vol.11報告―容赦無きドラに大喜利に、どうなる三年目のTechLION!

TechLIONvol.11「1月生まれのエンジニアたち」こんばんは、USP MAGAZINEまつうらです。年も明けてだいぶ経ちましたが、今年も宜しくお願い致します。

TechLIONとしての新春初試合は去る1月16日、東京・六本木にてvol.11「1月生まれのエンジニアたち」と題して開催してまいりました。今日はその模様をレポート致します。

■三年目の新たな試み

立ち上げた2011年、そして2012年を経て三年目に突入。これまでも少しずつ新たな試みをしてきましたが、今年一発目の新たな試みは「メインゲストを置かないで、立場関係無く、終始みんなで語り合ってみよう」というものでした。

皆でLTやって容赦なくドラを打ち、皆で大喜利やってツッコミ合戦したり、そして皆で腹を割った話をしたり……。ゲスト集めにも趣向を凝らしました。1月開催だし、馮Pも1月生まれだし、1月生まれの人を集めてみようかと。ただ、すごく旬な人がいても「この人一月生まれじゃないからダメ」みたいなことがあって、それなりに苦労もしたようですが(笑)

参加した皆様、今回の試みはいかがだったでしょうか。では、vol.11のレポートをお送りします。録画もあります(第一部第二部第三部)ので、お仕事の合間に是非こちらもご覧ください。(撮影協力のびぎねっと様にはこの場を借りて感謝)

■第一部 私と○○と2012年(自己紹介)

今回のTechLIONは三部構成で開催しました。第一部はライトニングトークExのコーナーで、実はこれ初期のTechLIONでは毎回やっていたコーナーなのです。ゲストそれぞれに5分間一本勝負のLTをしてもらい、その後司会とトークをするというもの。ただし、今回は「私と○○と2012年」というテーマでという課題があり、本日対戦するゲストの自己紹介も兼ねる仕掛けとなっております。

「ドラ娘」太田智美さん(写真左)
「ドラ娘」太田智美さん(左)
本日の「ドラ」(デビュー戦)
本日の「ドラ」

LTといえば、必要不可欠な小道具と役としてドラとドラ娘というのがありますが、今回ドラはこれまたびぎねっとさんご提供(ちなみにこのドラはデビュー戦だそうです)。そしてドラ娘は、ITmedia記者の太田智美さんにしていただきました。しかもその大役に見合う衣装で臨んでいただきましてありがとうございます。

#1 宮原徹さん―「全俺に聞いた2012年10大ニュース」

宮原徹さんお一人目は宮原徹びぎねっとさん。今回は撮影やドラ等でも大変お世話になりましたが、実は記念すべきTechLION vol.1にも出演していただきお世話になっていました。実はTechLION史上二度目のご出演なのです。

今日のLTのテーマは「全俺に聞いた2012年10大ニュース」ということで、去年の出来事の振り返り。強引に割愛してご紹介すると……、(1)1/9誕生日…年間ニュースで大抵最初に来る、(2)主食抜きダイエット実施、8kg以上痩せた、(3)赤ワインにハマり、ワインセラー設置、(4)オフィス移転、(5)初めての配当出し…やってみたかった、といった感じでした。

あと、毎朝30分「環境整備タイム」と称して、自分達で事務所の掃除や整理整頓、環境改善の雑談、等を行う時間を設けたということで、これで大掃除が不要になり業務効率改善に役立ったそうです。

#2 廣川類さん―「私とPHPと2012年~PHP三大ニュース~」

廣川類さん二人目は廣川類日本PHPユーザ会さん。日本PHPユーザ会でもう15年くらい活動なさっているということで、法林GM曰く「LLイベントでもお世話になっている」そうです。(弊誌でも取材させていただきました)

LTは「私とPHPと2012年 ~2012年PHP三大ニュース~」ですが、まずは軽く自己紹介。PHPは職業でやっているのではなくホビーユーザーということなのですが、PHP国際化(mbstring)や、マニュアル類の翻訳、マンモス本(PHPのバイブル)の執筆など、実にパワフルに活動されています。

