せてご覧ください。(忙しい方はラジオのように聞き流しながら作業するのがオススメ!)

■ちょっとだけ試合前のこと

本日のメインゲスト、村井純先生がどんな話をされたかというのが、多くの方の関心事だと思います。が、まあちょっとだけ試合前(TechLIONにおいて「試合」とは「本番」のこと)の話をさせてください。「有難い話が聞ける」というだけじゃないんです、TechLIONは。

それは、受賞したばかりの日中韓OSSアワード特別賞のタテだった
先日受賞したタテだった
それ何置いてるんですか?法林さん。
司会席に何か置いてる!

いつものようにスタッフ総出で会場準備をしているとステージ上で、法林GMが司会者席に何やら置いてます(→写真) 何だろうと思って見てみれば、先日受賞した日中韓OSSアワード特別貢献賞のタテ(→さらに写真)。

……いやぁ、OSSに貢献した男というのはわかりますが、そこに置きますか!? そして試合中ずっと置きっぱなし。でも、このタイトルをもってして村井純ら4人の手強いゲスト達と対戦するぞ!という、いわばプロレスにおけるチャンピオンベルトなわけです。あのベルトというのも、試合を盛り上げる重要なアイテム。そう、TechLIONというイベントは、あの臨場感なのですよ。

村井純をもレスラーにしてしまうTechLION。こんなドリームマッチが開催される現場を是非観に来てほしいですね。

■前半戦、村井先生“Unix and me”

村井先生も準備OK!「さぁ来い!司会者達よ」 ではvol.10の前半戦、日本のインターネットの父こと、村井先生との対戦の記録をレポートします。

かんぱーい!と会場の全員で掛け声かけて、グビっと一飲み。さあ、試合開始!

本当は試合らしく法林GM&馮Pとの掛け合いをリアルに伝えたいところですが、スペースに限りもあります。なので泣く泣く、先生が披露された話を時系列順にまとめてお送り致します。

≪Unix and me≫

題目はUnix and me。邦題は「UNIXとインターネットだぁ!」。原題となんかちょっと違う気もしますが、むしろ「だぁ!」のあたりなど、トークの雰囲気をよく言い表した名訳です。以下この節は、村井先生が発した試合中のセリフ形式でお送りします。

OSを理解し、Unixに出会う

今日一番話したかったのは“Unix and me”というテーマ。俺が研究室に入った頃(著者注:先生の経歴によると1980年前後)にはPDP-11/10というマシンがあって、最初にさせられた仕事が「OSのソースを書け(リバースアセンブルして改造)」だった。PDP-11には最初RSX-11っていうOSが載ってたんだけど、見ているうちOSというものがわかっていった。ビットパターンを見ているだけで命令がわかる程にね。

その頃7th Edition2BSDと呼ばれる、UnixというOSが現れた。Unixとはハードウェアベンダーが作ったOS部分を乗っ取るような存在。ベンダーがベストチューンしたOSより大抵遅いんだけど、その代わり自由が手に入った。ここがUnixで俺が一番好きだった発想なんだけど、即ちユーザー主体のプラットフォームという考え方が出来上がった。それで、この7th EditionにはUUCP(著者注:主に電話回線によるコンピューター接続)のコードが埋め込まれていた。

新しいことへのリスクは、大学がとるべき

LTEで70Mbps出るから光ファイバーなんてもう要らないですよ!と言い放った相手に「ウソつけ」と思いながら脳裏によぎった過去の名言
LTEで70Mbps出るから光ファイバーなんてもう要らないですよ!と言い放った相手に「ウソつけ」と思いながら脳裏によぎった過去の名言。IPアドレス枯渇問題も同じこと。
(本文中とは直接関係ありません)

84年くらい。時代はまだ、電話回線にコンピューターを繋ぐのがイリーガルで、モデムも500万円くらいした頃。こっそりこれ(著者注:UUCPを使ったコンピューター接続。やがてJUNETと呼ばれるものに)の研究をしていた。「村井先生、やってるのそれ、何ですか?」との問いに「これは研究だ」と答えながら。

