つながりがつながりを生む,リアルイベントでの出会い

TechLIONプロデューサー/技術評論社の馮です。こんにちは。
早いものでリレーブログ2回目の順番が回ってきました。

今回は,先週取材したアメリカ西海岸で行われたEvernote Trunk Conference 2012の模様から,IT系イベントから広がるつながりについてお話しします。

Evernoteオフィス
Redwood CityにあるEvernoteオフィス。シリコンバレーの青空のもと,とても心地良い環境のオフィスでした。

Evernote Trunk Conferenceについて

Evernote Trunk Conference(ETC)は今年で2回目となる,Evernote主催のテクニカルカンファレンスです。オンラインで実現する記憶サービスとして,ここ日本でも多くのユーザを獲得しているのが特徴で,今年6月には本社ヘッドクオーターをベイエリアのRedwood Cityに移し,ますますの成長を遂げています。

Evernote CEO,Phil Libin氏
Evernote CEO,Phil Libin氏。同社が目指す「100年企業」の理念に基づいた考えや戦略,発表を行いました。

今回のETCで印象的だったのは,「デザイン」「機能」「体験」といったキーワード。これらは,Evernoteに限らず,最近のさまざまなオンラインサービスで最重要課題として扱われています。理由の1つは,デバイスの進化,とくにスマートデバイスの登場が挙げられるでしょう。また,日本からはJapan Prizeを受賞したmemogramの開発チームが参加し,日本から世界へのさらなる展開が期待されるイベントでもありました。

これらの模様については,gihyo.jpのレポート「ライフスタイルに浸透したオンラインサービスの未来――ETC2012に見るEvernoteのこれから」でご紹介していますのでそちらをご覧ください。

メイン会場
メイン会場。約800名の参加者が集まり,大盛況のうちに幕を閉じました。

(海外)取材の楽しみの1つは現地の人たちとの出会い

さて,(海外)取材での楽しみの1つは,現地の方たちとの出会いです。毎回毎回新しい方たちとの出会いがあり,そこからさまざまな情報を得たり,楽しい時間を過ごすことができます。
今回のETC取材でも,Evernote本社の方たちをはじめ,他のメディアの皆さん,新サービス開発をするスタートアップ企業の皆さん,旧友の会社(btrax, Inc.)に来ているインターンの皆さんなどなど,数え上げたらキリがないくらいの出会いがありました。

ただ出会うだけでは面白くありません。そこでいろいろな会話をし,つながりを深くしながら新しい発見・価値観を広げられることが,新しい出会いの醍醐味です。

今回の取材で言えば,取材目的であるEvernoteの話題はもちろんのこと,自分の仕事の話,また,海外の方たちからは「今,日本で流行っているサービスは何か?」といった質問を受けたり,ときには昨年起きてしまった悲しい出来事である東日本大震災に配慮してくれたコメントを貰ったりと,自分の知見を広げ,ときに人の温かさを感じることができました。

ちなみに,インドネシアのメディアの方に会ったときに,「今,日本を始めアジアでも流行っているLINEって知ってる?」と聞いてみたところ,「もちろん知ってる」との返事が。ただ,日本ほどスタンプを使ったコミュニケーションは活発ではないそうで,流行りのサービスでも国によって使われ方が違うんだなーと新たな発見があったのも印象的でした。

他にも,余談ではありますが(笑),僕が持っているiPhoneケースがきっかけで話題が盛り上がりました。
僕は写真のような布袋寅泰仕様のiPhoneケースを使っているのですが,それを見た方がたまたまBOØWY好きで,そこからBOØWY談義が始るなど,まさかアメリカ西海岸でBOØWY談義とは!と,思わず予想外の会話が広がるのも,こういった新しい出会いの楽しさです。

布袋モデル
布袋寅泰仕様のiPhoneケース。僕のお気に入りです:-)

つながりがつながりを生んでいく

ここまで話してきたのは,取材やイベントを通じて出会ったときの,その瞬間の楽しさであり,さまざまな経験なわけですが,そういった出会いはその場限りで終わるものではありません。
その出会いがあるからこそ,次のつながりが増えていくのです。

自分の経験からの一例を挙げると,今回のETC取材の一番最初のきっかけは,2008年の西海岸取材にて,現在Evernoteに在籍している佐藤さんとの出会いでした(詳しくは「第4回 シリコンバレーで働く人たち―Google,Adobe,フリーランス(前編)」をご覧ください)。

そこからの縁で,gihyo.jpでの連載「[公式]Evernote API徹底活用レシピ」が始まったり,Evernote日本法人のチェアマン外村さんとの出会いがあり,今回の取材につながったわけです。

これは,僕自身がメディアという立場で,少し特殊な状況だからかもしれませんが,それでも,1つの出会いをきっかけにさまざまなつながりが生まれ,そして,今もなお続いています。

もう1つ余談ですが,前述した旧友であるBrandonは,もともと2005年に彼が来日した際にWeb関連の雑誌連載企画を打ち合わせたのがきっかけで,そこからやりとりが始まり,今ではお互いが現地に行くときに会って話したり飲んだり。今回は,btraxのオフィスにお酒を買い込み,今,日本からインターンとして参加している学生の皆さんとちょっとした懇親会の場を設けることができました。こういった新しいつながりも,最初の出会いがあってこそ,です。