と、自己紹介していたらまさかの時間切れ。PHPカンファレンス2012WordCampと共同開催したというところで無情にもドラが響きました……。

#3 稲葉香理さん―「私とPostgreSQLと2012年」

稲葉香理さん三人目は本日ゲストの紅一点、稲葉香理SRA OSSさん。主にPostgreSQL関連のコミュニティ活動をされています。

題目は「私とPostgreSQLと2012年」。仕事を始めてから13年程だそうですが、最初は純粋なエンジニアからスタートし、今はマーケティングのお仕事をされているそうです。

昨年は突然山登りに目覚めたそうで、夏くらいから計数十回も登山をしたといいます。仕事関係では監視ソフトZabbixのカンファレンス等で海外に計一か月以上も赴いたり、二年間通っていたビジネススクールを無事卒業したり、ととてもアクティブに活動なさっています。

#4 川崎有亮さん―「私とべいでえたひんと2012」

川崎有亮さん4人目は川崎有亮クルキューズさん。「KagoDBって知ってるかい(後述)」などなかなかいい味出してました。

さて、LTのお題は当初与えられた課題の○○に「べいでえたひん」をハメ込んで「私とべいでえたひんと2012」(渡米で得たヒント)、というわけでここからしてユニークですね。

昨年までリクルートの事業開発部門で仕事されていた流れで、米国でオフィス立ち上げをしてきたそうです。当初は色々とわからない事だらけだったものの、頑張ればどうにかなるのかな?という印象を掴んできたといいます。

そして、シリコンバレーではDemo Dayという対投資家発表会やハッカソンが毎週のようにしかも大規模にも行われており、日本には無いスケールの大きさとエコシステムを肌で感じてきたそうです。「エンジニアなら一度は行ってみるべきだ」と。

#5 米林正明さん―「僕とくもと2012年」

米林正明さん最後は米林正明Abby(エビイ)さん。馮Pによれば、前回の片山さんに相当するイジられ役のようですが、確かにそんな一面が……。

LTは「僕とくもと2012年」ということで、クラウドを匂わせる題目でした。去年は、その片山さんに雲隠れされたとか、初夢は筋斗雲に乗る夢だったとか、いう事でしたが、マジメな話をすると去年は殆どの案件をGoogle AppsAWSといったクラウドでこなしたそうです。去年ともなるとお客さんもクラウドについてはよく知っていて、「じゃあそれでお願いします」とすんなり提案が通るようになっていたのだとか。

最後に、今回出演の機会を与えてくれてTechLION Love!、馮さんLove!、法林さんLove! そして「Yes!法林Love!」とキメたかったところですが、スライドが(リトライしても)ちゃんと出ずに、きっちりスベってくださいました。ご馳走様です!!

■第二部 ジャングルバス.com 新春大喜利

新春大喜利風景
こんな感じで大喜利しました

さて二部は、これも初の試みで大喜利です。ゲストを一同に集めてホワイトボードとサインペンを渡し、司会が出すお題に答えてもらうというセッションです。名回答、珍回答が出てくるかなーと実は個人的に今回一番楽しみにしておりました。

それで、期待通りに面白かったので、受け答えを全部紹介したいところですが、スペースの都合もありますので涙を飲んで抜粋しました。こんな感じのやり取りがありました……

第一問「2013年、この技術/サービスが来る!(理由とともに)」

KagoDB知ってる人は?
KagoDB。あれ知りませんか?

第一問のこのお題は今年はきっと「これが来るに違いない!」という予想を発表してくださいというものだったんですが、のっけからやられました。

宮原さんは「キャッシュ技術」、廣川さんは「オープンソースハードウェア(Raspberry Piなど)」などと各自マジメに答える中、川崎さんの答え→『KagoDB』。「はい、これ知ってる人?」……、誰も居ません。しょうがないので川崎さん自ら説明したところによると、「これは今僕書いててリリースしてないんですけども」って、そんなのわかるかー!! 真面目な話をすると、JavaScriptで作っている軽量NoSQL実装のようです。MongoDBのMongoはバカデカいという意味から来てますが、カゴくらいのデータを扱えるようにという……。

