【新しさは歴史の中に】‐TechLIONvol.26報告‐

こんにちは、レポート担当の田中です!

さて、6月28日(火)にTechLION vol.26が開催されました。

今回は「テクノロジー温故知新」がテーマとなっただけあって、トレンドも少し交えながらも日本のIT界に関する歴史に重点が置かれた会になりました。

心なしか、出演された方々、そして来場された方々の平均年齢も少し高めの会場の様子。

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会場の様子(撮影:ともちゃ)

 

それでは早速、当日の模様をお届けします。

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【jcode.plの作者があの時の“日本の”インターネット技術を振り返る】歌代和正

最初の登壇者は、JPCERT/CCの代表理事を務められていて、ウィキペディアではなんと『翻訳家』として紹介されている歌代和正さん。最近は、トライアスロンやウインドサーフィンなどアクティブに活動されているご様子。

新卒で入られたSRA時代から、NFSやjcode.pl開発、TechLION vol.10にお越し頂いた村井純先生のお名前も挙がった「WIDEプロジェクト」やIIJでのインターネット関連の活動など様々な経歴をお持ちで、今回のセッションも日本のインターネット黎明期を担ってこられた方にしか話せない、興味深いお話しがどんどん飛び出しました。

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歌代和正さん(撮影:ともちゃ)

 

その中でも印象的だったのが、 1994年以降のIIJ所属時代にファイアウォールサービスを売り出す際の 「言っちゃったから、作らなきゃだめだね」という言葉。

当時、ユーザーに対して「あくまでインターネットに接続するのは自己責任」とは言っても難しい状況があったそう。(今でもなかなか難しいことですよね…!)インターネット接続を商品として提供していくにあたって、それ以上の付加価値をつけたり、サービスを提供していく側の責任をどうするか、ということからファイアウォールサービスに繋がるという経緯があったそうです。

 

「できない」が前提にある状況で、いかに「できる」ように変えていくか

というお考えのもと、jcode.plの開発など目の前にある不自由な状況を便利な方向に変えてこられたのですね。

また、このような知見をお持ちであることが、

「jcode.plは日本語に関するものだが、日本人しか使えないようにするのではなく、どんな環境でも動くようにすることで利用者に広がりが生まれ、次の何かにつながるかもしれない。」

という将来への考えに繋がっているのでしょう。

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【NetBSD, on the Road】蛯原純

続いての登場は「えびじゅん」こと蛯原純さん。

NetBSD関連の仕事を長く続けられていて、オープンソースカンファレンスについても最多出場グループ記録をお持ちの蛯原さんに「NetBSD, on the Road」というテーマで、ハードウェアとOSにまつわる濃い話を語っていただきました。

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蛯原純さん(撮影:ともちゃ)

NetBSDでのサポートの面白さを、CPUやワークステーションを作った人の意図「なぜこのように設計したのか」を解き明かしていくところにあると仰います。

集めたハードウェアをNetBSDでサポートする過程において、動かないものをUnixの枠組みの中で試行錯誤し、ハードウェア情報を採集して動かしていくことが必要ですが、それができるとパズルが解けたような感覚が味わえるとのこと。

また、オープンソースカンファレンスで見つけたものをNetBSDのパッケージソースに追加すれば世界中に紹介、再配分することができるという新たな気づきがあったとのことです。一つあれば今まで作られた全てのソフト/ハードウェアを好きなように動かせるようなOSの作成、という目標も夢ではないように感じられます。

テクノロジーという共通言語を用いて世界中のプログラマーが未来を作っていくその内側を覗けたように感じる、情熱に溢れた内容でした。

 

蛯原さんのスライドシェアはこちらから!

http://www.slideshare.net/junebihara18/netbsd-on-the-road-2016

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【いる? いらない?──tech系メディアの未来を考える】 風穴江

最後に登壇したのはテックジャーナリストで、コラムニストの風穴江さん。

月刊アスキー編集部、フリーランスを経て現在はtech@サイボウズ式編集部でテクメディアを扱われている風穴さんにテクノロジーとメディアの関係についてこれまで辿ってきた歴史も踏まえて語って頂きました。

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風穴江さん(撮影:ともちゃ)

