俺たちは花火か、マーライオンか、それとも。

前回のお礼

TechLIONゼネラルマネージャーの法林です。

前回のTechLION、つまりはTechLION vol.39、またの名を995日ぶりのTechLION復帰戦を、たくさんの方にご観覧いただきましてありがとうございました。おかげさまでようやく復帰の第一歩を踏み出すことができました。(イベントの模様はYouTubeにてご覧いただけます)

以前のような企業の主催ではなく運営コミュニティベースでやっていて、スタッフも必要最小限の人数でやっているので大がかりなことはできませんが、これからも皆さんに、ITを題材にした楽しい時間を提供していきたいと思います。よろしければお付き合いください。

次回のテーマと出演者が決まりました

復活したからには以前のように定期的にやっていきたいと、私もプロデューサーの馮さんも思っていたので、7月のある日、2人で決起集会と称して飲みに行きました。場所は品川駅の駅ナカにあるビアバーでした。

2人で例によって巨人・阪神トークなども繰り広げつつ、ちゃんと次回に向けての企画も練り、テーマや出演者候補も決めました。馮さんによる出演候補も首尾よく成立し、会場も無事に確保できました。すでにイベントページを公開して参加登録も始まっていますが、あらためて次回の日時やテーマや出演者をお伝えします。

今回のテーマは「技術広報」にしました。テーマ設定の経緯は後述します。

今回ご出演いただく佐藤さん(左)と杉田さん

出演者は、元LINEヤフーのDevRelチームで、今はそこから独立してTHE BIGLEを立ち上げた佐藤祥子さん。それからMIXIで長くこの分野の仕事をしている杉田絵美さんの2人です。もっとたくさん並べてもよかったんですが、前回ゲスト2人でやってみて好感触だったので、今回も2人にしてみました。

テーマ選定の経緯

TechLIONでは2018年に開催したvol.34で「エバンジェリストのお仕事」と題して、各社でエバンジェリスト的な仕事をしている方々にご出演いただきました。今回はそれに近いテーマということにはなりますが、2018年と現在では、技術広報やらDevRelやらエバンジェリストなどと呼ばれる職種を取り巻く状況が変わってきているように感じたのが、今回あらためてテーマに設定したいと思った理由です。

TechLION vol.34の模様。会場はサイボウズでした。ちなみに映像も残っています。(前半後半)

これから書くことはあくまでも私個人の観測に基づく感触なので、違う感覚の人もいるであろうことを前置きしておきます。

2018年に開催したときに出てくださったエバンジェリストの皆さんは、会社が扱っている技術情報をお伝えすることが主な役割で、そこから会社やサービスを知ってもらったり、使ってもらったり、もちろん買ってもらえるならさらにうれしいですが、そういう職種だったように思います。私もさくらインターネットでこのような仕事をしていますが、自分の感覚的にはそういう意識です。

それから長いコロナ禍を経て、2023年に京都で行われたYAPCに参加したときに、スポンサー各社で「技術広報」という肩書で仕事をしている人達と知り合いました。そのときに、そういえばこの職種の人達で集まって情報交換する機会って今までなかったなと思い、「技術広報コミュニティ」と名付けてイベントをするようになりました。ちなみに8月30日(金)にも「納涼祭」と銘打ってイベントをします

(↑「技術広報の集い」では発表だけでなくグループディスカッションの時間を設けています。上はディスカッションのメモです)

その「技術広報の集い」の参加者を見ていると、従来とは異なる傾向があることに気がつきました。

  • ここ2〜3年で技術広報職に就いた人が多い
  • 従来のエバンジェリストのように技術情報を伝えるだけでなく、エンジニア採用が視野に入っていて、そのために技術情報を出すことが任務になっているらしい
  • 前述の理由からか、非エンジニアから技術広報に就いた人が多い

また、技術広報のような仕事ができる人はまだまだ少ないのか、佐藤さんのようにそれを事業として取り組む人も出てきました。

そういったことから、これはあらためてTechLIONで取り上げたいと思い、出演をお願いしたい人も具体的に思い浮かぶので、このテーマを設定しました。

今回ご出演いただくお二人は、最近技術広報に就いた人達よりは長く取り組んで来られた方々で、私もいろいろなイベントで顔を合わせています。でもじっくり話をうかがう機会はこれまでなかったので、これまでやってこられたことや、この手の仕事に取り組む上で大切なこと、それから最近の傾向についてどう思うかなど、聞いてみたいことが山ほどあります。今回の対戦を一番楽しみにしているのはたぶん自分だと思います。良い話を引き出せるようにがんばります。

技術広報と花火とマーライオン

ここまでは割とまともな、テーマ設定の経緯などの話をしてきましたが、ここからはパッと見では何のことやらよくわからない、謎のタイトルに関する話をします。

技術広報の仕事を長くやってきたせいか、いろんな物事、それも一見関係ないようなものでも、技術広報と関係あるように見えてくることがあります。

例えば、技術広報コミュニティでは今年の5月にRubyKaigiが沖縄で開催されるタイミングで会合を開き、終わった後で飲みに行き、さらに近くの公園で花火までしました。早々に夏を満喫した感がありましたが、あとで花火の写真を見て思ったのは、技術広報の仕事って花火に似ているかもってこと。

一見、キラキラしているように見えますが、その一瞬のキラキラの裏ではそれよりもはるかに時間をかけた仕込みがあって、そこも含めての仕事であること。でも見ている人には輝いている部分しか見えず、その輝きが見た人の記憶に残るのが重要なこと。などなど、考えてみると確かに花火っぽいところがあります。

写真提供:tamaclawさん(技術広報コミュニティの運営メンバー)

それから、あるときにマーライオンの写真を見かけました。あれは口から水を吐いている観光名所ですが、僕たち技術広報も口から技術情報を吐くことで注目を集めているとすると、IT業界のマーライオン、もしくはテックマーライオン(?)ではないかと思えてきました。