このように,たった1つの出会いからさまざまなつながりが生まれ,またそのつながりが次のつながりを生んでいくのではないかと僕は思っています。

ただ,大事なのは未来の何かにつなげていくために出会いを求めるのではなく,まず,その瞬間瞬間の出会いを大切にし,そして,1年後,2年後と時間を経過したあとに,そのときの出会いがあったことをこうやって振り返れる関係性を築いていくことなんではないかなと。最初の1回があるからこそ,継続が始まるわけです。

その点で言えば,TechLION GMの法林さんやスタッフの鎌田さんをはじめとしたTechLIONチームとも最初の出会いがあり,今,こうして一緒にTechLIONをやっているのです。
あれ?法林さん,鎌田さん,最初の出会いっていつでしたっけ?(笑)

10月4日は神戸初開催となるTechLION vol.9

さて,TechLION vol.9のスピーカーの1人,安田さんとも本当に長い付き合いで,1番最初は(イベントではないですが)『Software Design』での記事を担当させていただいたのが始まりでした。その後のKoFをはじめ,いろいろなイベントでお会いすることも増え,今もなおお世話になっています(その辺の話は10月4日に!)。
あと1ヵ月ちょっとでTechLION vol.9が開催されるわけですが,

  • TechLIONに初めて参加する方はこの先のつながりに続いていくきっかけの場として
  • 2回目の参加の人は3回目につなげていくステップとして
  • それ以上参加している人ももっともっとつながりが広げていけるように

ぜひとも神戸にお越しください。
TechLIONスタッフ,スピーカー一同お待ちしております。

次回のエントリバトンは,本ブログ制作担当のかなり屋さんにお渡ししますー


■TechLION vol.9
開催概要↓
http://techlion.jp/vol9

お申し込みはこちらから↓
http://www.zusaar.com/event/362008
http://www.varit.jp/


神戸に馳せる想い @kamapu

@kamapuです。日々善のフォースでがんばってます!

■リレーブログが一周しました。

この企画、TechLIONスタッフのいろいろな文体が見えておもしろかったですね。
松浦さんはいつもあんな感じで熱いです。技術や文章に対してものすごく情熱があるんですよ。真夏には若干熱すぎるような気もしますが、ぷぷぷ。冷たい文章と違って、なんども読み返すことできますよ♪
法林さんはいろんな方面で人気ですが、オンライン記事でも交遊風景がご覧になれます。
最近エンジニアタイプのある記事が週間ランキング一位になりました。おめでとうございますパチパチ☆記事は4月のものですが、なぜか8月になって再熱しました。きっとどこかで話題になったのでしょう。
そこから引用させていただきます。

”小山:先日、法林さんが司会をされた『TechLION vol.6』でまつもとゆきひろさんの話を聞きましたが、まつもとさんはまさに「個人として評価されるエンジニア」の典型ですね。
仮に、どこかの企業があの人を採用するとしますよね。その時、「プログラムは書かないでください」なんてバカなお願いをする企業はあり得ない(笑)。まつもとさんは、コードを書いてこそ価値を発揮する人で、それは皆が知っていることですから。”

(と、さりげなくTechLIONの話が混じっています。)

「個人として評価されるエンジニア」の典型
まつもとゆきひろさんは才能をぞんぶんに発揮されている、あこがれの方ですよね。

■神戸開催は10月4日(木)です。

神戸港で画像ググるとこんな感じになります。素敵ですね~。楽しみです。

神戸地域最大のITイベントが神戸ITフェスティバル、こちらのフェス開催前夜に行われます。神戸ITフェスティバルはビジネスやメーカ主体ではなく、地域振興といった趣旨もこめられているようです。
神戸の港、訪れたことがないのでちょっと調べたのですが、スカイツリーみたいに
タワーがあるのですね。「神戸ポートタワー」というらしいです。(108メートル)

そこからちょっと離れたところにあるのが、三宮駅から徒歩2分「Varit.」です。
TechLION vol.9 の開催場所。るんるん♪

■TechLION vol.8から選りすぐりの写真ちゃんたちです。
とくとご覧あれ!(以下写真はすべて@tomocha 撮影)

・美人さんショット


まゆみんさんと一緒に映るタイムライン

・教授ショット

・MCショット

・スタッフショット

・かんぱいショット

まゆみんさん(左)、えふしんさん(中央)、山本裕介さん(右)

■TechLION vol.9のお申込みはこちらから!

現在ゲスト交渉中で、あと1人~2人増える予定です。盛り上がりますよ~
地方開催、名古屋ではチケット売り切れたので、お申込はお早目に!

今回も長くなっちゃいましたが、前回も書いたあとに、「あれを書いておけばよかった」とか「この熱い想いを伝えたい」等々思うのですが、時すでに遅し、人間決まった時間でやれることは限られていますね。ああ儚い。

次回は馮さんにバトンをお渡しします!よろしくお願いします~

TechLIONはゲストがすごいんです!