それだけじゃあんまりなので、他の回答も紹介すると、あと稲葉さんが「クラウド」と答えていました。周囲を見渡してみても使い始めたというお客さんが増えているし、自由にサービスを設計できるのが特長のオープンソースソフトウェアには一サーバー年間保守でいくらというこれまでのビジネスモデルが合わなくなってきていると。実際、PostgreSQL等も台数を増やして分散化させる技術が登場してきているといいます。

第二問「自分をプログラミング言語に例えて言うなら何?」

これもいろいろ面白かったんですが、廣川さんの回答を紹介します。

PHPユーザ会の方なので当然PHPと答えるかと思いきや、いや確かにそうなのですが、答えは「PHP1.0」。

私はシンプルで可愛くて小さいのが好き。最新のPHP5.4だと何MBもあって巨大になっちゃったんですけど1.0って数十KB程度なので半日あればソースコード読めます。こういうところでちょっと楽しみながら勉強できるが昔のPHPのいいところなんです。

なるほど、そのお気持ちわかります。それにしてもPHPも1.0は随分と小っちゃかったんですね。ちなみに、その1.0はPHP museumに行くと今でも入手できるそうです。

第三問「関わったプロジェクトがまさかの大炎上!さあ、どうする?」

これまたクスっとくる回答続出だったのですが、個人的には宮原さんのが特に面白かったです。答えは「(とりあえず)走る」

結局何とかしなきゃならないという時に、最後に頼れるのは肉体である。だから自席からとりあえずマシンルームに走って自分で何とかするのだそうです。そして実はこれが、オープンソースに「走る」きっかけだったと。

一時期は「これぁもうWi○NTダメだ、と。Linux版のOracle出してくれ」と、悲鳴を上げていたそうですが、そんな話を人にすると「実は俺も走った」なんて答えが返ってきたのだとか。「(あの頃は元気で)まぁ若かったですね(笑)」と、宮原さん。

■第三部 大放談!あのひとに聞いてみたい~質問

締めくくりの第三部は、第二部より若干マジメ路線に戻してのトークセッション。事前にゲストから相手に質問したい内容を募って互いに尋ねあうという内容です。ここも涙を飲んで巻きで紹介します。(是非とも録画を見よう!→第三部

2012年、OSS界で活躍した人に「いいね!」を送るとしたら誰?

これは廣川さんから出された質問なのですが、他の人が考えている間にナゼか廣川さん自身にも振られました。

廣川さん:(まさか自分に振られるとは!)続けることが素晴らしいと思うので、私はOSCを続けていらっしゃる宮原さんを尊敬します。短期間ならまだしも、5年10年続けられるのは冷静に考えるとスゴイな、と。

すると宮原さんがそれに対して、

宮原さん: 今は結構皆に任せきりなんです。そうでないと回らないくらいの規模に成長してきていて、僕個人の手を離れて事務局という組織戦へ移ってきてます。そして君達はそれぞれこういう立場なんだから、君はこう、君はこう立回らなきゃならないんだよ、みたいなこと言ってます。

なるほど。OSCは個人戦から組織戦へと上手に移行していったところが大きいんですね。そして他には、川崎さんからこんな答えが……(ちなみに米林さんも同様でした)

川崎さん:Qiita(キータ)。2011年に始まったソフトウェアの開発や運用に関するTipsの共有サービスですね。今までは解説とかしたければブログを開かなきゃいけなかったけど、最近はこういったサービスのおかげで開発者にとっての敷居が下がっているのかなと感じます。だからQiitaを公開した人達だけじゃなく、参加している人達みんなにですね。

私も登録してますし、困りごとを検索するとよくここがヒットしてお世話になってます。英語圏でのStack Overflowも同様に、今では多くのエンジニア達に重宝される存在になってますよね。

皆さんのお奨めの勉強方法は、どのようなものがありますか?