というわけで、なんとなくTechLIONっぽい単語が出てきたところで無理やりこの記事を締めます。TechLIONでは花火もないし水も吐きませんが、おもしろいトークやツッコミを吐けるように、そして、見に来てくれた皆さんに楽しい時間をお届けできるようにがんばります。お酒片手に楽しんでもらえたらうれしいです。9月17日の夜、さくらインターネット東京支社でお待ちしています。

どうしてまたTechLIONをやるのか。ITイベントはあんなにたくさんあるのに。

はじめに

TechLIONゼネラルマネージャーの法林です。皆さんごぶさたしています。
自分でも何年ぶりにGMを名乗ったか覚えていません。たぶん数年は経っていると思います。

先に用件を

このブログ、長くなりそうなので、先に用件をお伝えしておきます。

  • 6/5(水)の19:00からTechLIONやります。
  • 会場は西新宿にあるさくらインターネット東京支社です。
  • ゲストはMIXIの村瀬龍馬さんと、えふしんこと藤川真一さんです。
  • テーマはWeb 2.0の20周年です。念のため言っておきますがWeb3じゃないです。なぜ今さらWeb2.0なのかと言われそうですが、そういう独自の視点で話題を取り上げるのがTechLIONです。
  • 詳しくはイベントページを見てください。
  • 会場で見たい人は参加登録ページでチケットを買って遊びに来てください。たぶん会場で見るのが一番おもしろいです。
  • 見に来ることができない人は、うまくいけばYouTubeでライブ配信するので、飲みながら見てください。飲みながら見るのを推奨します。飲めない人はソフトドリンクでも、夕食ついででも結構です。全国のお茶の間にお届けします。

用件はこんなところで、あとはTechLIONを再開するに至った心境や、この数年のことなどをあーだこーだと綴ってみます。

コロナ禍とTechLION

TechLIONを会場でやった最後の回は2020年2月に開催したvol.36で、その直後からコロナ禍になりました。密室に籠もるな、集まるな、近距離で会話するなという「三密」という言葉も懐かしくなりつつありますが(語源を思い出せなくて調べてしまった)、とにかくTechLIONは密室でやるし人は集まるし、トークライブだから会話しないと試合にならないので、コロナとの相性が最悪なのです。

それでもコロナ禍で2回、オンラインイベントとして開催しましたが(vol.37, vol.38)、集客や盛り上がり云々よりも、やはりTechLIONは会場でやらないと本当の持ち味が発揮されないと思い、しばらくの休眠期間に入りました。

オンラインで開催したTechLION vol.38の模様

TechLION再開を決意するまで

状況が変化してきたのは去年ぐらいからでしょうか。各コミュニティが主催するカンファレンスが会場での開催に戻り、さらに新たに立ち上がるイベントも増えてきました。私もいくつか参加しましたが、特に求心力のあるコミュニティを中心に、コロナ禍で数年間会えなかった分の熱量が一気に投下されて、さらに熱いイベントになっているように思います。これがずっと続くかどうかという疑問はあるものの、熱いイベントになること自体はとても良いことだと思います。

しかし、1年ほどITイベントを観察していたのですが、TechLIONみたいなイベントを模倣する人はやっぱりいないようなのです。まあいないか。こんな、酒呑んで放談するイベント。

近年、若い人を中心に酒を飲まなくなっている人が多いらしいので、こんなイベントに需要があるかどうかは疑問ではあるのですが、自分で企画するイベントは他の人がやらないことをやりたいので、それならTechLIONを再開することが自分らしい道だと思い、またやってみようと思った次第です。

再開に向けて決起集会

試合を組むにあたっては、ずっと一緒にMCをやってきた馮富久さんに連絡を取り、2人で決起集会をしました。場所はかつてTechLION vol.29に出てくれた柄沢聡太郎さんの店「P2B Haus」です。TechLION出演者がやってる店で飲めるなんて感慨深いですね。

で、2人で雑談する中でWeb 2.0から20年という話が出て、これがTechLIONらしくていいんじゃないかということで今回のテーマに設定しました。出演者は馮さんが考えて交渉もしてくれて試合を組むことができました。とても楽しみです。

TechLIONで提供したいこと

コロナ禍も含めた数年間、あらためて自分の中で「TechLIONはどんなイベントで、何を提供したいのか」をずっと考えていました。これはあくまでも私見で、馮さんや他のスタッフの人達は違う考えがあるかもしれませんが、私がTechLIONで提供したいのは「ITを題材とする娯楽」です。そう、「勉強」ではなく「娯楽」を提供したいのです。

ITの世界を見ていると、勉強会はたくさんあって、みんなすごく勉強していて感心するのですが、もっと気楽に、ITを楽しんでもらいたいという想いがあります。ITをネタにしたトークを通じて、それがわかる人々に楽しい時間を提供したいのです。TechLIONを始めてからもう13年ほど経ちますが、何年かやっていく中で、このイベントで提供できる価値はそこなんだろうなと思いました。そもそも呑んでいる時点で勉強にならんし(笑)。

TechLION vol.30の乾杯シーン

というわけで、需要があるかどうかはわかりませんが、ITを通じて楽しい時間を提供すべく、これからもがんばっていきます。TechLIONのテーマは日替わりなので、特定の技術だけ追っているような人には向きませんが、いろんなことを知りたいという人には合っていると思います。毎回異なる話題を設定しますので、もしピンと来るような話題がテーマに来たときはぜひ遊びに来てください。呑んでトークするイベントなので、参加者の皆さんにも軽い飲食を用意します。少しだけ費用はかかりますが、楽しい時間を提供しますので、ぜひ遊びに来てください。オンラインで開催したvol.38から数えて995日ぶりの開催になるようです。あと5日遅らせて1000日ぶりにするような余裕はなかったです。よかったら会場に足をお運びください。よろしくお願いします!