情報への読者の要望に対し、テクメディアは雑誌やメールマガジン、ブログ、SNSとウェブの進化に伴い多様な媒体を用いて応えてきました。他のメディアとの相違点は作り手と読者とのつながり方、コミュニケーションのとりかたにあるのだといいます。新聞を始めとした各種メディアは権力と市民の間にある対立構造に対抗する手段として誕生した背景があり、現状もその構造は変わらず作り手側もどこか固さが残っているそう。

対してテクメディアは上記のような対立構造とは異なり、テクノロジーという“好きなモノ”で書き手、作り手と読み手が繋がっているコミュニティーの中から生み出される。「共感者を作り、一緒に考える」という構造にあるようです。

時代に合わせてメディアの形が変容してきたという歴史から見ると、セミナーや勉強会といったリアルで繋がる機会の普及や、電子書籍の躍進も現状に合った新しいメディアの形態であると考えられるでしょう。まだ見ぬ新しいメディアが登場した際にテクノロジーはどう関わっていくのか、考えていくとワクワクしますね。

 

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最後に白熱したパネルディスカッションが行われ、あっという間に時間が過ぎていきました。

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パネルディスカッション(撮影:ともちゃ)

 

ご来場された方々からは、下記の様な沢山のお声を頂戴することが出来ました。

 

「楽しい話、なつかしい話だけでなくて、今これから何を考えて何をしようかと前向きになれる、良い言葉を多く聞けて、自分にとって本当によい時間を過ごせました。」

「えびじゅん無双は誰も止められなかった。異質な昔話とこれからの話し、よかったです。人選がすばらしいです!」

「歴史を刻んできた方のお話しは懐かしく、また、今になって振り返ると意義を再認識できるところもありました。」

「古い情報は必要かどうかというテーマがとても興味深かったです。楽しかったです。」

 

中には「日本にこのイベントがあることを幸せに思っています。」という嬉しいお声もあり、スタッフとして非常に嬉しい限りです。TechLIONもまさに「作る」「書く」「読む」人が同じ地平にいる、テクメディアの一形態としてまだまだ進化を続けていきます!ありがとうございました!

p.s.今回は終了後に参加者全員で集合写真を撮るという初の試みも。皆さん良い笑顔ですヾ(=^▽^=)ノ

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参加者の集合写真(撮影:小山哲志さん)

 

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「世の中が変わるタイミングにおいて、どのように対応していくのか?」TechLION vol.25レポート

こんにちは、レポート担当の田中です。

さて、4月13日(水)に、TechLION vol.25が開催されました。  今回は25回目!5周年!通算ゲスト100名達成!ということで、多くの方にお集まりいただけて嬉しい限りです(´ω`*)

それでは早速、当日の模様をお届けします。

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■ブログもSNSもあまり書けない代表がコミュニティを10年運営できたわけ。10年運営して気づいたこと

まず登壇いただいたのは和田嘉弘さん。

「ブログもSNSもあまり書けない代表がコミュニティを10年運営できたわけ。10年運営して気づいたこと」との演題に即し、代表を務められているWebSig24/7に絡めて、個人と組織のありかたの実験的な場として、社会性があるコミュニティに関わることは、未来の個人と組織の関わり方の先取りであるとお話しされました。

将来的に自分が所属するコミュニティを自由に、そして複数所属することについても、個人が選択可能な社会になる。その変化課程の中で、家族といった「共同体」や、企業のような「機能体」といった既存の社会的コミュニティの質の変化が生じて、個人の裁量もより存在感を増していくと思うのですが、既存のモノや価値観が変わっていく最中に生きるという先例の無い難しさ、自分の中の評価軸を持つ重要性についても考えさせられました。

特に「個人で出来る範囲を本気でコミットする」と言われたことがとても印象的でした。コミュニティはこれまでのところ雇用関係や上下関係がなく、思い切ったことがやれる場であるが、よりよいコミュニティ体験をしていくためには、「自由な場であるからこそ責任をとる」というそのお考えに深く共鳴しました。今後、自由な環境下にある個人がどのように組織や他者と関わっていくのか、そのヒントがコミュニティに関わることにあるのかもしれないと締められました。このセミナーを通じて、改めてコミュニティ参加の意義を考えるよい機会となりました。

 