みなさん、こんにちは。
スタッフの高坂です。
当日受付、販売担当、サイトの写真集ページ作成と更新をしています。

 

普段私は、オープンソースカンファレンス(OSC)事務局のお仕事をしています。
そんな私が、なぜTechLIONのお手伝いをさせていただくことになったのか。
そのいきさつを少し書いてみようと思います。

 

私がTechLIONというイベントを知ったのは・・・。

OSC常連者ならば誰もが知っているであろう宮原氏が第1回の出演者だったから。
コアメンバーの法林氏が、OSC懇親会の場でいつもびらを配っていたから(笑)。

そして、「TechLIONっていうイベントがあるらしい→なんか面白いらしい→いつかTechLIONに行ってみたい」と思うようになったのです。

 

そう思い始めた私が、初めてTechLIONに参加したのは、昨年の「TechLION vol.5 大忘年会」でした。

 

参加するきっかけは、昨年12月初旬に開催されたOSC2011Fukuokaの、これまた懇親会の場でした。

いつものごとくビラを配っている法林さんをつかまえ、今回は是非行ってみたいんです!と勢いでチケットを購入。だって、なんかすごい人がGUESTで出るらしいと小耳に挟んだから。

(すみません、このときはよしおかさんが誰なのか存じ上げていませんでした)

 

そして当日。

プログラマーでもエンジニアでもない私は、専門的な話しは全く分からないのです。でも、すぐによしおかさんの話しに引き込まれていきました。彼の根底に流れている熱い気持ちと強い信念。その心が大事なんだなと胸が熱くなりました。

と・・・、壇上で堂々とビールをおかわりし、枝豆を注文するよしおかさんの姿に、口があんぐり。自らを「自称プロの酔っ払い」と呼ぶだけあります。すごいエンジニアは人間もすごい!と感心したのを妙に覚えています。

 

このイベントの後、法林さんからのお声がけもあり、お手伝いさせていただくことになったのですが、スタッフという立場ながら毎回TechLIONを楽しみにしています。

 

だって、TechLIONはゲストがすごいんです!

 

だからこれからも、微力ながらお手伝いさせていただければなと思っています。

 

そしていよいよお待ちかね!vol.9のチケットが発売開始。

開催概要↓
http://techlion.jp/vol9

お申し込みはこちらから↓
http://www.zusaar.com/event/362008
http://www.varit.jp/

 

それでは皆さん、次回のTechLIONでお会いしましょう。

 

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Vol.8報告(2/2)―Twitterゆかりのゲスト達がソーシャルメディアの道筋を語り合った

引き続きUSP MAGAZINEまつうらです。TechLION Vol.8の報告後半しゅっぱーつ!前半をご覧になっていない方は是非読んできてください。

今回のTechLION第二部はTwitterゆかりのゲスト達を招いてTwitter談義をするという、Twitter祭りを開催しました。それぞれに人生あり、ノウハウあり、考え方あり、そして思い描く未来あり。たかがTwitterでは終わらせられない深い話が多数飛び出しました。

Twitterゆかりのゲストお三方

本日のかんぱーい!申し遅れましたが第二部のサブタイトルは「ジャングルバス.com」。Twitterについて、開発者目線、ユーザー目線で熱く語っていただくわけですが、まずは第二部から登場したゲストをご紹介。

とその前に、第一部でやり忘れていた本日の乾杯を出演者+ゲストみんなでしました。

かんぱーい!

そして、LT風にお三方が順番に自己紹介。

ユーザー代表 高橋真弓@Six Apartさん

高橋真弓@SixApartさんMovable Typeで有名なSixApartで広報とマーケティングをなさっているという高橋さん。Twitter上では、 @mayumine(本人)、 @sixapartkk(会社)、 @tophlove(「トフ」という会社のマスコット)、の3種の人格(1つは動物?)を使い分けているそうです。本人はもちろん本人、会社は会社らしく清廉潔白に、トフは「トフ」しか喋れないアカウントだそうです。(我TechLIONにもてっくんというマスコットが……) またURAMAYUというブログを書いているブロガーでもあり、GIZMODO JAPANNAVERまとめ等もなさっているそうです。

Twitterで一番印象深い出来事は2009年、国内のTwitterの盛り上がりもあってニュース番組ワールドビジネスサテライトで会社が取材され、こともあろうに酒が入った状態で受けたインタビューの様子がオンエアー。でもまぁそれはチャンスとばかりにブログに記事を書いたところ、放送から1週間でフォロワー数が2000~3000人増えたということがあったそうです。

開発者代表 藤川真一(えふしん)さん

藤川真一(えふしん)さん現在F’s Garageというブログを運営中。

2007年4月、日本のTwitter黎明期。会社員をやりつつ日本初の携帯電話向けTwitterクライアント「movatwitter (現モバツイ)」をリリース。

当時はまだ日本にiPhoneが無かった頃であり、数少ないモバイル向けTwitterクライアントとして支持されたことや、2009年に国内でTwitterがブレイクしたことも手伝って、最終的に160万ユーザーを抱えるまでに成長したそうです。