これは米林さんからの質問。勉強法で米林さん自身が間違った勉強法で後悔していての質問なのですが最後に発表するそうです。さて、それに対して宮原さんはこう回答しました。

宮原さん:セミナーの講師とかを企画して自分を追い込みますね。教えるという立場になると習得率が大体8割くらいになるそうです。……って、こんなこと言ってるから「2週間後にセミナーやってください」とか無茶頼まれるんですけどね。(笑) でも、そうなったらもう必死で勉強するわけですよ、評判ガタ落ちにならないように。自分ひとりで完結させるとどうしても甘えがでちゃうから、アウトプットを出して他人に評価されるように仕組むんです。

自分で完結させると甘えが出ちゃうというのは、耳が痛いですね。ちゃんと結果を出さないと覚えたつもりで終わりがちですよね。同様の事は稲葉さんも回答されていて、例えばリサーチした後は、社内で15分くらいのショートプレゼンを行うようにしているといいます。

2013年、エンジニアに向けたメッセージ

米林さんの間違った勉強法発表が気になるところですが、それはここでのメッセージにもなっていたので、まとめて皆さんからのメッセージを一気に発表します。

稲葉さん:「石の上にも……」ですね。「これやってて意味あるのか?」って思っちゃうことありますけど、ある程度続けていると見えてくるものってあるなって思います。最初の頃って周りが見えてないんですよね。「3年くらいやってみてようやく見えてくる」と、自分がエンジニアやっていた頃も、マーケティングを始めてみても感じます。

川崎さん:(図で説明)ローカル、クラウド、グローバル。どうやって新たなテーマを見つけていくかと言う時に、これらどれかの分野に注目してみたり、重なり合う分野に注目してみたり、あるいは全く違う分野から見つけてみたり。いろいろあると思います。去年私はグローバルの分野を突き詰めていた、と。

写経禁止
「写経禁止!」

米林さん:「写経禁止」。以前僕はノートに書くことが正しい勉強法だと信じていたのでC言語の本に書いてあるプログラムをひたすらノートに写してました。先輩からは「おーすごいじゃん!超やってるね」と言われて調子に乗っちゃったものの、いざパソコンに向かったら結局int mainしか書けなかったんです。だからそういう間違った勉強法をせず、エンジニアの皆さんにはよく考えて無駄なことをしてほしくないですね。

宮原さん:自戒の念も込めて「あえて自分でやれ」と。ネットには結果としての知識の集合「集合知」があってすごいなーとは思うんですけど、それが当たり前になってくるとやがてうまくいかなくなると思うんです。サッカーだってちゃんと個々が戦術の意味を理解してこそチームとしても強いわけで。「ちょっとネットで調べてわかる程度だったら、それ誰でもできるよ」と。それが再評価される、揺り戻しが来てると思います。

Have fun!
「Have fun!」やっぱり楽しまなくっちゃ!

廣川さん:「Have fun!」。20年弱くらいエンジニアやって、一番重要なスキルがこれだと思うんですよね。失敗するとそこでウジウジしちゃいがちですけど、そんな時は「何てこんなに奥深いんだ。神は俺にまだハードルを残してくれてたんだな」みたいにしてその奥深さを楽しめることがエンジニアの才能に繋がるんだと思います。

皆さんそれぞれに、深くて素晴らしいですね。この発表は最後の人が一番責任重大ですからねと脅かされていた廣川さんのメッセージでは感動の拍手が巻き起こっていました。面白オカシいシーン満載だけど、実は深い話が聞けるTechLIONも、こんな感じで今年も順調なスタートがきれました。皆様ありがとうございました。スタッフ一同、今年も引き続きよろしくお願い致します。(下の写真は、毎回恒例の出場者記念撮影。写真にマウスを重ねると……)

■気になる次回(vol.12)は?

小飼弾登場!さて、次のTechLION(vol.12)ですが、今回のエンディング時にアノ人の登場が滑り込みで決まりました。

法林GM自ら、今回たまたま用意していたホワイトボードにて発表!その人とは…小飼弾です。Perlの雄でブロガーで、SoftwareDesign誌でもブイブイ言わせているあの人ですね。

他にも、ショウジヨシオリ&ショウジユウコカップル(「ドラ娘は俺の嫁」カップル)だったり、松崎吉伸&奥谷泉カップル(世界のインターネットで活躍するITカップル)だったり、とアルファブロガーに新婚さんいらっしゃい的なカップルズと、これまたどーなることやら想像もつきません。

お申し込みはこちらから、是非!!!!!