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■今どきの若手育成にひそむ『3つの思い込み』

続いてお話しいただいたのは林真理子さん。

IT/Webエンジニアの学習について若手育成に際し、教える立場の人が持ちがちな、独学で身につけるべき、自分の学習法が一番 、結局本人のやる気とセンスという思い込みについて「自分の役割に若手を育成する仕事を組み込む」という解決法を提示されました。その際に重要なのは「教えることで人を変えることが出来る」という信念のようです。

印象的だったのは、立川談志師匠の教え方には”行動の意味付けや価値を伝える”、”どのように行動すれば良いか、具体的に提示する”、”段階的に課題を提示する”のように、教える側のエッセンスが詰まっているとのお話。教わる側にも相応の心構えが求められるのは勿論ですが、教える側にも「人を教える」という行為で自身の仕事のブラッシュアップになるように、日頃から仕事への論理を持たなければならないと感じました。

多くの管理職が陥りやすい「今どきの若手育成にひそむ3つの思い込み」。それは、実務スキルは独学や自力で身につけたと思い込んでいても、実は「多くの人、さまざまな環境に育てられてきた」。また、自分の学習法が一番という思い込みも、本当は「時代変われば合理的な学習アプローチも変わる」のだということ。最後に、何事も本人のやる気とセンスの問題なのではなく、談志師匠の教えのように「教え方によってもその学習効果は大いに変わる」というレクチャーでした。要するに「教えられることがあるうちに、出しておくが吉」とのことで、なるほどもっともだと納得。いいお話を聴くことができ、たいへん参考になりました。思い込みには気をつけたいものです。

林さんのスライドシェアはこちらから

http://www.slideshare.net/hysmrk/3-techlion-vol25

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■日本におけるIT・Webエンジニアの『キャリア寿命』について

休憩の後スタートしたのは、「エンジニアtype」編集長の伊藤健吾さん。

技術者と編集者のキャリア形成の類似性という独自の切り口でお話を頂きました。選択肢は確実に増えているものの、一般的に管理職の方が給与が高いという評価収入面での現状や別の業務への興味等から提唱される”35歳定年説”もあり、いつまでも作り手サイドでいるのはなかなか難しいとの考えもありますよね。エンジニアtypeでは、中長期でキャリアを考えていくための特集や技術者目線の特集、直接相談できる場づくりといった取り組みを成されている伊藤さんは、日本ではIT・Webエンジニアで「コードで食べていく」ために必要なものについて、次のように答えました。

 

1)個人の努力で、技術情報を得る物理的なタッチポイントを増やす

2)自分の売りにつながる、課題解決を行う、新開発職を開拓(会社に進言)する

3) 1で努力し2をやってもダメなら転職するしかない!

 

3)について、結局は企業は社長が動かしていく、いわば社長のものですが、勤める人間としては、自分の希望に合うような企業・社長を選ぶという抵抗もできるというのが面白いところでありますね。

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■15世紀の印刷革命から考える21世紀の出版
最後に登壇されたのはアスキードワンゴ編集部 編集長の鈴木嘉平さん。

紀元前のパピルスや羊皮紙、印刷革命といった出版部門の歴史を振り返ると、文字の発明や活版印刷という新しい技術が生まれるにあたり、価値観やコミュニケーションが変化してきたということ。その中でも15世紀の印刷革命は知識の爆発的増大を生み出して当時の秩序を覆し、ルネサンスや宗教改革といった歴史事象の発生を促したそうです。インターネットが一般化して生活スタイルや価値観が一変した、という我々の経験に非常に近しい物があるように感じますが、近い未来にも宗教改革のような世界規模の価値観の変革が進むのでしょうか。

2010年に電子書籍元年を迎えましたが、現状の電子書籍は未だ紙の本に近い「デジタルインキュナブラ」(インキュナブラ=初期の活版印刷本)の枠を出ていないようです。ワールドワイドウェブが著作権を捨て世界中で文書の共有という価値を実現させたように、電子書籍も紙の本にある”何か”を捨て、ネットワークの強みを活かすような新しい価値が付加されると力強く仰っていたのが印象的でした。