TechLION vol.38 本日(9/14)20:00からライブ配信!

TechLIONのGMこと法林です。
皆さんごぶさたしています。

 

前回の10周年記念大会から約半年が経ちましたが、なんとか次の10年に向けて一歩を踏み出すことができます。試合当日のブログ更新になってしまいましたが、TechLION vol.38を本日(9/14)20:00からYouTubeライブで配信します!先に配信ページをお送りしてしまいます。こちら!
https://youtu.be/wkgri_7AV28



 

ついでに参加登録ページはこちら!登録してなくてもYouTubeのURLにアクセスすれば配信は視聴できますが、登録しておくと今後のイベント案内が届きます!
https://techlion.connpass.com/event/222814/

 

さて今回のTechLIONは、副題を「コロナ禍で何が変わった?働き方に見る物理空間と情報空間の可能性」としました。ちょっと硬い文字列が並んでますが、要するにIT業界で働く人々の働き方、特に働く場所に着目したテーマ設定です。

 

昨年のコロナ禍を契機に、IT業界のみならず全国的に在宅勤務をはじめとするリモートワークが推奨され、人々が働く場所は大きく変化しました。それと前後して、それまで東京一極集中の傾向にあった労働者たちが、東京で働く必要性が薄れたことで他の土地に移住したり、また定住地を持たないノマドワーカー的な生活を送る人も出始めています。今回のTechLIONは、そのような新しい働き方をしている方々をお招きして、いろいろと雑談してみたいと思っています。

 

それでは今回の出演者をご紹介します。

 

今回の出演者:城戸さん、神森さん、平田さん (左から)

 

まずは城戸彩乃さん。専門は衛星データの活用で、宇宙ビジネス関連の事業を行うsorano meのCEOを務めていますが、その一方で昨年からノマド生活に突入し、もう1年以上が経過しています。居住地の選定にも衛星データを活用しているとか。どんな風に使っているかは試合の中で聞いてみたいですね。

 

続いては神森勉さん。KDDIウェブコミュニケーションズの広報室室長を務めている方ですが、その仕事を、昨年末から沖縄の宮古島で行っています。つまりは移住した人です。どんな動機で移住したのか、南の島でも東京と同じように仕事できるのかなど、気になることがたくさんあります。

 

そして3人目は平田大治さん。Movable Typeの会社として知られるシックス・アパートのCTOです。シックス・アパートでは数年前(コロナ禍以前)から全社的にリモートワークを取り入れていて、もちろん平田さんもほぼ自宅勤務だそうです。コロナ禍以前からリモートワークが当たり前だった人から見て、昨年以降の労働環境の激変ぶりはどう映っているのか、それを聞きたいと思って出演をお願いしました。

 

出演者の皆さんの詳しいプロフィールは、TechLION vol.38のページをご覧ください。

 

試合の構成としては、前半は各出演者ごとに取り組みや感じていることを個別にお聞きし、後半は3人の出演者とMCでいくつかお題を掲げてトークセッションをしてみます。

 

まだまだ外出もままならない日々が続きますが、そんなときだからこそ、TechLIONを通じて皆さんに楽しいひとときを過ごしてもらえたらうれしいです!それでは今晩、TechLIONでお会いしましょう!

TechLION vol.37 ありがとうございました!

3月31日(水)にTechLION 10周年記念試合「TechLION vol.37 ~TechLION出演者に聞く、この1年とこの10年。そして未来~」を開催しました。集まってくださった歴代出演者の皆さん(30人ぐらい)、YouTubeで視聴してくださった皆さん(最大で80人ぐらい?)、協賛・後援いただいた団体の皆さん、ありがとうございました!
 
試合の映像はアーカイブ視聴できますので、ぜひご覧ください。
https://youtu.be/fyUtsMpMGIY
 
また、試合のオープニングと休憩時間に、これまでの歴史や、出演者の発言をまとめた動画をご覧いただきました。こちらも公開しています。

オープニング(10周年までの歴史)
休憩(歴代出演者発言集)
 
なお、YouTubeチャンネル「TechLIONTV」には、過去の試合映像が大量に掲載されています。チャンネル登録していただけるとありがたいです。
 
それから、試合中のツイートもありがとうございました。まとめはこちらです。
https://togetter.com/li/1690848
 
次回はいつになるかわかりませんが、できるだけ早期に開催したいと思います。
今後もお楽しみに!またお会いしましょう!
 

3.31 TechLION 10周年記念試合やります!

チームTechLIONの法林です。
皆さんごぶさたしています。
 
しばらく試合ができていなかったのですが、実は今月、TechLIONの旗揚げから10周年を迎えることになりました。さすがにここは何かやろうと思い、記念試合を用意しました。さっそく告知です。
 
TechLION vol.37 〜TechLION出演者に聞く、この1年とこの10年。そして未来〜

  • 日時:2021年3月31日(水) 20:00開演、21:30終了予定
  • 場所:オンライン(YouTubeにて配信/視聴URLは後日告知)
  • 料金:無料

 
従来のTechLIONは、会場で飲食しながらトークセッションを楽しんでもらうスタイルでやっていました。しかし昨今の状況では会場に集まることは難しいので、今回はTechLIONとしては初のオンラインイベントとして開催します。もっとも、TechLIONは10年前からほぼ全試合をライブ配信してきたので(過去の試合映像はYouTubeチャンネルで見られます。ぜひご登録ください!)、以前から配信で見ていた人にとってはは何も変わりないかもしれませんね。開始時刻も20:00とやや遅めに設定してみました。仕事が終わってからのひとときを、TechLIONとともに楽しんでもらえたらと思います。
 