悪いことをしようと思ったら……あ、違った!新しいことをやろうと思ったら大学でやんなきゃいけない。社会が新しいことに挑戦するためのリスクを取るのは大学の役目だと、俺は思ってる。というわけで、企業の人は大学にお金を払って新しいことをすべきだと思うんだけどね(笑)

しかし情報処理学会でJUNETの説明をしたら、「電子メールは重要だと思うけど、村井、それは、地下でやれ」と言われた。当時いた東工大でも

「東工大では研究として認めません」
「研究なのに、なぜこれを認めてくれないんですか?」
「東大でやってないからですよ」

と言われた程。「へぇ~~~、そーなんだ~♪」と思って、その時丁度東大からも声が掛かってて「僕、東大にいきま~す」って言って行ったんだけどね。だからコンピューターを専用線で繋ぐWIDEプロジェクトってのは東大で始めたわけ。

人と社会に受け入れられてこそのソフトウェア

後藤先生に言われた一言
後藤先生に言われた一言

東大へ行ったその頃(1986年)には、JUNETって100組織くらいが繋がってた。北大から九大まで繋がってて全国制覇!ってね。だから関係者の間では既に「ミスター電子メール」くらいのちょっとした有名人になっていた。

ところがその勤め先(東大)のセンター長で後藤英一っていう偉い先生がいたんだけど、ある日「村井君、村井君、これ見てごらん」と呼び出され、部屋にあったFAXを見せられながらこう言われた。

電子メールよさようなら、FAXよこんにちは

電子メールはキーボードから一生懸命文字を打つのにFAXだと手で書いた文字がそのまま送れることに気が付いた先生の一言だった。

「俺は一部の世界では認められているけど、この人には認められていないんだ」マーケットとして捉えた時、口説くべき相手は誰なんだろうとこの頃から考えるようになった。ソフトウェアって、いいものだから認められるのではなくて、人と社会に受け入れられるから認められるんだよね。

岩波書店にIXを置いた理由とは?

(著者注:1989年頃の話)専用線を使ってコンピューターを繋ぐということにはやっぱり抵抗をもたれていた。(著者注:NTTなど民間企業の設備であるため)「民間企業を繋ぐなんてとんでもない!」と。しょーがないので岩波書店に設備を設けることにした。

岩波だって一民間企業でしょって思うでしょ?ところがこれまたオカシなものでさ。岩波って先生方が(出版で)よくお世話になる企業だから、親近感を抱いちゃうのね。だから

「岩波はいーよ。だってアカデミックだもん!」

って言わせて説得に成功した時は「やったー!」って思った。それで岩波の中に場所借りてさ、そこをハブ(IX)にして大学間を繋いだわけ。(著者注:参考→WIDEヒストリー及びNSPIXP

グローバルインターネットはどこから来たか知ってる?

インターネットの本格的な始まりは間違いなく4.2BSD
インターネットの本格的な始まりは間違いなく4.2BSD

去年、バークレイで、「グローバルインターネットはどこから来たか知ってる?」って話をしてさ。「4.2BSD、ココだよ」みたいなこと言ったんだよ。俺もこのあたりの頃から(BSDを作ってた)CSRGの連中と一緒にやってたんだけど、この4.2BSDにDARPATCP/IPが実装されて、間違いなくここからインターネットが本格的に広まったんだよ。それまで世界の研究機関に広まっていた4.1BSDを4.2にバージョンアップするだけでTCP/IPが動き出したんだから。

この時バン・ジェイコブソンさんってヤツが、パケットの経路を暴き出すtracerouteっていうけしからんツールを発明してこれが大流行。そしたら世界中のあちこちでバッタバッタとネットワークが落ちた。どうやら4.2BSDが抱えるICMP(TTL)処理のバグにあったということが解ったんだよね。でもそれは、当時みんなその4.2BSDのソースコードを読んで自分の環境用の実装を作ってたわけで、みんなが4.2BSDをリファレンスコードとして忠実にその作法を守ったということなんだけど。

4.2BSDの熱狂を再び起こせ!