最後に、「未来を予測する最良の方法は、それを発明してしまうことである」という有名な言葉を紹介されました。これは「パーソナルコンピューターの父」とも「プログラミングもできる哲学者」とも呼ばれてい米国の科学者アラン・ケイの言葉で、彼は「未来を発明すること」に情熱を燃やし、そして実際その言葉通りの行動を示した人物として知られています。いつまでも紙の模倣をしていても始まらない。まず先に進もうという鈴木さんのポジティブな力強さがとても魅力的でした。

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4名の方々の演目には「世の中が変わるタイミングにおいて、どのように対応していくのか」という共通項があったように思います。技術からガラポンですぐには新しいものが生み出されない、という意味では今は技術の揺籃期ですが、技術に影響を受け価値観がグラデーションで変化していく中で個人が頭を使い、個人の幸せという切り口で解を探していくのが今最も求められているのではないかと感じる次第です。

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来場者からも「企業宣伝色のない、生の声がきけて楽しかったです!」「中身が濃い内容のものが多く面白かったです」「じんわりきました」「林さん、嘉平さんがすばらしかった!」「楽しく、濃い時間でした。ありがとうございました」「普段とは異なる楽しい時間をすごせました」「テーマに惹かれて参加しました。期待以上のものが得られました」「気づかされたことがいくつかあり、楽しめました」など、たくさんのお声をちょうだいすることができました。みなさん楽しんでいただけたようで、たいへん有意義な時間となりました。ありがとうございました。

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動画マーケティングって?!

TechLIONは来る4月で5周年を迎えます!

おめでとう・゚:*:゚ヽ(〃’▽’〃)ノ・゚:*:゚

 

こんにちは、スタッフの田中です。
突然ですが皆さま、コンテンツマーケティングでの動画コンテンツってどれくらい重要なのかご存知ですか?動画コンテンツという名前は知っていても、マーケティングでどのような位置を占めているのかわからない、という方も多いのではないでしょうか。

今日はちょっとマーケター寄りの内容なんですが、動画コンテンツの動向を少しお伝えできればと思います!無題2

 

現在Webメディアは賑わいを見せており、今後さらに活発化していくでしょう。

その中で必要となるのは、「動画コンテンツを用いたWebメディア活用を行っていくこと」!

 

動画は、コミュニケーションツールとしてとても有効な手段なんです。それは、情報の受け手を視覚的に引き付け、文章では分かりづらいメッセージも簡単に伝えることができるから。

また、YouTubeやニコニコ動画などを見てもわかるように、動画は「再生回数」「Good数」「コメント数」といった指標がハッキリしていますよね。そのおかげで、PDCAを回していく設計やKPI(目標に対しての成果を計測するための指標となる数値)の測定が比較的カンタンであり、一つのフローでの計画が立てやすいのです。今後は閲覧環境が整備されていくこともあり、急速に動画コンテンツの重要性が高まっていくようですね。

このような現状もありますし、動画コンテンツには、「ユーザーが無料で使用出来る」、「スマートフォンに対応している」、「動画として検索されやすい」、「自社メディアとして発信出来る」という利点もあります。つまり動画コンテンツを持つことは、大きなメリットになるのです!

 

現在企業に使われている動画はどのようなものかというと、「商品の機能を説明するための、動画を用いたPR」 が一番多く、続いて「動画を組み込んだプレスリリース」、「PRメインの動画コンテンツ」となっています。ちょっとお堅い印象がありませんか?

これまでは、このような機能説明や広告用、プレスリリース配信といった“マジメ”な動画が一般的でした。ですが今後は、現在までのものとは違い、「話題性」のある動画コンテンツが注目されると見られています。

例えば、「話題性」のあるものの一つとして、森永キャラメルの動画コンテンツを考えてみましょう。(参考URL https://vine.co/v/MwmDJM2POeq

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これは自社のキャラメルを使って、「6月10日は、キャラメルの日」とPRしている動画です。動画サービスサイト「Vine」のコンテンツを使い、6秒の短時間動画で伝えたい内容をわかりやすく表現しています。「Vine」の自動ループ再生を利用しているのですが、シンプルなコピーを繰り返し見るので、見ている方も記憶に残りやすいですよね。

 

TV・新聞・雑誌など多くのメディアの中でも、企業が露出獲得に一番力を注ぐメディアは、Web関連のものであるという話があります。そういったことからも、今後の動画メディアの中心はWeb(PC・スマホ・タブレット・アプリ・ソーシャルメディア)になると考えられるでしょう。Webのなかでも、今後の動画メディアの中心としてSNSが注目されていますので、企業のSNS活用がますます活発になっていくという予想です。
そこで、今後は動画を用いたWebメディア活用について戦略を立てていくことが必要になるのです。

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最後になりますが、もう一つ嬉しいお知らせです♪
TechLION vol.25のチケットを発売開始しました!