2010年にこれを運営するための会社を設立(その話は自伝として本にもまとめたそうです)、業界がスマートフォンへシフトする中でスマートフォン向けクライアントもリリースしましたが、今年5月、熟慮の末に会社を売却して現在に至ったといいます。

開発者代表 山本裕介さん

山本裕介さんジュノンボーイにも同姓同名の方がいたりしますがあちらは俳優界のイケメン、山本さんエンジニア界のイケメン。二児の父で、実はイクメン(育休中)でもあります。

コンピューターとの出会いは、ファミコン買ってとせがむ兄に与えられた MSX1。そしてBASIC・Z80マシン語から手を染め(筆者はここに感動ですよ!)、Pascal, Fortran, Java, C/C++  と様々な言語を使いこなせます。

2007年、Java向けのTwitter API、Twitter4Jを制作。仕事面では、エンタープライズIT系企業を経て、RedHatでオープンソースの世界を垣間見つつ、先程のTwitter4Jも相まってTwitter APIポケットリファレンスを執筆。そんな実績がTwitter社の目に留まり、オファーを受け、Twitter Japanでデベロッパーアドボケイト(開発者支援役)として働き始め、大規模Webシステムを学んだそうです。

Twitter座談会:

以上のお三方+第一部に引き続き砂原先生と、司会の二人(馮P&法林GM)の計六人でTwitter座談会スタート。かなり要約してしまっておりますが、以下、会話形式でお送りします。

Twitterにまつわる人生の変遷

: 一度Twitterをテーマとしてやりたいって思っていました。そんなわけで今日お三方をお呼びしたのですが、気付いてみればえふしんさんと山本さんはお呼びした後、ポジションが変わっていてあれ?みたいな。えふしんさんはどのくらいのタイミングでバイアウトを考えていたんですか?

えふしん: バイアウト自体は今年の頭くらいですね。2010年設立のマインドスコープの役割はTwitterから離れることだと思ってました。(黎明期を支え終えて)ご苦労さんって言われて会社が潰れちゃうのはリスクですから、それ以外の柱を持たなきゃいけないっていうのがありましたし。

: ご自身で何か新しいものを創りたいとか思いますか。

えふしん: まあ……明確にやりたいものがあればマインドスコープで行ったと思うんですが、そういうことではなくて一からやり直そうと。これまで5年間ずっとケータイ中心で、ケータイもだいぶレガシーになってきてますし。

: 山本さんはどういう経緯で?

山本: 僕はやっぱデベロッパーアドボケイト(開発者を支援する役)なんですよ。WebのAPIを使っていろんなサービスが広がったら面白いなあと思うんです。それでTwitter4Jも作って。アプリをやりたいなと思うこともあるけど、Twitter4Jなんかにもいっぱい要望が来て忙しいし、やっぱAPI面白いし。
そんな感じでフリーランスやりながら本書いたりして頑張ってた時、Twitter社から声が掛かって、それで給料貰えるならいいかなと思って。でも次第に、本国に来て開発を……という流れになり、それもちょっとやりたいことと違うなとモヤモヤしてきました。既に僕には家族もいますし。それでイクメンしながら好きなアプリケーション作って飯食えたらいいなって思ったんです。

: Twitterが登場した2006年からたかだかこの5,6年でこれだけ人生が変わるような出来事が起こるんですね。高橋さんは昔と今で、使い方変わってきてたりしますか?

高橋: 当初は友人とのコミュニケーションツールとして使っていたんですけど、フォロワーが増えてきて、最近はあんまりプライベートなつぶやきとかしなくなっちゃいましたね。Twitterは情報発信系に、そしてプライベートはFacebookに。

法林: Twitter自体があまりアクセス制限の仕組みとかないですよね。だからプライベートなことには実はあまり向いてないという。

Twitterを如何なるツールと捉えるべきか

山本: Twitter社自身も「TwitterはSNSではないですよ」と言ってます。SNSの括りに入れられたりしますけど、ソーシャルグラフではなくインタレストグラフなんだと。片思いできるのが特徴ですからね。

(編注:このあたりで山本さんが、#techlionのタイムラインをリアルタイムに舞台のスクリーンに表示するという計らいを……。すると!観覧者から多数の静かなツッコミが入っていたことがあらわになり、その後も激しいツッコミの応酬に……)

#techlionハッシュタグタイムライン1砂原ミクシィは完全に閉じてて、Facebookは何となくコントロールできてて、Twitterは完全にオープンで、僕は書きかけて消すツイートが最近結構あるんだよね。一般的な例えで言うなら、「原発賛成!」みたいなのとかね(飽くまで一般例だからね!)。
慎重に言うべきこともあるだろうけど、でもあえて言わなきゃならないこともあると思うんだよね。そういうのって何か意識してる?