やがてIPv6の仕様を作った時、これを普及させるためには4.2BSDと同じことが起こらなきゃダメだと想像できた。でもそう思った92年頃、CSRGには実質的に誰も残ってなかった。爆発的に広まりつつあったインターネットをビジネスにするのでみんな忙しくなっちゃってて。「BSDに関わっててまだ大学に居るヤツって誰ー?」って世界中見回すと、「え、俺だけ!?みんな大金持ちで俺一人が貧乏?」そんな感じ(笑)。

じゃあどうしようか……?それじゃ俺たちがやんなきゃ!って言ってやり始めて、それがやがてKAMEになってv6のリファレンスになっていった。

≪村井先生はネットワーク屋の前に、Unixマニアだ!≫

私が先生のトークを観戦して抱いたのは、インターネットの父である以前にこの人もまた一人のUnixマニアだったんだ、という思いでした。日本ではとかくインターネットの父として語られますが、それはまだコンピューターネットワークが未開拓だった日本において、UnixのソースコードにあったUUCPTCP/IPのコードを動かしてみたい、そんなマニア心が原動力だったのではないかと。

トーク中、「某バージョンのBSDなんて目を瞑ってviできた」や「寝ながらカーネルデバッグできた」に始まり、コンピューターやUnixをしゃぶり尽くしていた話が次々と語られ、次第にそうとしか思えなくなりました。Unix哲学に強い影響を受けながら仕事をしている本イベント主催のUSP研究所に対し「こんな奴らがまだいたんだ!」とエキサイトするシーンもありましたが、これもそれ故なのだろうと。

村井先生と親交の深い人達……有名人ばっかりだ!
村井先生と親交の深い人達……
有名人ばっかりだ!

トークの終盤では、ビル・ジョイ(BSDまとめ役・vi,csh作者)、カーク・マキュージック(UFS等開発者)、エリック・オールマン(sendmail作者)といった、Unixの名だたる偉人達とのエピソードを披露していましたが、当時はまださほど有名ではなかった彼らとUnixという名のプラットフォームで会話をし、そして皆でUnixを成長させていった光景が目に浮かぶようです。そんなUnixマニア集団の中にいた一人がJun Muraiという日本人だった、と。そう思うと、今更ながら俺はスゴい人に会ってきたんだと、身震いします。

ありがとうございました。

というわけで次回、後半戦のレポートに続きます。今度は先生もツッコミ役司会役に回りながら、三人のゲストを迎え撃ちますよ。(ツッコミ役に回ったはずが、よりによって味方からツッコミを受けるシーンも!)

vol.9報告―熱い話に与太話、神戸のゲストも半端じゃなかった!

おしゃれな街神戸@うろこの家こんにちは。USP MAGAZINE編集長まつうらです。

先週木曜の10/4、TechLIONはまたまた東京を離れて遠征しました。かねてから告知してきましたように舞台は神戸。私はちょっと前から神戸に入って街を歩きましたが、港あり、各国の旧領事館あり、レトロで異国情緒たっぷりのお洒落な街でした。

この街に、酒を酌み交わしつつ、ぶっちゃけ話を繰り出しながら、技術や技術者を熱く語るこのイベントがお邪魔しました。というわけでTechLION vol.9レポートをお届けします。

ウォームアップ中……

Varit店内

Varit入り口2

日が暮れる頃、会場となる神戸Varitさんへ……。昼間見てきたレトロモダンな街並みから一転、ここは大人の隠れ家。これまた別の味わいを持つ神戸の夜の顔といったところでしょうか。酒を呑みながら語らうTechLIONにピッタリですね。

出演者の控え室を覗きに行ったら既に全員揃っていて盛り上がってました。

中野先生もご挨拶に出演者談笑中台詞の打ち合わせとかそんなことではなく(TechLIONは勿論脚本ナシです)、ご挨拶を兼ねた軽い世間話。今回のこの時間は、今まで一番テクニカルな話題で盛り上がったらしいですよ。