日時は【2016年4月13日】、 場所は六本木のSuperDeluxe です。
5周年の節目に、スペシャルなゲストをお迎えして準備を進めています。

和田嘉弘さん、林真理子さん、鈴木嘉平さんが参戦決定!
あと一方の発表が楽しみですね◎

vol.25についての詳細、そしてこれからの最新情報については
vol.25のページをご覧ください。

次回のリレーバトンブログは、星 春菜さんです!
よろしくお願いします♪

■参加申し込み方法

  • 料金パターン1(事前予約・事前支払) 2,700円(1ドリンク700円分込)
  • 料金パターン2(事前予約・会場支払) 2,700円(1ドリンク700円分込)
    (当日受付にて現金をお支払いください)
  • 料金パターン3(予約なし・会場支払) 3,200円(1ドリンク700円分込)
    (事前予約で満員となった場合、ご入場できなくなる可能性があります。あらかじめご了承ください)

 

(σ・ω・)σ事前予約フォーム

TechLION vol.25

 

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【EC・決済最新動向】TechLION vol.24報告

 

こんにちは、レポート担当の田中です。寒さがいよいよ厳しくなってきましたね。

さて、1月14日(木)に、TechLION vol.24が開催されました。  今回のテーマは「EC・決済最新動向」。Webショッピングが当たり前となった今、皆さんにも馴染みが深いテーマではないでしょうか。

 

それでは早速、当日の模様をお届けしようと思います!

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■日本におけるFintech事業への関わり方について

 

最初の登場はえふしん/藤川真一さん。

BASEでCTOとして開発者向けのオンライン決済サービス提供といった分野でご活躍をされているえふしん/藤川さんに、日本におけるFintech事業への関わり方についてお話しいただきました。

ビットコインやブロックチェーンといった既存のシステムに取って代わるようなFintechの技術は、リアルな通貨そのものを変える可能性がありますが、実現化・普及には与信の難しさという課題を解決しなければならないとのこと。日本人の慎重な性格や、既存の金融システムですでに消費者とシステムの相互信頼関係が構築されていることを考慮すると、新たな参入にはそれなりのコストを覚悟しなければなりませんよね。確実な成功のためにはビジネスロジックとテクノロジードリブンだけでなく、与信管理や個人(法人)の意思決定をいかにサポートするかという観点が必要になるのでしょう。

印象的だったのは「楽天カードはFintechビジネスの教科書」というお話。楽天カードは低い審査条件が特徴的で、比較的作りやすいクレジットカードであることが知られています。Fintechビジネスの対象となるのは個人や低所得者層のユーザー・中小企業への融資が中心であることから、入り口を広くとるという点で近しいものがありますね。また、楽天カードには途上与信の厳しさといった特徴があり、ユーザーは確実な支払いの継続が求められるのですが、このシビアな特徴もFintechビジネスの成功に求められる要素でしょう。そういった意味ではBASEはシンプルで小回りが利くため、モノを売るということへの広い入口になりえ、誰でも確実に支払いができるという理にかなったインターネットビジネスであるように感じました。

 

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■ECのダークサイド カード詐欺の実態と対策

続いて登壇したのはかっこ株式会社の亀山 誠さんと稲数 裕之さん。

ECサイトのダークサイドと題して、「不正」に対する基礎知識や具体例、備えるためのノウハウをお話しいただきました。

近年、不正ログインだけではなく、不正送金やポイント交換などが多発し、社会問題化しています。その手口としては、フィッシングサイトや偽ブランド販売サイトから入手したID・パスワードを使ってクレジットカード情報を得ているとのこと。まるでルパン三世の様な巧妙な手口ですね。実演していただいた例では、実際に検索上位にヒットしたサイトが実は偽ブランド販売サイトであり、個人情報を登録すると全て外へ流れてしまう仕様になっていると解説を頂きました。