TechLIONvol.6報告(2/2)―ITサファリパーク!英語の重要性と、ものづくりは誰のためかを学んだ

USP MAGAZINEまつうらです。昨日公開した前編に引き続きまして、TechLION vol.6(2012.04.12@六本木SuperDeluxe)のレポート後編をお送りいたします。

Intermission―休憩時間はお土産ゲットのチャンス

まつもとさんをお招きした第1部が終わり、しばし休憩。TechLIONの休憩時間はバーカウンターで酒の補給しつつ、物販スペースも訪れましょう。というか、訪れないでおく理由がない!(後藤さん風) USP出版発行の各種書籍・雑誌がいつも買えるのですから。過去のTechLIONの熱い記録が蘇るUSP MAGAZINEバックナンバーあり、それに最近出た新刊で、gccのほとんどのオプションを知っている(ホント?)というC言語のスピード狂が書いた「Cプログラム高速化研究班」あり、技術者たるもの読まない手はありません。

CloudCoreステッカー(角さんご提供)
CloudCoreステッカー
USP出版も絶賛物販中
USP出版も絶賛物販中

そして何より、さりげなくプレゼントが置いてあるから見逃せないのです。前編で紹介した忍者さんの置き土産、それから今回第2部で出演していただく角さんから今注目のクラウドサービスCloudCore(詳細はこの後の本文を見よ!)のステッカーを頂いていたのです。ノートPCの天板に貼ってパワーアップだ!

というわけで、次回のTechLIONからは物販スペースもよろしくおねがいします!(また写真にUSP友の会会長上田氏が映り込んでる……- -;) さぁ、そろそろ第2部の始まりですよ。

第2部―ITサファリパーク

後半の第2部は、IT界の愉快な技術者達を、ホントにホントにホントにホントに……、サファリパークに来たかのように観覧できるITサファリパーク。今回も濃い話が炸裂してました。メイン司会は法林さんから馮さんに交代。第1部で言葉数が少なかったとツッコミを受けてしまったので、第2部ではよろしく頼みますよ!

#1 後藤大地さん―言葉は通じず、電源タップは爆発し…

一人目は、USP MAGAZINE vol.4でも漢らしい姿を披露していただいた有限会社オングス後藤大地さん。題名は「世界にはばたけ!世界の*BSDカンファレンス四方山“裏”話」です。

後藤さん、FreeBSDコミッターをこなしつつSoftwareDesignマイナビニュースなど様々なメディアに記事も書いていらっしゃいます。特にFreeBSD Daily Topicsなど、閲覧者数が後藤さんの仕事に重要な意味を持つので「今すぐに」フィード登録してください(本人談)。

2部ゲスト#1 後藤さんさてメインのお話は、海外のカンファレンス参加をきっかけに英会話を身に付けていったエピソード。きっかけはコーヒー頼んだらコーラが出てきたことだったそうです。そこで「日本が誇る最強の電子辞書CASIO EX-word DATAPLUS 2 XD-GT9300を購入!コイツは単語を喋るし、これで勝てるっ!と思ったのにやっぱり通じない、ホワイ(‘A`)?カンファレンスの友人にそれがネイティブ発音でない現実を知らされ、ショックを受けたそうです。

それでどうしたか?そこで「日本が誇る最強の電子辞書CASIO EX-word DATAPLUS 4 XD-GP9700を購入したのです(←やっぱそれかい!!!)。 でもコイツはネイティブ発音な後継機。次第に英会話の場で空気が読めるようになりそれなりに効果ありでした。

しかし、問題はそれで終わりではなかったのです。オランダで開催のEuroBSDconに行った時、街には英語が一切ない!なんとかホテルに着いて、PCを立ち上げようとした瞬間……電源タップが爆発!!!(;゚д゚) ←電源電圧が違ったんですね。

後藤さん執筆の本をど~ん!(私も買います)
後藤さんの本ど~ん!