話し込んでいたらvol.4@大阪にご出演くださった中野先生もご挨拶に見えました。前回はありがとうございました。是非今夜も楽しんでいってください。

参加者の皆さんも準備OK只今セッティング中ステージの方も、セッティングを進め、開場の時刻を迎えると少しずつ参加者の皆さんがいらっしゃいました。事前参加申込者がボチボチだったので少々心配しておりましたが、開演前に多くの方が来場してくださいました。ホッと一安心……。

本番スタート

みんなでかんぱーい!開演の19時30分を迎え、テーマ曲とともに司会の法林GM&馮Pが登場し、本番スタート。法林さんにとって神戸は出身地でもあるので特別な思い入れがあるそうで、そんな話を交えてご挨拶。でも、今回は準備の段階にだいぶページを費やしてしまいましたので、「飛ばしましょう」。でもトークの前に皆で乾杯したことは重要なので紹介しておきます。

 #1 松本悦宜さん―関西をセキュリティ話で盛り上げたい

松本悦宜@神戸デジタル・ラボさん今日のトップバッターは松本悦宜神戸デジタル・ラボさん。今日やるプレゼンのタイトルは「神戸で学ぶセキュリティ」

松本さん、大学院を出て今年会社に入った新入社員なのだそうですが、既にやっていることがスゴいですね。Mashup Awards 7に「リア充爆発しろ」という、リア充の位置情報を共有して地図上で爆発させるアプリを作って応募して、ねとらぼ賞を受賞したり。

ツクランドに想定外の事態
ツクランドに想定外の事態
ペロペロ.jp
ペロペロ.jp

それから、ペロペロ.jp。これは、短縮URL生成サービスだそうで、例えばhttp://あずにゃん.ペロペロ.jp/を中野梓の用語解説のページに転送させたりできるというスグレモノ!いやいや、スゴいなーと思ったのはそんなしょーもないもの(失礼……)だけではありません。

インターン時代から意図的にセキュリティホールの存在するWebアプリを作り(出題し)、知識を深めてきたそうです。そんな出題用に作ったサイトの一つがツクランド。これも勿論あるセキュリティーホールが仕込まれているわけですが。なんと、想定外のセキュリティーホールを見つけられてしまうというオチが!「よくぞ見破った」と言いたかったところですが、そこはちゃんと直して……。なんてこともあったそうです。

セキュリティー問題って、用語だったり仕組みだったりが小難しいですけど、これなら出題側も挑戦側も楽しくスキルを身につけられますね。私も参加したいなぁ。

今後の目標は、関西をセキュリティー話で盛り上げることだそうです。「関西人はどうしても東京と比べてしまう。負けているのは許されへん!みたいな」とのこと。そんなわけで、最後に地元で今後開催する勉強会(10/20姫路IT系勉強会,10/28Haskell 入門ハンズオン in 明石)を宣伝されてました。お近くの方、是非ご参加ください。

#2 村岡正和さん―もうバスワードにダマされんな

村岡正和さん続いて登場したのは村岡正和@バスタイムフィッシュさんで、プレゼンタイトルは「HTML5時代のWebクリエイターに必要なこと」です。(→当日スライドはこちらです)

HTML5-WEST.jp代表として有名な村岡さん。神戸中心にフリーで、Webアプリの設計開発から、それで業務をどう改革していったらいいかなどのコンサルティングまでこなしていらっしゃいます。

そして恐らく今日のゲストの中で一番熱くメッセージを訴えていらっしゃのではないかと思います。お酒をグビっと呑んで机にカンっと置き、写真のとおり立ってプレゼンされてました。まさにWeb/HTML5の西の雄!

HTML5。みなさんご存知ですよね。じゃあ、HTML5って何ができるのか?そんなところからトークがスタート。Googleのホリデーロゴ等でも時々見せ付けられますが、いろいろできるんですね。Canvas機能を使ったこんなのとか、こんなのとか、こんなのとか、こんなのとか……。他にも GeolocationWebSocketWebStorageIndexedDB、さらにはGPSと繋がるなど従来のWebアプリにできなかったことが色々可能になりました。

HTML5時代の制作者に必要なこと
HTML5時代に必要なこと
地球-火星間通信にはHTML5必須!
火星との通信にHTML5必須!?