被害を防ぐには、相手側は私たちが想像しているより賢く、いつ騙されるかわからないという危機感を持つことが大事であると感じました。例えば偽ブランド販売サイトにはサイト内の文章などが不自然だったり、安すぎる価格設定と言った特徴があるとのことでしたが、こういった特徴はセキュリティについてのプロでなくても注意できますよね。近年では自主的な不正対策だけでは対応しきれないケースも増加中であるので、内製化をして人的にカバーするだけでなく企業間でのブラックリスト共有であったり、名前や住所のファジーなマッチングといった対応策を講じる必要があると締めくくられました。それでも、初回被害を防げない、同一ユーザーが情報を変えてくるなど対応が難しいケースが存在する現在、被害を拡大させないための専用システムの導入検討が必要でしょう。

 

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■ワールドワイドなソフトウェアECについて

最後に登場したのはact2 の加藤さん。

ワールドワイドなソフトウェアECと題し、ソフトウェアの越境ECにおける課題や展望についてお話いただきました。

現在は、デベロッパーと消費者の間にMac App StoreやAmazon download、Microsoft Storeといった各プラットフォームがダウンロードサイトを用意しています。このような大手のダウンロードサイトでは、新たなソフトウェアをリリースしても上位のアプリに埋もれてしまって目立たないことも多いのだとか。そのため最初から大手のストアに入らないベンダーさんもいらっしゃるということです。メジャーなプラットフォームに頼らず自社サイトでのダウンロード販売を行う場合は、売り上げにつなげるのが難しいという難点がありますよね。ECの仕組みを作っただけでは認知度が低いままで、消費者まで届かないこともあるのだとか。そういった場合、どのようにターゲット国のユーザーに訴求していくのか、ECサイトでのマーケティング法も検討する必要があると感じました。

個人的に共感したのは、販売インフラが整うことでユーザーにより良いサービスが実現可能であるということです。例えばセッションの中で触れられていたDigital Riverが提供するMyCommerceといったシステムは、世界規模でのビジネスに向けてパッケージ化されているので、こういったシステムを利用することで効率的に販路創出や法令遵守といった課題をクリアできるのだとか。ほかにも、Shinobi Defense Platformのようにすでに積極的に世界展開をしているソフトウェアを扱っているからこそわかる視点でお話いただきました。加藤さん曰く、世界を視野に入れ売り上げを伸ばそうとする場合は、言語や日本と異なる税制度といった様々な壁を乗り超えなければなりませんし、コンセプトメイキングの時点から世界展開を考える必要があるとのこと。ユーザーに響くコンテンツを作り込み、売るためのチャネルを確立させ活用することでサービスが消費者に届くのですね。

 

■試合後のコメント

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白熱したセッション・パネルディスカッションが行われあっという間に時間が過ぎていきました。参加されたBASEのえふしん/藤川さん、かっこの亀山さん・稲数さん、act2 の加藤さんからコメントを頂いているのでお送りします。

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えふしん/藤川さん

BASEの藤川(えふしん)です。今回、ECの話で打診をいただいたのに、年末、メディアを通じてFintechに関する話が突如盛り上がり、話をした内容がFintechの話でした。これまでECに長らく関わってきた経験から言うと、ECの話は地味でなかなかイベントとして成立しません。そういう中で、今回企画が成立したのはTechLionというコミュニティがあったからですし、それが年末を通じて、イベントの内容がタイムリーなFintechにまで昇華したのは、いわゆる時代性のタイミングを掴むコツそのものだなと思いました。

Fintechをスタートアップ視点の技術的なうまみとして紐解くと、ブロックチェーンというハッシュを活用した新しいプロトコルや、データ解析、機械学習、AIなどがアプリケーションのバックボーンとして存在しています。また、お金を扱う仕事ということで、スピードとミッションクリティカル製を実現するスピードと安全性が求められますが、そうは言っても、言うほど特殊な技術は多くはありません。ある意味「あたりまえの技術の集大成」としての応用事例の一つだと捉えてもらえるとよいかと思います。
こういうビジネスへの関わり方についてはイベントでも話した通り、技術だけでビジネスが成り立つような世界ではないと思います。しかし、間違いなく技術者を求めている世界ではありますので、もし興味があるようでしたらFintechに是非ともチャレンジしてみてください!