高橋: 少なくとも酔っぱらってる電車の中では投稿しないっていうルールを作りました(笑)。

砂原: そう、人によっては酔っぱらってる時ずーっとツイートしてて「こいつ大丈夫か?」って思う奴もいるし、何もわからないこどもなんかもそうだし、でもわかってて意図的にやってる人もいるんだよね。
ここらへんのバランス感覚をどう考えてますか。こどもにTwitterという道具を与えるとしていつなら大丈夫かとか。

観客からの静かなツッコミの応酬山本: うちの子は既にデジタルネイティブ世代ですねー。テレビをタッチして「これもう一回再生しろ」みたいな(笑)。 いつからTwitterをっていうと、もう生まれる前から専用のアカウントを持ってやってます。「生まれたよ」とか。

高橋: 大人になったらそのアカウントをお子さんに明け渡すんですか?

山本: 本人が嫌がらなければ。もしかしたら「ざけんじゃねー」とかいって最近出た全削除ツールで消されるかもしれませんが(笑)。
それで僕自身としてツイートする時は、今はTwitterの中の人としての発言になってしまうのでそこはやっぱり社内のレギュレーションとかありますね。 指針としては、競合他社に関して発言するときは批判的なことは言うなとか。

#techlionハッシュタグタイムライン2えふしん: Twitterは「つぶやく人が放送局になれるのが素晴らしい」と言うんだけど、「有益な情報を発信してフォローしてまじめに使いましょう」って言っても普及しないんですよ。Twitterのつぶやき欄に“What are you doing?(今何してる?)”って出てくるけど、日本人にとってみれば結局何を書けばいいのかわからないですから。逆にたからこそ、ギーク達が独自の使い方を産み出して、これ面白いじゃんといって普及していったと思うんですよ。そうしてやがて有名人の情報拡散装置になったり、バカ発見器になったりしていったと。

えふしん: 震災とかの有事の時にネットワークとして使うっていう考えもあるけど、例えば「僕は無事ですよ」とつぶやいたって相手が見てなきゃ伝わらないんです。Twitterって要するに、日常のどうでもいいようなところで使われているからこそ価値があって、だからミクシィなんかとも使い分けられてきたんですよ。みんなそんな有益なことできないですもの。無駄を許容したところが、設計的にTwitterが偉大だったところですよ。

クジラ(高負荷)に見る、Webの設計思想

砂原: 3・11の時にさぁ、Twitterでクジラ出なかったの何でなんだろう思わない?あの時にクジラ出てたら、震災の時Twitter使えるなんて誰も言わなかったでしょ。

法林: クジラってあの、Twitterが処理しきれなくてサーバーが落ちてる時のアレね。

砂原: あれ、裏ですごかったでしょ?俺もちょっとその話聞いたんですよ。そういう事って知らないじゃん、みんな。だけどそういう事を知ってもらうことによって、例えばサーバーの仕組みは本当にこれでいいのかとかそういう話ができるんだよ。ごめん、話を遮って(笑)。

ぶっちゃけバルスの方が大変ですよ山本: 震災発生当時はやっぱ大変でしたね。でもぶっちゃけ「バルス」の方が大変だったですよ。

: モバツイなんかもあの時落ちないようにされたんですか?

えふしん: やっぱあの時はひたすらサーバー増やしましたね。都会でも帰宅困難者がいっぱいいてケータイ使いましたらからね。サードパーティの役割としてやっぱ落としちゃいけないなって。あの時は利益度外視でしたね。テレビも広告一斉に消えましたし、メディア全体がそうでしたから。

: 山本さん、改めて伺ってみたいのですが…

山本: (編注:この時ツイートしていて端末いじり中だった)あ!はい。技術的な観点で僕は学ぶことがいっぱいありました。最初エンタープライズ畑にいたのでそことはだいぶ考え方が違うんだなと。Webは絶対落ちちゃいけない、じゃなくてとにかくできる限りサービスを継続することが大事っていう。そこはアーキテクチャもよく考えられてるなと思いました。
例えば、ツイートは受け付けるんだけども、非同期。すぐに書き込まないとか。あとフォロワーがたくさんいる時。一言ツイートするだけで何万人ものタイムラインに現れますけど、そこを従来のメールと同様の作りにしていると全然追いつかない。そのために極端な話「時々失敗してもいいかな」くらいの作りをしている。そこはエンタープライズと全然違う考え方で対策をしているんです。
ホエールウォッチングそれでクジラもどんどん出なくなってきた。でも寂しいですよね。そろそろまた会いたいなーみたいな(笑)

(編注:山本さん、ここでクジラの画面を披露。これは、このURLを開くといつでも見られるという。更にクジラでないパターンも。)

観客: クジラを釣ってる鳥の数直しましたよね。偶数羽でないと釣れないはずなんだけど、最初奇数羽いたっていう。

法林: スゴいポイント見てますね!

Twitter、そしてソーシャルメディアの今後は?