HTML5はWeb制作を変えてしまいます。グラフィック、ネットワーク、データベース……、専門分野が増えることで、これまでの知識だけでは不十分になるばかりか、これまで異業種とされていた人々がどんどん参入してくるでしょう。

そこで村岡さんはこう主張します。(→右写真) 自分の専門分野を他者に負けないように深め、広がった分野の全体を見通せる知識を持ち、常に新しいことに取り組め、と。当たり前に聞こえるかもしれませんが、確かに実践できるかといったら難しいことです。

また、コミュニケーション力も更に重要になってくると言います。それは専門分野が増えて、一人でカバーするのが難しくなってくるからというわけです。複数人での開発といえばアジャイル開発という手法がありますが、計画に柔軟性を持たせるためのこの手法を無計画でもよい手法と誤解してはいけない!など、トレンドの移り変わりが特に速いこの業界において、バズワードにダマされんな、と警鐘を鳴らしました。

Web業界で生きていく厳しさを見せられましたが、興味深い話です。 そしてしばしの休憩の後、後半戦へと続くのでした……。

 #3 岡田陽一さん―コツは休憩時間に「どこかで止まって」と頼むこと

岡田陽一@ふわっとさん後半戦お一人目は、岡田陽一@ふわっとさんです。写真撮影の仕事を長くされてきており、プロのカメラマン。

プレゼンのタイトルは「30分でわかるITイベントでうまく撮影するポイント」ということで、TechLIONの取材担当である私はこのトークが気になってました。そして、このブログにもそのトークの内容をコッソリ取り入れてます。(読めばきっとバレます)

最初に衝撃的な一言。

photographは写真と訳されますが、photoとgraphを直訳するなら『光画』とでも言うべきもの。写真は真実以外も写るんです。

うぁ、そこまで言い切ってしいますか。確かに最近は目を大きく写すデジカメとかありますが、そういうあからさまな細工ではなくても撮り方次第で印象は随分変わるといいます。

活気あるイベントに見せるには簡単な質問に答えているシーンがいい
勉強会に活気を見せる一枚
撮り方次第で混雑してるように見せられる、と聞いてTechLIONで実践してみた
盛況具合は撮り方次第

例えば、左側の写真。この中にさらに2つのスライド写真があります。(一つは左上に貼り付けました) どちらも同じ勉強会の風景ですが、撮る位置によって参加人数に関する印象が全く違います。確かに!そこでこの写真も、このTechLION会場を真似して撮った写真になってるんです。「じゃあ本当はあんまり参加者居なかったのかって?」そ、そんなことないですよね。>参加者の皆さん

また、右側の写真。皆、手を挙げています。これもイベントを活気あるように見せるポイントで、簡単な質問で皆が手を挙げる瞬間を狙うのだそうです。なるほど。しかし、この写真(CSS Niteにて)、女性率多いですがこれも何かそういうテクニック使っているのですか?と質問すると、「CSS Niteは女性率高いんですよ。これは真実で、写真は真実も写るんです」と一言。どっちなんですか(笑)。

他にも岡田さんが気を遣っているコツがいくつかあって、一つは発表者の手が動いていていかにもプレゼン中であるように印象づけること。もう一つはその背景にスライドが写っていること。というわけで、このブログの岡田さんの写真もその話を聞いた後、撮りに行った一枚だったりします。

ただ、スライドを映している会場は暗いので動きっぱなしの発表者はブレ易くてカメラマン泣かせ。そういう人には休憩中に「本番中どこかで止まって」とネゴシエーションするのだそうです。そうすればロクロを回して静止してくれる人もいるのだとか。な、なるほど……、勉強になりました。次回TechLIONのゲストにお願いしてみます。

#4 安田豊さん―与太度、足りてますかー?