それでもとにかく、エンジニアには英語が不可欠、勉強しましょう。それにはまず危機感を高めることが重要です。何も考えず海外のカンファレンスに申し込んで一人で行ってみるのがオススメです。危機感が得られて数年で英語が身に付くようになるでしょう。

そんなわけで「エンジニアっていくつになっても勉強しないとダメだよね」ということで、26日に発売される僕らの本「実践 FreeBSD サーバ構築・運用ガイド」をよろしくお願いします、といって発表終わり。「発表こんな感じでよかったんでしょうか?」 と発表後にご本人から聞かれましたが、今回のゲストの中で一番観客を笑わせておいて何おっしゃってるんですか!!

 #2 角俊和さん―自分が使うものとして作ったCloudCore

二人目は、先程のステッカーを持って来てくださったKDDIウェブコミュニケーションズ(旧CPI)角俊和さん。題して「クラウドインフラ事業の作り方。」ということで、立ち上げられたクラウドサービスCloudCoreの話を通して得た知見をお話しいただきました。

2部ゲスト#2 角さん角さんがお勤めの会社KDDIウェブコミュニケーションズはレンタルサーバーやホスティングの会社。角さんはそちらで、CloudCoreを始めとするホスティング事業を統括なさっているそうえす。ちなみに以前はPerlバリバリなプログラマーをしていたそうです。

さて、世の中を見回すとAmazon AWSだったり、さくらのクラウドだったり……と、既に大手の非の打ちどころがないサービスがあって、出遅れてしまっていたそうです。「じゃあウチはどういうサービスを打ち出せば?」

よくある3C(環境分析)だ4P(商品・販売戦略)だというやり方に基づき、アレしてみたらいいんじゃない?などと企画を練ってみます。しかし、企画段階ではよさそうに思えても、はたから見ると巨大なもの・ヘンなものになりがち。そういう「何を作るか」という考え方の市場分析から発想を転換し、「本当にそれを使って嬉しい人がいるのか?」という考えに基づいてサービスを企画してみました。これって言われてみれば当たり前なことですよね、と角さん。

そうして辿り着いたのが、「使う人」=「作る人」=「ITエンジニア」なサービスCloudCoreだったのです。ターゲットは自分達(目の前にいる)なので本当にユーザーの心に響く企画を立て易かったというわけです。CloudCoreに「開発者支援制度」という、開発コミュニティが催す勉強会向けに会議室を貸したりする制度を作ったのもそういう背景があったからです。

角さんの会社でやった4月バカ企画
MS台湾激似の4/1企画

蓋を開けてみればこのサービスは会社創業以来の大ヒット。今年のエイプリルフールは「使う人」=「作る人」=「ITエンジニア(俺たち)」=「(ならばきっと)オタク!」という綿密な調査に基づかない発想から、MS台湾のとあるページをパクって(でも許可は貰って)右写真のページ←(司会者)なんだこりゃ! を作ってしまい、非常にウケたりもしたそうです。(パクっているのはトップページだけではないのがスゴい……。感動した!)

しかもサービス立ち上げまでに要した日数は僅か60日。「巧遅より拙速」を合言葉に、サーバーエンジニアとプログラマーの座席を混ぜて交流を促進させたり、システムをシンプルな設計にしたり、などの工夫が功を奏したそうです。

やっぱり、使う人の姿を思い浮かべながら作られたモノというのは強いんですね。

#3 閑歳孝子さん―心掛けるは「お母さんにも使って貰えるサービス」

そして本日のラスト。三人目は株式会社ユーザーローカル閑歳孝子さんです。題名は「非エンジニアの私が、いかにしてサービスを作るようになったのか」です。聞き覚えのあるサービスを多数リリースされていますが、その秘訣はどこにあるのでしょうか。

2部ゲスト#3 閑歳さんまずはそんな閑歳さんの自己紹介から。高校時代。パソコン通信に目覚めたそうです。2400bpsのモデムを唸らせながら草の根ネットに始まってNIFTY-Serve。でも当時、恋の話などで夢中な学校の友達に、恥ずかしくてそんな話題はとても振れなかったそうです。あと、Visual Basicでプログラミングもしていたそうですが、挫折。なぜなら、わからない事が生じたところでやはり友達にそんな相談をできず、結局誰にも答えを聞けなかったからというのです。

閑歳さんが手掛けてきたサービス(こんなに!?)
手掛けたサービス(こんなに!?)