: Twitter以前だと2004年のミクシィがあったり、最近だとLINEが5000万ユーザーを突破したりなど、人を繋ぐいろんなツールが登場してきました。ではTwitterの今後のポジションについて、皆さんどう思われますか?予想や意見、あるいは自分はどう付き合っていくかなど、お聞かせください。

山本: クローズドなmixi、オープンなTwitter、中間くらいのFacebookと、ソーシャルツールは一通り出てきた感はありますけど、LINEってあれはあれで画期的な気がします。電話を通じたソーシャルな繋がりっていう意味で。今後は電話帳を登録しない人が出てくるのかとか、既存のTwitterなどとどう繋がっていくのかなとか。
あと個人的にはAPI提供してくれると面白いなと。LINEの人にメール送ってみたり したいですよ。だから「よかったらLINE4J作るよー」って言ってるんですけどね。

えふしん: Twitterの最大の特徴はやっぱり140文字を守り続けることではないかと思うんです。最初電子メールが登場しましたが、その中の需要の一部にとってはそんな特徴を持つTwitterの方がより適切で移っていった。それと同じでTwitterの一部の人達にとってみると更にLINEに移る方がいいかもしれません。でもTwitterはTwitterとして、有名人とふらっと繋がるとか、ちょっとしたECがお客と繋がったり、そういうところが洗練されれば今後も残り続けると思うし、他メディアもそうだと思います。

高橋: えふしんさんの言うとおり、140文字というシンプルさだけは変えないでほしいです。300文字以上つぶやけるようになりましたとか、SNS機能が付きましたとかいったらTwitterの価値が無くなっちゃうと思います。
多分ですけど、Twitterはインフラ的な方向に寄っていくんじゃないかなと思っています。今iOSに統合されていますけど、よりいろいろな所に不可欠ものとして取り入れられる形で成長していくのかなと思っています。

: 砂原先生はどうお考えですか?

砂原:  俺は全然違う事考えててね。
いろいろなサービスが出てきたけど、それが一企業の提供するサービスである限り、その先は無いと思ってる。TwitterはTwitterの人がやるし、FacebookはFacebookの人がやるっていう……。ミクシィ、LINEもね。これを更に考え直してアーキテクチャが変わると思う。ただ通信するだけのメディアだったインタネットが今HTTP(Web)レイヤーで接点を持つ段階に上がって来たけど、将来は更にその上のレイヤーに接点ができて、そこにいろんなサービスが乱立してくると思う。

大学の先生みたいなこと言いますね法林: (ここまで全然それっぽくなかったのに)大学の先生みたいなこと言いますね。

砂原: (苦笑)でもそれができなかったら次は無いと思う。JUNET始めた時、今こんなになってるなんて誰が想像したか。その段階に来たときに、今の学生やこれからの人達がいろいろ考えてくれるはずなんだよ。えふしんさんや山本さんもたぶんそんなことを考えるから、次の展開へと足を踏み出してるんだと思うんだよね。

法林: そういう曲がり角に来ている時期なのかもしれないってことですね。

: そういった形にで積み重なっていって、5年後10年後、これまでゲストに来て下さった方達も交えてまた話をしてみたいですね。今日は皆さんどうもありがとうございました。

座談会を振り返って

会場で交わされたTwitter談義。ブログなんかじゃとても全てをお伝えすることはできませんが、他にも興味深い話、大切な話がたくさん出てきました。その補足も兼ねてちょっとだけ書かせていただきますが、今回の座談会の中で筆者が個人的に考えさせられたのは、いわゆるバイアウトの話とバカ発見器的側面の話でした。

司会の馮さんはバイアウトの話を振っていましたが、あれは、世間で思われがちな「バイアウト=勝ち組」な印象が本当にそうなのか今一度問いたいという意図があってのことでした。実際、実体験者のえふしんさんのお話を聞いた限りでは決してそんな華やかなものではないと感じました。売却して出来たお金で遊んで暮らそうなどという雰囲気ではとてもありません。そもそも価値あるサービスの創造で先行投資したぶんがようやく返ってきたとも言えるでしょうし、人生もまだまだこれから。飯を食うためにはどうしなきゃいけないか、そして一技術者として今後をどうデザインしていくべきなのか。そういったことを考える苦労は皆と変わらないのだなという印象でした。

そしてこのレポートの要約文中では用語としてはあまり出てきませんでしたが、Twitterの座談会中はバカ発見器的な側面も議題になりました。皆さんご存知の通り、ソーシャルツール、とりわけTwitterで、思わぬ失言によって地位を失墜させてしまう人が多数います。でも砂原先生もおっしゃったように時には言わなければいけないことだってあります。言うべきことを言わなければ、最近の不正コピー品ダウンロード刑事罰化DVDリッピング違法化など、異論を残したままの法案が強引に成立するといったような事態が起こってしまいます。(この法律のことについても今回触れられていました)

我々はもっと技術者としての立場から物を言わなければならないと思います。そういう意味では、まだまだTwitterをはじめとしたソーシャルツールを使いこなせていないのかもしれません。ソーシャルと繋がれるソーシャルツールを産み出したのは我々技術者なのですから、我々こそが使いこなすお手本になるべきだし、私はなりたいと思います。

ご参加ありがとうございました

Vol.8キャスト揃ってファイティングポーズ!今回のレポートブログ、大変長くなってしまいましたが、参加してくださった皆様(ゲストも観客も、スタッフも)、ありがとうございました。互いのメッセージから何かしら考えるものが得られていれば幸いです。