安田豊@京都産業大学さん今回のTechLIONも残すはあとお一人となってしまいまして、取りを飾るのは安田豊@京都産業大学先生。

私はびっくりしました。お名前のとおり、何と個性豊かな方なのかと!トークを始めるやいなや、「あの皆さん、与太度足りてますか?」と言い出し、ステージ上からおつまみを注文。

いや、TechLIONならここまでは普通です。何がびっくりしたかって、届いたおつまみをポリポリ食べて、食べながら喋って、しかも吹き出すという……。いや、わかります。そうやって来場者の肩の力を抜かせるための余興ですよね。ありがとうございます。TechLIONは先生のような方大歓迎です。でも、間違いなく神戸TechLIONの記憶に残るワンシーンとなりました。

取材してきた錚々たる顔ぶれ
取材してきた偉人たち
SoftwareDesignに寄稿してます
SD誌で記事書いてます

さて、安田先生。トークは題して「おいしい話はどこにもない。シリコンバレー・エンジニアへの取材で感じる彼らの総力戦。」 皆様、雑誌Software Designに安田先生が記事を寄稿しているのはご存知ですか?主にシリコンバレーでコンピューターの歴史を築いてきた偉人達にインタビューする記事なのですが、その取材話というわけです。

昔は高校生・大学生だった自分が読んでワクワクするような記事が多かった。でも今の雑誌ってハウツー的なものが多くて。例えば「○○をインストールしてみました」とか。「あれはちょっとワクワクせんなぁ」って思った……

そもそもこれが、そのような記事を書かれている理由だといいます。小雑誌をやってる一人として私も身につまされます。

そして、実際に取材をしてきた偉人達の話へと移るのですが……。「とても全部は紹介しきれないので飛ばしましょう」(→取材した偉人の数々は前述のスライド写真で) ということで、Brendan Eich(ブレンダン・アイク)の取材話を紹介しました。

リンク先にもあるとおり、彼はJavaScriptの生みの親。そしてMozilla社のCTOとして知られる人物です。

恐るべき不屈の精神
恐るべき不屈の精神
Brendan Eich「データを棺桶に入れるな」
Brendan Eich

取材時のBrendanの話によれば、彼はデータを棺桶に閉じ込めるなと言っていました。これはFlashのようなベンダーのライセンスがなければ開けないコンテンツを指しています。この棺桶から解放するためにハードウェアを駆使した描画環境を作るんだと主張し、半導体からソフトウェアから、そしてベンダー非依存の規格の策定まで、あらゆるアプローチでこれ(=HTML5)を成し遂げようとしました。これらはかつて在籍していたSGIMicroUnityNetscapeで身につけた技術の総動員でした。ところが一方で、動画においてライセンス縛りのあるH.264をMozillaは受け入れざるを得なくなってしまいました。でも、彼は

“We lost one battle, but the war goes on”
一戦には敗れたが、戦争は続く。

Waldemar Horwatへの取材のチャンスをください。
彼を取材したい!!
全てを投入し不屈の精神を持っている
全てを投入/不屈の精神

といって、決して諦める事無く、今でも戦いを挑んでいます。そんな彼の壮絶な話を聞いて安田先生が感じたのは、シリコンバレーの人々の「全てを投入」「不屈の精神」だったといいます。何という執念なんでしょう。恐ろしくもありうらやましくもあります。

という感じで取材を続けていらっしゃる安田先生ですが、最後に一つお願いがあるそうです。ActionScript3に関わり、今はGoogleに在籍しているというWaldemar Horwatにコンタクトが取れるという方は是非紹介してくださいとのことです。お心当たりの方は是非安田先生にご連絡を

 皆様ありがとうございました

今回のレポートだいぶ長くなってしまったので「巻き」でまとめますが、実に面白かったですよ。

というわけで、会場やUstreamで、観覧者としてゲストとして現地スタッフとして、参加してくださった全ての皆様に感謝を申し上げ、レポートを締めくくりたいと思います。ありがとうございました。

次回vol.10はもう来月!また頑張りますので来月もご参加よろしくお願いします。