TechLION取材班のまつうらです。先週に引き続き、6/26に開催しましたTechLION vol.17のレポートです。
前回は、コミュニティやイベントの歴史、イベント主催者に降りかかる検討課題などを、歩くITイベント大辞典(by 法林GM)こと小山さんに話していただいた第一部をレポートしましたが、第二部はいよいよ4大言語イベント実行委員長が勢揃い。法林GMを交えてトークバトルを繰り広げるわけですが、その前に……。各イベントの看板を背負った皆さんがイベント宣伝LTを繰り広げましたので、今回はその模様(注1)をレポート。各イベントの趣旨をおさらいしながら、この夏・秋の開催概要を予習しましょう。
(注1)このセッションの録画を公開しています。是非こちらもご覧ください。(撮影協力:日本仮想化技術様)
■第二部前半 4大言語イベント主催者LTセッション
いくら貴重なイベントの宣伝とはいえLT形式ですから、時間が来たら容赦なくドラを鳴らさねばなりません。ということでドラ娘もスタンバイ。今回はTechLIONスタッフが務めました。では、よろしくお願いします。
#1 YAPC::Asia Tokyo 2014実行委員長 和田裕介さん
最初はPerlイベントから。YAPC::Asia Tokyo 2014実行委員長を務める、ゆーすけべーこと和田裕介さんです。(LTのスライド)
本名よりニックネームで知っているという方も多いかもしれませんね。普段はあの「ボケて」というサービスのバックエンドを担当していたり、在宅でWebエンジニアをやっていたり、そしてPerlコミュニティJpan Perl Associationの理事をしているそうです。
YAPCの楽しみ方は一つじゃない
YAPC::Asiaというのは世界中で開かれているPerlカンファレンスの一つ。昨年は1131人もの来場があったという大規模イベントです。
YAPCの“P”はPerlを意味してはいるものの、YAPC::Asiaは必ずしもPerlにこだわるイベントではなくて、今年のトークの中にはGo言語やJava、そして小飼さんがSwiftについて話す予定になっていたりするそうです。というのもPerlにはThere Is More Than One Way To Do It!(やり方は一つじゃない)というモットーがあるように、YAPCにはそこから派生した
There Is More Than One Way To Enjoy It!(楽しみ方は一つじゃない)
という考え方があって、そもそも技術者にとってのお祭りの意味合いが強いそうです。
お祭りということなので、ビールも自由に飲んでよく(飲食禁止のホールは除く)、参加者は皆勝手に飲むそうです。また、発表以外にも初心者向けにワークショップをやってみたり、今年はさらに登壇者と観客が盛り上がれるゲリライベントを予定しているらしですよ。(←予定してたらゲリラ的じゃない!)
今年のYAPC::Asia Tokyoは、8/28(木)~8/30(土)、慶應義塾日吉キャンパスで開催。チケット、スポンサー、登壇者は只今募集中とのことなので、是非参加しましょう。(なんと今年はLarry Wallもやってきますよ!)
#2 PHPカンファレンス2014実行委員長 前島有貴さん
次はPHPイベント。PHPカンファレンス2014で実行委員長を務めるゆちみりこと前島有貴さんです。当日のLTで用いたスライドも公開されているので是非そちらもご覧ください。
前島さんはPHP歴7年。まつもとパパの根城である島根出身ですが、Rubyは得意じゃないそうです。PHPコミュニティーのスタッフとしては5年。ドラ娘担当でしたが、そろそろ引退かな……と思っていたらいつの間にか委員長になっていてビックリしたとか。
委員長が燃え尽きてしまうくらい毎年全力開催!
PHPカンファレンス(PHPCon)は、2000年から続いている歴史の長いPHP言語イベント。今年で14回目だそうです。あれ? 毎年開催すると今年は15回目な気がしますが……、実はカンファレンスが終わるとスタッフが燃え尽き、次の年の準備が遅れてしまうのだとか。それはつまりスタッフが全力で取り組むってことですね! ちなみに、燃え尽きるので委員長は毎年変わるそうですよ。
PHPConの特徴の一つは、初回以来ずっと参加費無料なこと。費用の安い公共施設を活用し、ノベルティーにもお金をかけず、気軽に参加してもらえるようにしているそうです。また、毎回3つ以上のトラックを並列進行させて、気になるセッションが見つかりやすくもしていて、こういった配慮もあって、毎年1000人近い来場者が訪れるイベントになっています。
気になる今年の内容は、
「知りたい、が あなたを変えていく。」
とちょっと自己啓発的なテーマを掲げていますが詳細は未定だそうです。ただ、過去最大のセッション数(予定)!! 豪華海外ゲスト(予定)!! ということで、期待が高まります。これはやはり燃え尽き覚悟なんでしょうか!?