いつものように、記念に出演者勢揃いしてのファイティングポーズ写真を載せておきます。(お、砂原先生!気合い入ってますねー)

さて、次回は……、またまた遠征で10月4日、今度は神戸に乗り込みます!神戸は我らが司会の法林GMのホームでもありますが、神戸の皆様よろしくお願いします。ちなみに東京の次回は11月を予定しておりますので、こちらもお楽しみに。ということで、改めて次は高坂さんよろしくおねがいします。

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Vol.8報告(1/2)―はちゃめちゃトークの中に砂原流プロジェクト立ち上げ術を見た

おはようございます。USP MAGAZINE編集長兼TechLION取材班のまつうらです。TechLION Vol.8に参加なさってくださった皆様、お疲れ様でした。

こちら公式ページのレポートなわけですが、既に当日のアツい雰囲気や感動的なお話を伝えるレポートがまとめTogetterニュースサイト様等で公開されておりまして、ありがたく思うものの、まとめの巧さにプレッシャーを感じております。

では、公式として何を報告すべきか?……私は、自分で描いたこのポスターを思い出しました。TechLIONの見どころの一つは、ゲストの人間臭さが見られる点なんですよ。そこに惚れるからこそ、ゲストが言わんとしているメッセージの意味を、深く理解できるんです。だから今回は、「ゲストの人間臭さ」という切り口でこの報告をしようと思います。

メインゲスト、砂原先生が現れた

さてTechLION Vol.8の準備をしていると、本日のメインゲスト砂原秀樹先生@慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科がやってきました。Tシャツ着てます。イベント告知の段階から背中を遊び道具にしていて、ユーモアのある方だなと思っていたら、当日も背中で見せてくれました。

砂原研特製Tシャツ2012Tシャツの後ろに何か描いてある!「ん?」と思って覗き込む法林GM(ゼネラルマネージャー)。するとこんな感じになっていたんですね。(→写真)「うちの学生が作ってくれたんだよ。これ一枚だけしかないんだ」と先生。それにしても先生、満面の笑みですね

Tシャツといえば、Vol.5で来てくださったよしおかさんがプロの酔っ払い特製Tシャツを着てこられた時のことを思い出して「まさか、この展開は」なとど、脳裏に1時間少々未来の様子が思い浮かんでいましたが、いやいや……実際は想像以上でした。

 トークは終始飛ばしっぱなし!

お客さんも準備OK、3か月ぶりの東京TechLIONの開演を今か今かと待ちわびていた中、本番開始!司会者の法林GM&馮P(プロデューサー)、そして砂原先生の軽い挨拶を済ませたあと、第一部のトークスタート!

タイトルは「思えば遠くへ来たもんだ: 次の世代とともに進む未来」。では、内容を紹介していきましょう。それにしても先生、最後まで飛ばしっぱなしでした。時々エキサイトして声のトーンが急上昇。筆者は、こういうトーク大好きです。

はちゃめちゃトーク!でもそれは、マルチな実力の証

砂原先生の今の取り組みまずは自己紹介。私(先生)は何者か?もともとの専門はスパコン。それじゃ今は何やってるか……。「自動車」「救急車」…「百葉箱」あたりはでは想像付きますが、「ゲリラ豪雨」とか「女子力」とか何ですか?(それらはトークの中盤で触れられました) これは現在の話ですが、今までもそういったものを次々立ち上げてきた「立ち上げ屋」であると、自らを称してました。

そして半生を紹介。登場人物をオカシいやつだの悪人だの容赦無いうえに、自分もオカシいと言い出しました。小学生の頃に保護者面談で担任の先生は「この子は将来、博士になるか乞食になる」と言ったそうで、それ、間違ってないのが恐ろしいですね。

学生時代の話になると、日本のインターネットの父こと村井純先生がエピソードに登場します。が、悪人と呼んではばかりません。でもそれは、氏をよく知っている人に言わせれば、黎明期に一緒に日本のインターネットを創ってきた「戦友」だからこそなのだそうです。砂原先生曰く、「村井とは寝食を共にして、一緒に抱き合いながら寝た」とのこと。えー!!!

デザインもマネジメントもポリシーも、みんな通用する人材を育てよう

先生は、奈良先端大学院大学(NAIST) 先導的ITスペシャリスト育成推進プログラム(IT Keys)、そして現在は慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD)で学生の指導にあたっているそうなのですが、どちらの立ち上げにも関わっているそうです。ちなみに後者の立ち上げに際しては、先生曰く「村井に『やれ!』(やってみるかではなく)と言われた」のだとか(笑)。

でもマジメな話、立ち上げて何をしたかったのか。それは、テクノロジー(技術)、デザイン(表現)、マネジメント(経営)、ポリシー(政策)、全てのセンスを身に付けた人材を育てることなのだそうです。

技術なんて教えたってしょーがない、知ってんだからそんなの。それよりも要るのはコレ(法律・倫理・経営)。つまり、「お前は悪者になっちゃいけないよ。暗黒面のフォースを使っちゃいけないんだ」って教えることなんですよ。