今回のイベントでは、これまでに出演してくださった方々(133人)にアンケートをお願いし、その回答を見ながら、おなじみのMC陣(法林浩之/馮富久)がトークセッションを行います。また、回答者がイベントに参加してくれる場合はセッションにも入ってもらって会話したいと思います。アンケートのお願いもこれから始めるので、当日どなたがトークに加わってくれるかは現時点ではまったくの未定ですが、参加表明がありましたらイベントページに追記していきます。私自身、どの方とも久しく会っていないので、当日は1人でも多くの方と会話したいところです。
 

約1年前、飲み屋でTechLIONの相談をする馮さんと筆者。馮さんの実物に会ったのもこれが最後

 
ところで、試合の日である3月31日は、10年前に新宿のネイキッドロフトでTechLIONの旗揚げ戦を行った、旗揚げ記念日です。10年後にこんな世界が待っているとはまったくもって想像の範囲外でしたが、「ITをテーマにしたトークで皆さんに楽しい時間を過ごしてもらいたい」という初心は、10年経ってもまったく忘れていません。この10年で変わったこと、変わらないこと、そしてこれからのITがどうなるのかを、出演者の皆さんと雑談したいです。3.31 TechLION 10周年記念試合、ぜひご視聴ください!

20年前はOSSなんて見向きもされなかった

TechLIONゼネラルマネージャーの法林です。

 

先に大事なことをお伝えします。
来週水曜日(2/5)の夜はTechLIONの本番です。19:15からサイボウズ東京オフィスでやります。お時間ありましたらぜひ遊びに来てください。

 

 

とは言っても、検索やSNSなどでこの記事を見かけた方は、TechLIONを知らない人も多いでしょう。2011年からやってる、ITエンジニア向けのトークイベントです。よくある勉強会とは違って、毎回テーマを変え、そのテーマにふさわしいゲストの方々を呼んで、MCの2人と飲みながら雑談するというイベントです。私はMCの片割れです。今回のイベントページはこちらです。
https://techlion.jp/vol36
飲食を用意する関係で人数を事前に把握したいので、チケット制にしています。チケット販売ページはこちらです。参加申込はこちらでお願いします。
https://techlion36.peatix.com/

 

さて本題はここからです。
今回のTechLIONのテーマは「再考:OSSの価値」です。文字通り、OSS=オープンソースソフトウェアの価値について、あれこれと雑談する回です。イベントページに書いてある説明文を引用します。

 

1990年代後半からソフトウェア開発の手法として取り入れられ、今やビジネスを支える様々な技術として欠かせなくなったオープンソースソフトウェア。ここ日本でも1990年代後半から、雑誌を中心としたメディアに登場し、2000年に入るころにはそれぞれのソフトウェアに特化したユーザグループ(コミュニティ)が誕生するなど、OSSが一般化して四半世紀が過ぎようとしています。
今回、改めてOSSの価値はなにか、実際に実事業でOSSを活用するあるいはOSS活用を推進するエンジニアをゲストにお迎えし、2020年の今におけるOSSの価値を再考し、今後のOSS活用と開発について、パネリストともに議論します。

 

そして、今回のゲストはこちらの方々です。TechLIONではゲストを誰にするかがとても大事です。

 

まずは石井達夫さん。現在はSRA OSS日本支社の支社長を務めていますが、長年PostgreSQLの開発に関わっていて、現在もコミッタの1人です。コミッター社長なんて日本に何人いますか?ってのは置いとくとしても、日本にOSSという概念が入ってきたときからずっとOSSに、それもビジネスで関わっている方です。

 

次に小田切耕司さん。小田切さんも1990年代後半からSambaの日本語化などの開発に携わり、日本Sambaユーザー会の初代代表幹事も務めました。現在はオープンソース・ソリューション・テクノロジ社の代表として、石井さんと同じくOSSを仕事にしている方です。

 

そして3人目が丹治邦夫さん。この方は広島から来られます。勤務先のエネルギア・コミュニケーションズは中国電力のグループ会社で、そこの情報システム事業本部長をしています。イベントページに書いてあるプロフィールを見ると昔のことやプライベートのことしか書いてなくてなんだこの人は?と思うかもしれませんが、電力業界というお堅い業種でOSSを活用することに尽力されているそうです。見方を変えると、このような分野にもようやくOSSが普及しつつあるということで、そういう話が聴けると思います。ほんまかいな。いやでも私は聞きたいです。

 

とまあこんな感じで、今回のテーマである「OSSの価値」というものをよく理解している方々に集まってもらうことができ、いい話ができそうなのですが、チケットの販売状況は残念ながら(東京開催分では)過去最低なのです。

 

現代の、OSSがごく普通に存在し利用できる状況が最初から目の前にある若い人たちに、当たり前に使えるものに価値を見い出せと言っても理解しづらいとは思います。でも、このような状況は昔からあったものではなく、20年とは言わないまでも10年ぐらいかけて、OSSはビジネスや開発の現場でも使えるという地位を確立し、そしてその後の10年で、もはやOSSは普通に使うよねという空気を作り出した、そういうことを知っておいてもらいたいのです。(年数は私の感覚値なので人によって数年単位の差があると思います)

 

ここで時計の針を20年ほど前に戻します。私が初めてオープンソースという単語を耳にしたのは、1998年11月に行われたThe Perl Conference Japanにおけるティム・オライリーさんの講演です(推測ですが日本のイベントで初めてオープンソースの概念が紹介された機会ではないかと思います)。その1年後、私が所属する日本UNIXユーザ会(jus)やぷらっとホームなどの呼びかけで、日本初のOSSを対象とするイベント「オープンソースまつり」が開催されました。オープンソースまつりは2001年2月にも開催しましたが、残念ながらその2回で頓挫しました。資金が続かなかったのです。

 

 