その後大学は情報系の学部に進み、学内SNSの立ち上げ、起業などを経験した後、就職。記者、Webディレクターを経て、現在の会社へ。そこで数々のWebサービスをリリースしてきたわけですが、その数々が画面に映し出され(右写真)、多さにビックリしてしまいました。聞き覚えのあるサービスがたくさん……。そのうちの一つソーシャルインサイトで、この日のハッシュタグ #techlion に関するつぶやきの日本国内分布を表示してみると…………、島根県だけ真っ赤っ赤。これには会場も爆笑の渦でした。さすがメインゲストまつもとさん、松江市名誉市民な理由もよくわかります。

それにしてもどうして数年でこんなにいくつも有名なサービスをリリースできたのでしょう。それにはまず問題設定だといいます。ここが一番難しいそうですが、考える上で「適切な大きさの問題さえ生まれれば。」がとても参考になっているそうです。先程の開発サービス一覧にも出てきたソーシャル家計簿Zaimの場合、TechCrunch.comを一年分読破するなどして家計簿がちょうどいい問題設定であることを導き出しました。次に、これから作っていこうとしているものへの心掛けとして3つ基準を設けます。(1)日常的に使うもの、(2)普通の人が使うもの、(3)少なくとも自分が使うもの。さらに閑歳さんの場合、これに加え「お母さんにも使って貰えるサービス」という基準も取り入れているそうです。

そうして開発を始めたら後も、「使って感動するサービス」を常に心掛けます。「おもてなしの心」を持ち、一日に30~50通寄せられた要望・お問い合わせにももれなく対応してきたそうです。そうして、自分の知らない遠くの人の人生が変わることを願う……。

なるほど、やはりそうやって使う人を思い描いてサービスを作っていらっしゃるんですね。ゲスト皆様の話はどれも興味深かったです。ありがとうございました。

本編終了―超貴重な抽選会と次回予告

プレゼント抽選会でまともとさんが自著にサイン中
Rubyの父がRuby本にサイン

というわけで、TechLION本編は終了。最後は恒例のプレゼント抽選会です。今回も協賛の方々からこんなにいろいろプレゼント(+あとこちらも)をいただいたのですが、Ruby本が当たるとRubyの父ことまつもとさんにサインが貰えるというそれはそれは貴重な抽選会だったのです。

運良く当選されたお客様~、いっぱい自慢しつつ大切になさってくださいね。(関係者の私なんてどうあがいても貰えないのですよ~)

次回vol.7は5・14、名古屋で会おう!

次回は5.14、名古屋GeekBarだ!
次回は5.14、名古屋!

さてさて3時間にわたって開催されたTechLION vol.6もこれにておしまい。次回は、再び東京の地を飛び出し、今度は名古屋へ出没します。しかも開催は5月。前回開催から4か月待たされたと思ったらもう翌月なのです。早っ!会場は名古屋Geek Barです。

次回のゲストもまた、普通の顔して実は濃ゆ~い方ばかり?一体全体、どんな突拍子も無い展開が待っているのか!? 名古屋近郊にお住まいの方はもちろん、東京を含むその他地域の方も、是非足を延ばしていただけると嬉しく思います。

ご参加ありがとうございました。

出演者の皆さん、ありがとうございましたゲストの方々をはじめ、TechLION vol.6に参加してくださった皆様、ありがとうございました。このように多くの方々にご支持を頂けていることに、心より感謝を申し上げます。

今日この場を共有し、新たな知見を得た皆様が、それぞれのシーンでより一層ご活躍できますことをお祈りいたします。