そんな倫理教育も然り、経営的センスも教えるそうです。

な、お前ら経営ってわかるか?
お前らが必要だと思うセキュリティの装置を入れようと思う時、それが2億かかるとする。なんで2億も必要なのかわけのわからない経営者に、「これは2億かかるんですけど、2億掛けないと18億損しちゃうんですよ」っていうような話をできるようになんなきゃいけないんだぞ。

そんな話をしようと決心したそうです。「やっぱりねえ、エンジニアってコレができないからショボいんだよ。だから搾取されんだよ」と。筆者ももっと若くに教えられたかったですね。
さらに続けます「つまりね、これらはインターネットでやってきたことなんですよ」と、

インターネットって、やろうと思ったらまず電気通信事業者法ってのが立ちはだかるんですよ。最初にモデム繋いだ時に突然NTTから電話が掛かってきて、
「この先に、電話じゃないものが繋がってるんですけど……、何ですかねぇ?」
って言われて
「ボクもよくわかりませんっ!(ガチャ★)」
とかやるわけだけど……

(編注)こういうエピソードは殆ど冗談ですからね。真に受けないでくださいよ!

僕もよくわかりませんッ!というように、時には法律を変える必要さえ出てきます。

会社作ったりとか法律変えたりとかやっていくようになった時、こういう各分野のセンスないとダメなんだよね。「だから全部教えてみよう」ってやってみたんですよ。

砂原先生のとこの教え子さん達

そして、熱心に育てていらっしゃる教え子さんたちの研究成果が披露されました。

メンバー構成

女性4割、留学生3割、社会人半数、とのことです。女性4割って技術学科では驚異的ですね。出身分野もバラエティーに富んでいて、音大卒とか美大卒とか、はたまたスタンフォード大卒業後、他からのオファーには目もくれずにやってきた学生とか。うわー、楽しそうですね。

どんな研究が……

女子力向上ミラー面白すぎてオカシすぎて(褒め言葉)詳しく紹介したいくらいなんですけど、ブログ記事もだいぶ長くなってきたので、ほんの一部をさわりだけ。

  • HAPMAP:自ら方向音痴だと公言する学生さん(美大出身)が考案。「できれば道にロープ張って案内して欲しい」との思いから、GPSや地図情報と連携するiPhoneの裏にちょっとした装置を付けて仮想ロープを実現した。
  • 女子力向上ミラー(右写真):女子力が無いと悩む学生さんが、女子力センサーを作りたいと発想。女子力という言葉が出てくるブログで併用される単語を様々分析し、女子力という曖昧な量のスケール化を実現。これに基づき製作したという。

僕の製品は、うちの学生なんだなって思った

これまで携わってきた数々のプロジェクトも、今学生さん達と共にやっている研究も、どれも基本はCyber-Physical System(=サイバー空間と物理空間(この世の形あるもの)を繋いで、何ができるかを考える)という考え方

  • インターネットにとにかく全部繋げ。
  • 情報を全部集めろ。
  • それを皆で共有しろ(ここ凄く重要)。
  • そしてみんなでアイデアを出し合って有益な情報を創ろう。
  • 楽しくやろうよ!

があるといいます。

そして最後に

だから要するに、僕の製品は、うちの学生なんだなって、改めて思ったわけです。

と結びました。くー、先生ウマくまとめたー!でも筆者も、こういうこと言ってのける先生の下で大学院生やり直したいですね。

「営業になりたくない」って言ったら負けだぞ!

トークが終わって観客からの質問の際、またガツンとくる一言をおっしゃっていました。営業になりたくないって言ってきた学生さんがいて、その時こう言ったそうです(下写真)。

営業になりたくないって言ったら負けだ!

だって自分の研究をセールスできない瞬間に負けだろ?営業ができないんだから研究もできないんだよ。

そうなんですよね。人に自分の研究の意義を説明できなきゃ予算が貰えず研究活動が続けられないですし、そもそも自分が何を研究しているのか整理できていないのかもしれず、そういう意味でも続けられるのか怪しいもの。今思えば、「二位じゃだめなんでしょうか」発言で有名な事業仕分けによってスパコン予算が減らされた時も、あれはある意味負けだったのではないかと筆者個人は考えてしまいます。

◇ ◇ ◇

砂原先生。一聞するとはちゃめちゃ言っているように聞こえる部分もありますが、思い返せばそこで語られたエピソードはどれも絶妙なバランス感覚で首尾よく歩んできたことなんだなと気付かされました。

一方あえてはちゃめちゃなジョークを飛ばしている部分もありますが、それも含め、経営者や政治家達と上手に渡り合いながら日本のインターネットを創ってきたのでしょう。

その教えを受け継いだ学生さん達は、これからどんな未来を創っていくのか。ちょっと羨ましいです。(あっ!今、私の背中にKMDの入学案内パンフレットを貼らんとしている先生の気配がっ!……ちなみに学費は年間200万円だそうです)

先生ありがとうございました。(第二部もよろしくおねがいします)

というわけでVol.8報告は、次回「後半」に続きます。
近日中に「後半」記事を追加した後、高坂さんにバトンタッチ!

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