そんな今年のPHPカンファレンスは10/11(土)、大田区産業プラザPiOで開催されます。若い人を呼ぶ秘策を用意しているそうなので、特に若きエンジニアの皆さん、要チェックですよ!
#3 RubyKaigi 2014実行委員長 角谷信太郎さん
三番目はRubyイベント。現在のRubykaigi実行委員長を務める角谷信太郎さんです。個人事業主として活動する傍ら、日本Rubyの会の理事をされています。
「電車で行ける、海外のカンファレンス」を目指す
RubyKaigiは日本のRubyコミュニティのイベントです。しかしRubyKaigiといえば、TechLION vol.2にて、高橋征義さんがRubyKaigiを終わらせるという話をしていました。当時の話によれば、いつの間にか自分達の想像以上に規模が大きくなって限界を感じたということでしたが、「このままでは燃え尽きるどころか、焼け死んでしまう」という危機感があり、一回休んでから昨年「シーズン2」として再スタートしたそうです。
RubyKaigiシーズン2のコンセプトは、
「パスポートも時差も無し、電車で行ける海外カンファレンスっぽいもの」
だそうです。曜日は木金土と普通に平日にかぶらせたり、参加費も1万8000円くらいにしてきちんとしたカンファレンスが開催できるようにしたり。そして大きな特徴は、海外から訪れた登壇者(英語)に通訳を付けず、逆に日本語の登壇者には英語への通訳を付けるという点だそうです。海外カンファレンス的にしたいけど、まつもとさんが日本の方とあって国内の方が話題が豊富なこともあり、また海外の人に対しても「日本のカンファレンスはこんな雰囲気」ということを伝えたくて、日本でこういう形のカンファレンスを開くことにしたそうです。
ちなみに、このように世界を意識したカンファレンスなため、日程かぶり問題も国際的。他地域とかぶらないようにするのが大変だそうですよ。かぶるとまつもとさんの取り合いになりますし……
今年のRubyKaigi 2014は9/18(木)~9/20(土)、江戸川区のタワーホール船堀で開催されます。お祭り的なイベントとはまた違う、国際的な「会議」の雰囲気が、海外渡航費用無しで味わえるのはとても貴重ですね。(スポンサーも募集中)
#4 PyCon JP 2014 Chair(座長) 鈴木たかのりさん
最後はPythonイベントから。PyCon JP 2014のChairを務める鈴木たかのりさんです。当日のLTスライドも公開されていますので是非ご覧ください。
Rediscover with Python (パイソンで再発見)
PyConというのはその名のとおりPythonのカンファレンスですが、世界中で開催されているそうです。スライドで紹介されていた開催地図にあるピンの数を数えると、30本も立ってますね。日本におけるPyConの歴史は2010年、シンガポールのPyConに参加したメンバー4人が食事をしながら「PyConやりたいねー、日本でも」という話になったことがきっかけだったそうで、2011年から毎年PyCon JPが開催されるようになりました。
3年目の今年のPyCon JPは、
「Rediscover with Python(Pythonで再発見)」
がテーマ。Pythonがきっかけで再発見したこと、Python自身の再発見などの講演を広く募っているそうです(もちろんその他も)。キーノート(基調講演)には、有名なrequestsモジュール原作者のKennethさんと、「コーディングを支える技術」の著者西尾さんが登壇予定。
カンファレンスがメインではあるものの、初日には入門者向けのチュートリアルが設定されていますし、最終日にはDevelopment Sprintと題したハッカソン的なイベント(無料)も用意されているそうです。
PyCon JP 2014は、9/12(金)~9/15(月・祝)、東京台場の東京国際交流館プラザ平成で開催予定。明日(この記事の公開翌日の7/10)までに申し込むと7,500円で参加できるそうですので(以降は10,000円)、興味はあるけどPythonってまだよくわからないという人も安心。気軽に参加しましょう。(演題もスポンサーも募集中)
次回はいよいよ4大イベント実行委員長トークバトル
イベントの予習はできましたか? 幸いにして、今年はどれも日程かぶりは(LLイベントも含めて)起こりませんでしたので、今年の後半は忙しくなりますね!
さて、次回はいよいよ4大言語イベント実行委員長にLLイベントの法林GMも混じえてのトークバトル。舞台裏の話や興味深いノウハウの話が、いろいろと飛び交うことでしょう。
次回もお楽しみに。