オープンソースまつりは、当時日本随一の電気街だった秋葉原の駅前で開催したこともあり、2日間で8000人ぐらいが来場する大規模なイベントでした。このようなイベントを開催するには多額の費用がかかり、しかも多くの人にオープンソースを知ってもらうために展示会の入場料は無料でした。そうすると主な資金源はスポンサー収入に頼らざるを得ません。今でこそIT関係の展示会やカンファレンスを開催すると多くの企業が数十万円や100万円もする協賛金を払ってスポンサーになってくれますが、当時(2000年前後)の日本は長期にわたる不況にあえいでおり、今のように気軽に協賛してもらえる状況ではありませんでした。まして当時のOSSはまだ入ってきたばかりの概念で、本当にそれがビジネスに使えるのかどうかも未知数な状況。その価値を理解してスポンサーになってくれる企業はほとんどありませんでした。現在のように大企業がITイベントに会場を貸し出す習慣も当時はなかったので、結果的にjusをはじめとする主催者たちは二度に渡り、数百万円の赤字を負担しました。これではとてもイベントを続けることはできません。

 

つまり、当時はOSSなんてごく一部の先進的な人たち以外には見向きもされなかったのです。この記事のタイトルに掲げた言葉はハッタリでも釣りでもなく、本当にそうだったのです。そこから現在のような状況を作り出すまでに至ったのは、特定の施策や出来事1つで状況が一変したわけではなく、今回の出演者であれば石井さんや小田切さんのような方々の(もちろん他にも多くの方々の)地道な努力により、長い年月をかけて少しずつ信頼を得ていくことで、今日の地位を確立できたのだと思います。

 

今の人達には当たり前のことかもしれませんが、こうして見ると、これは当たり前にできあがったものではないのです。それを伝えたくて、この試合を組みました。当日は昔話をしたいわけではなく(この記事はどちらかというと予備知識です)、現在のOSSの状況や、これからどうなっていくのかなどの話をどんどんしたいと思っています。もしこの記事を読んで共感できるものがあったとか、イベントに興味を持ったという方は、ぜひ会場に足をお運びください。2月5日の夜、サイボウズ東京オフィスでお待ちしています!

 

10か月ぶりの試合!TechLION vol.36 2月5日開催!

ゼネラルマネージャーの法林です。

 

しばらくTechLIONの試合をごぶさたしていましたが、ようやく次回の準備が整いまして、本日イベントページの公開とチケットの発売を開始しました。

 

こちらにも書いておきますと、まず日時と場所は以下の通りです。以前と変わらず場所を提供してくださるサイボウズの皆さん、ありがとうございます。

  • 日時:2020年2月5日(水) 18:45開場、19:15開演、21:30終了予定
  • 場所:サイボウズ株式会社 東京オフィス
 

そして次回のテーマは「再考:OSSの価値」と題しまして、その概念の誕生から20年を超え、もうすぐ四半世紀になろうかというオープンソースについて、あらためてその価値を考えるトークセッションを企画しました。

 

そして、ゲストには、実事業でOSSに関わっている方々をお招きしました。
SRA OSS, Inc. 日本支社の支社長であり、PostgreSQLの開発者としても名高い石井達夫さん。
オープンソース・ソリューション・テクノロジ株式会社の代表であり、日本Sambaユーザー会をはじめ数々のOSSコミュニティを運営してこられた小田切耕司さん。
中国電力のグループ会社である株式会社エネルギア・コミュニケーションズの常務取締役で、電力会社へのOSS導入に尽力している丹治邦夫さんの3人です。

 

実を言うと、旗揚げからもうすぐ9年、36回やっているTechLIONの中でも、おそらくゲストの平均年齢がもっとも高い回です(笑)。若者を積極的に押し出してとか、そういう路線とは真逆を行ってます。こんなんでいいんか?と思わなくもないんですが、でもいいんです。他の勉強会でもやりそうなことは他でやってもらえばいい。自分たちがおもしろい、そしてみんなに聞いてもらいたい、こんな世界もあるんだと知ってもらえるようなテーマを、流行に左右されずに取り上げていきたいと思います。

 

もちろん、以前と変わらぬおいしい食事とお酒も(ノンアルコールも)用意して、皆さんのご来場をお待ちしています。ITの与太話を飲みながら聴いて楽しめるトークイベント、それがTechLIONです! 2月5日、日本橋はサイボウズでお会いしましょう!

4月11日は平成最後のTechLION!平成IT史と〇〇(新元号)のITを大予言!

ゼネラルマネージャーの法林です。

 

しばらくTechLIONの試合を組めていなかったのですが、そろそろ試合を見たいという声をいただいたので、やる気になりました。プロデューサーの馮さんと打ち合わせ&決起集会(飲み会)をしてテーマを決め、出演交渉もまとまったので、イベントを公開します。

 

開催時期が4月になったので、間違いなく平成最後のTechLIONになります。そこで、テーマはありきたりですが平成時代の振り返りをすることにしました。でも、振り返りといっても平成初期の昔話だけをしたいわけではありません。平成時代は30年ぐらいあり、各年代の人ごとにそれぞれの「平成のIT」があるだろうと思います。そこで今回は、30歳前後、40歳前後、50歳前後の3世代のエンジニアをゲストにお迎えし、それぞれの時代のことや、来たるべき新時代のITについて雑談するという設定にしてみました。

 

というわけで、今回の出演者はこちらの方々です。ご出演いただきありがとうございます! 出演者プロフィールはイベントページをご覧ください。

・江草陽太さん(さくらインターネット)
・新井悠さん(トレンドマイクロ)
・民田雅人さん(ぷらっとホーム)

 

それから、トークセッションでは未来の話もするので、イベント名にいち早く新元号を採り入れてみました。私が観測している範囲ではイベント名に新元号を入れたものはまだ見かけていないので、もしかしてIT業界初?(さすがにそんなことはないか) もっとも、新元号はまだ発表されていないので現時点では「〇〇(新元号)」とせざるを得ませんが、4月1日に公表されたら書き換えます。

 

そんなこんなでお送りする平成最後のTechLION。回数的にはvol.35になります。4月11日(木)の夜、今回も日本橋にあるサイボウズ東京支社をお借りして開催します。チケットは本日より発売開始。例によってキャンセル不可でお願いします。皆さんと一緒に、これまでの30年と、これからの数十年(?)を、ともに語り合えればうれしいです。ぜひお集まりください!

大切なのは話術ではなく熱量 〜TechLION vol.34 with tech@サイボウズ式「エバンジェリストのお仕事」レポート

ゼネラルマネージャーの法林です。

TechLION vol.34 with tech@サイボウズ式「エバンジェリストのお仕事」を、9/10(月)にサイボウズ東京オフィスにて開催しました。満員の…とはいきませんでしたが、皆さんご来場ありがとうございました。今回、自分で言い出して試合を組んだ手前、試合の模様をレポートとして書き残さなければという気持ちになり、がんばって書いてみました。ごゆっくりお楽しみください。

第1部:皆さんどんなことをやってるの?

第1部は、出演者の皆さんの自己紹介に加えて、個別に話題を振って話をうかがいました。順番に紹介します。

カルチャーエバンジェリストって何する人? 櫛井優介さん

まずはLINEでカルチャーエバンジェリストという肩書を持つ櫛井優介さん。TechLIONは2011年に一度出演していて2回目の登場ですが、前回はYAPC::Asia Tokyoの運営スタッフとしての出演だったので、立場を変えての再登場です。2004年にライブドアに入社してから転職していないのに社名がNHN Japan→LINEと変わり現在に至ります。カルチャーエバンジェリストの役割は、LINEという企業を外部に知ってもらうことや、会社の開発スタイルや文化を伝えることです。ちなみにこの肩書は自分で付けたのではなく上司に付けられたそうです。

また、近年はLINEの人が外部で講演する機会が増えましたが、それについて櫛井さんは「昔はプロダクトをちゃんと作ることが先という意識が強かったのでなかなか外に出ていけなかったが、外部から『LINEって何をやっているのかわからない』と言われることへの反省があり、2014年ぐらいから積極的に社外に出るようになった」とコメントしました。ちなみに櫛井さんは技術イベントに登壇する社員の推薦や社内交渉も担当していて、社内ではそれを「なまはげ」(櫛井さんがこわいのでみんな黙って言うことを聞く(笑))と呼んでいるそうです。

講演だけで毎年50試合! 横田真俊さん

次はさくらインターネットの横田さん。「さくらのVPS」「さくらのクラウド」の責任者に加え、エバンジェリストチームの責任者も務めています。エバンジェリストチームのミッションは「さくらのファンを増やすこと」で、2年前に立ち上げて現在は7人で活動しています。(余談ですが筆者もその一員です)

横田さんがエバンジェリストになったのはさくらのクラウドの立ち上げ期で、エンジニアが外に出たがらないので自分で担当するようになったとか。以来、毎年50試合ほどの講演を務めています。社内でも一番多いのでは?と聞くと、一番多いのはたぶん社長の田中邦裕さんで、横田さんは3番目ぐらいだそうです。そして試合にもいろいろあり、サービス紹介などは資料を使い回せるので困らないのですが、専門外のテーマでの発表依頼に対応するのが大変なようです。

エバンジェリスト界の仕事人! 中津川篤司さん

3番目はMOONGIFTの中津川さん。エバンジェリスト業務を代行で受ける仕事をしています。また、エバンジェリストやDevRel(Developer Relations。自社製品/サービスと外部開発者とのつながりを作る活動)に携わる人々のコミュニティ・DevRel Meetupを主宰しています。まさにエバンジェリスト界の仕事人と言ってもよいでしょう。

DevRel Meetupは、DevRelという単語がIT業界にまったく知られていなかった4年前から始めたものですが、活動の成果で認知度も上がってきました。会合は毎月テーマを変えて開催していて、登壇者や会場の交渉は中津川さんが担当し、当日運営は他のスタッフがやっています。

また、中津川さんのブログは技術記事が毎日更新されるのですが、これは2日ぐらいで1週間分(14本ぐらい)を書いてしまい、それが順次公開されるのだとか。その他にもウェブメディアなどに多数の記事を書いていて、その書く量とスピードには驚かされるばかりです。記事を早く書くコツを聞いたところ、「先に考えるのは起承転結だけで、あとは出だしに合わせて書いていきます。誤字チェックはしますが推敲はあまりしていません」という答えが返ってきました。

エバンジェリストはピン芸人! 大森彩子さん

最後はマイクロソフトでAzureのCognitive ServicesなどAI関連のエバンジェリストを務める大森さん。大森さんも同社に14年ほど在籍していて(偶然ですが今回の出演者は在籍年数の長い人ばかりでした)、入社当時からエバンジェリストという役職はあったそうですが、最初の頃は認知度が低く、社外でエバンジェリストと名乗っても「それ何?宗教?」みたいな言われようだったそうです(エバンジェリストは「伝道師」のような意味合いの単語です)。

マイクロソフトには20人ぐらいのエバンジェリストが在籍していて、各自それぞれに担当サービスを持って活動しています。会社からも得意領域を持つように言われているばかりか、「エバンジェリストはピン芸人だから」とまで言われているそうです。また、多くの社員の中からどういう人がエバンジェリストになるのか?と聞いたところ、新しい製品をどうやったら使ってもらえるかがエバンジェリストのミッションなので、そういうことを伝える素養のある人が選ばれているとのことでした。

第2部:エバンジェリストにいろんなこと聞いてみた!

休憩をはさんで第2部は、エバンジェリストに聞きたい話をMC側でいくつか用意し、それをネタに出演者の皆さんとフリートークを展開しました。

エバンジェリストの定義

最初の質問は「あなた/会社におけるエバンジェリストの定義は?」。会社によってかなり異なるのでは?という予想のもとに出した質問ですが、回答はこんな感じでした。

  • 外に話をしに行く人だけど、単に話すだけでなく相手のLINEに対する価値観を変えるのがミッション。(櫛井さん)
  • ファンを作るのがミッション。技術が好きで会社も好きという人を選んでいる。(横田さん)
  • プリセールスに近い活動。知ってもらって使ってもらうのが目標。サービスのステージや会社の目標によってやるべきことは変わるので、請負先ごとに業務内容は異なる。(中津川さん)
  • 若いユーザにとっては『会いに行けるマイクロソフトのエンジニア』という感覚らしい。特に大企業の場合は、エンジニアが目の前にいて直に質問できるのはユーザにとって貴重。(大森さん)

全体的に見ると、傾向としては似ているようにも思いますが、それでも目標やミッションは少しずつ異なるようです。でも中津川さんのコメントにあるように、サービスや会社の目標によってエバンジェリストの業務内容は変わるので、そうだとすると当然とも言えますね。

エバンジェリストの楽しみとつらみ

次の質問は「エバンジェリストの楽しみとつらみ」。これはいろんなコメントが出たのですが、つらいことの1つに挙げられたのが「移動」。エバンジェリストは各地に出向いて講演する機会が多く、最初のうちは旅行気分で楽しいのですが回数を重ねると苦痛になるという話です。関連して「移動中に講演資料を作るか?」という質問もあり、これには櫛井さんのみ「作ってから乗る」、他の3人は移動中に資料作成やコーディングをしているそうです。「新幹線に乗っているとネットが中途半端に切れるので資料が送れなくて困る」(櫛井さん)というコメントもあり、インフラの進化もエバンジェリストにとってはいいことばかりではないようです。

そんな苦労もありますが、エバンジェリストの楽しみとして「いろんな人に会える」(櫛井さん)「客がサービスを使い始めてくれるのがうれしい」(大森さん)「プレゼンしてもいいし文章を書いてもいいしコードを書いてもいいので仕事がやりやすい」(横田さん)「いろんな新しいサービスに関わることでレベルアップできる」(中津川さん)といった回答もありました。「1年後もエバンジェリストを続けたいですか?」という質問には全員が「続けたい」と回答。やり甲斐のある仕事であることをうかがわせました。

会社の看板背負ってる?

次の質問は「会社の看板を背負ってるとか会社の顔みたいな感覚ある?」。エバンジェリストは外部からそのように見られがちな職種ですが、当人たちの感覚を聞いてみました。

  • 仕事をもらっている立場上、ヘタなことはできないので、社員エバンジェリストよりもむしろ看板背負ってる感は強い。(中津川さん)
  • 看板を背負ってる感はあるが、顔という感覚はない。CEOは顔がすぐ浮かぶ人が多いけど、エバンジェリストはそういう人は少ないと思う。(横田さん)
  • 看板背負ってるとか顔という意識はないけど、フォロワーは多いので変なことはそもそも言えない。LINEのエンジニア文化の代表と思われているという意識はある。(櫛井さん)

総合すると「エンジニアにとっての会社の顔がエバンジェリストである」(馮さん)ということのようです。

社内からもたくさん見られている櫛井さんと横田さん

また、櫛井さんと横田さんからは相次いで「社外よりもむしろ社内の人が自分の投稿を見ていて、社内slackに引用されたり、内容についてツッコミが入ったりする」というコメントがありました。ここから派生して、SNSの使い方で気をつけていることについてもお聞きしました。「個人アカウントのサブアカウントは持たない」(櫛井さん)「自由に書きたい話は仲間内だけでやってるマストドンに書く」(横田さん)「facebookはグループとメッセージのみ利用」(中津川さん)など、それぞれ工夫されているようです。「エバンジェリストは顔が知られているのでSNSで暴言や誹謗中傷を受けることがある。対応ガイドラインもまだ整備されていないので経験で対応するしかない」(大森さん)という問題もあるようです。

エバンジェリストって誰でもできる仕事?

この他にもいろんな話題が出たのですが、特に筆者が聞きたかったのが「エバンジェリストは誰でもできる仕事なのか?」でした。「わかりやすく伝えるのは向き不向きがあると思う」(櫛井さん)「テクノロジーに対する熱さとかモチベーションのある人が向いている」(大森さん)という答えがある一方で、「スタートアップの小さい会社はエバンジェリストを雇う予算はないので全員でやるしかない。そういう意味では、本当は社員みんながやらなきゃいけないこと」(中津川さん)という回答もうなづけるものがありました。

また、これに関連して中津川さんからは「エバンジェリストって、コードが書けてブログが書けてプレゼンもできるスーパーマンなんだから給料は高くあるべき。でもそれだと日本の会社では雇えないので、そこからMOONGIFTの仕事が始まった」という話がありました。しかし出演者の皆さんは会社からエバンジェリスト手当などはもらっていないという話をしていたところ、ある参加者からの「私の勤務先は登壇手当があります」という発言に出演者一同大興奮! 今すぐオレを雇ってくれと言わんばかりの反応はちょっと笑えました(笑)。

おわりに 〜大切なのは話術ではなく熱量〜

こんな感じで大いに盛り上がったフリートークもあっという間にタイムアップ。エンディングで行われた参加者プレゼント抽選会では、LINEからご提供いただいたClova(!!)もプレゼントしました。櫛井さんありがとうございます!

今回はエバンジェリストの集まりということで、話すことは慣れているであろう方々なのでその辺の心配はしてなかったのですが、自分の中の高い期待値をさらに上回るトークセッションができたように思います。これもひとえに出演者の皆さんのおかげです。本当にありがとうございました!

そして、エバンジェリストというと「イベントで講演する人」というイメージを持っている人が多いかと思いますが、講演は製品やサービスを説明する手段の1つに過ぎません。ブログや書籍など文字で伝えたり、もっと今風の手段としてはYouTuberのように映像で伝えるとか、その他の表現方法もあるでしょう。そこで大事なのは話術やスライドの作り方といったテクニックよりも、自分が伝えたいものをいかに「これは良いものですよ」という気持ちや熱量を込めて伝えられるかであることに、トークセッションを通じて気づかされました。プロレスでも技よりも気持ちが大事とか言ってるのをときどき耳にしますが、それと同じことかもしれません。自分にとっても学びの多い試合になりました。この試合を組んで本当によかったです。

次回のTechLIONは、12月か1月ぐらいに開催できればと考えています。とは言うものの、まだ何も企画を立てていないので、そろそろ馮さんと飲みに行くか(爆)。試合が決まりましたらアナウンスしますので、ぜひ遊びに来てください!

付録

イベントの写真や動画を公開しています。会場の雰囲気を感じてもらえたら幸いです。

9月10日はTechLION!エバンジェリストの仕事と人物像に迫る!

ゼネラルマネージャーの法林です。

最初から話が脱線しますが、私がTechLIONのGMに就任したときに「3大GMを目指す」と言っていた残りの2大GM、すなわちスターダムの風香さんもDDTの鶴見亜門さんも今はその職になく、残っているのは私1人。規模はともかく細く長く続けるのだけは得意です。

そんなTechLIONも流れ流れてvol.34。サンシンとも読めるだけに空振りに終わりそうな予感を振り切り、渾身のストレートで、もしくは真っ向勝負で試合を用意しました。今回のテーマは「エバンジェリストのお仕事」。また脱線しますが、このタイトルは、スカパーのプロレス専門チャンネル・サムライTVの人気番組「インディーのお仕事」が元ネタです。この番組名にはさらに元ネタがあって、それは「ナースのお仕事」らしいです。

「インディーのお仕事」の番組紹介ツイート。
余談ですが写真に写っている「力」選手は力道山の孫です。
(出典:https://twitter.com/samusuta/status/1030019168009998336)

タイトルはネタで付けましたが、テーマ自体はずっと前から取り上げたいと思っていました。私もここ数年、さくらインターネットでエバンジェリスト的な仕事をしていて思うのですが、エバンジェリストって、能力的に特殊な仕事だと思うのです。本来、プログラムや設定ファイルといった、いわば記号を連ねることで仕事をするのがエンジニアなのに、そうして作られたものを人間の言葉で説明しなければならない、それがエバンジェリストの仕事です。この2つの能力には大きな隔たりがあると思っていて、そのせいか、エンジニアは全体的に言葉で説明するのはあまり上手ではないように思います。つまり、エバンジェリストという職業は、そういう隔たりの大きい2つの能力を兼ね備えている、例えるなら30本塁打と30盗塁を同時に達成するようなことを、日常の業務としてやってる人なのです。

「いらすとや」に存在する「エバンジェリスト(男)」のイラスト。
ほんとに何でもあるなーいらすとや。

エバンジェリストという職業を務めるにはどんな資質が求められるのか、素質やセンスみたいなものがあるのか、日々どんな努力や勉強をしているのかなど、聞いてみたいことがいっぱいあります。いっぱいあるなら試合を組んで聞いたらええやんと思い、今回企画した次第です。

肝心の出演者ですが、2人ぐらいはすぐ思いついて、すぐに声をかけました。1人はさくらインターネットの横田さん。一緒に仕事をしている人でもありますが、それを抜きにしても、私の中では「エバンジェリストといえばこの人」ぐらいのイメージがあります。もう1人はLINEの櫛井さん。櫛井さんは最初期のTechLION vol.3でYAPC::Asiaの人としてLTをしてもらったことがありますが、その頃とは立場も変わり、今回は本業での出演となりました。カルチャーエバンジェリストという肩書は個人的に気になってます。

2011年にご出演いただいたときの櫛井さん

そして、もうちょっといろんな人に出てもらおうということで、スタッフに推薦してもらって交渉しました。1人はMOONGIFTの中津川さん。特定の企業に所属して活動するエバンジェリストが大半の中、さまざまな企業から技術広報やDevRel(開発者との連携)といった仕事を請け負うという、独自の立ち位置で活動している方です。最後の1人はマイクロソフトの大森さん。AzureやAIのエバンジェリストをしていると聞いています。「聞いています」という言葉でわかるように、私は今回の出演者で大森さんだけ面識がなく、初顔合わせになります。未知の強豪と対戦できる、それも私にとってはTechLIONの楽しみのひとつです。マイクロソフトはエバンジェリストがたくさんいらっしゃるそうで、TechLIONに出るための社内予選とかあったら(ないない)、大変な激戦になりそうですね。

中津川さんが運営するDevRel Meetup in Tokyoのウェブサイト(https://devrel.tokyo/)。次回のミートアップはTechLIONに先立って9/5(水)開催。

当日のトークは、前半は各出演者ごとに話題を設定し、後半はエバンジェリストらしい話題を全員に振ってトークをする予定ですが、なにせ全編フリートークだし最初から酒飲んでるしで、どういう展開になるかわかりません。ただ、今回はエバンジェリストの集まりなので、トークのスキルに関してはTechLION史上最強レベルであることが期待できます。きっと楽しいひとときをお届けできると信じています!皆さんぜひ遊びに来てください!チケットはPeatixにて発売中です!9月10日は日本橋サイボウズでお会いしましょう!