>FinTech分野はテクノロジーによるイノベーションが必要だと思われがちですが、成功例は、えふしん/藤川さんがおっしゃるとおりにある意味「あたりまえの技術の集大成」がベースに積み重ねられたもので、その基盤にアイディアが付け加えられたのかもしれませんね。

 

亀山さん

来場者の方々にとっては普段あまり馴染みのないであろう、EC決済の裏側や不正についての話をさせてもらいましたが、非常に興味を持って聞いていただき、関心の高さを感じました。今後もし不正対策に取り組まれる事がありましたら、今回の話が少しでもお役に立てれば嬉しく思います。

また、フリートークでは、ECや決済の未来について面白い議論ができて非常に有意義でした。特にブロックチェーンについては、これだけ切り出して、続きの議論をやりたいくらいでした。お酒を飲みながらということもあり、雰囲気も良く、楽しい時間を過ごせました。

>クレジットカード決済や後払い決済が悪用されるポイントなど、リアルに今後起きるだろう問題についてお話いただけて、聞き手としても危機感を持ちつつ勉強することが出来たと感じます。

 

稲数さん

「EC・決済最新動向」というテーマにおいて、便利なサービスの裏側に広がるダークサイドについてお話ししました。そこに向き合う不正対策は、話としては興味を持たれる方が多いものの、実業務としてはどうしても後回しになりがちな分野です。今回目指したことは、後回しにすると何が起こるかをお伝えするために、今起きていることをつかんでいただくことでした。本当であればもっと詳しくお話ししたいこともあるのですが、不正対策はその性質上あまり公開できないことも多く、悩みどころでした。もしご興味ある方は、かっこのWEBサイトからお気軽にご連絡いただければ幸いです。

>実例も交えつつのセッションで対策が遅れるとどうなるか、身につまされました。後回しになりがちな分野だからこそ、手遅れにならないうちに対策を講じておきたいものですね。

 

加藤さん

Face to Face が、人間的には基本なのだなあとあらためて痛感いたしました。

われわれの仕事は、ややもすると、コミュニケーションにおいて、電話すら怠り、たった一通のメールで終わらせてしまうケースが目立ちますが、あらためて反省した次第です。また次回、(オーディエンスの一人として)是非とも参加させて頂ければと思っております。

>仰られるように、特に技術的な分野では、こういったFace to Face による双方向でのセッションが重要ですね。一人でなく『みんなで』行うことで、新たな気付きやアイディアが生まれていくのだと思います。

 

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次回TechLION vol.25でTechLIONは5周年を迎えます。

2016年4月上旬、会場は変わらず六本木SuperDeluxeにて開催予定です。

キーワードは5と25と100。

次回の4人(予定)で出演者100人達成です!続報をお待ち下さい。

 

追加情報は適時更新いたしますので、

引き続き当ウェブサイトのチェックをお願いいたします!

 

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Facebook本社に訪問してきました!&今週末は出張版!

こんにちは!ウェブ担当の田中です。
少し前の出来事なのですが、今年の9月にシリコンバレーに出張に行ってきました。

その際にGoogle社やFacebook社、Twitter社など様々な企業様を訪問させていただきました。

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Facebook社訪問の際には、投稿への「Dislike」ボタンの設置やイベントページの新機能について本社の方から詳しくお話を伺うことができました。現在は「Dislike」ボタンの実装の代わりに、顔文字を使って感情を共有する「Reactions」ボタンのリリースが明らかにされていますね。10月上旬にFacebookのCEOマーク・ザッカーバーグ氏が自身のFacebookページで投稿しています。

今回はその「Reactions」ボタンについてや、またイベントページの新機能について現地で私が学んできたことを、皆さまにお伝えしようと思います。

 

■Facebook、「Dislike」ボタンではなく「Reactions」ボタンの設置に踏み出す

FacebookのCEOマーク・ザッカーバーグ氏は、「いいね!」などのプラスの感情以外の共感を表すための機能として、「Dislike」ボタンを導入を考えていると公表して一時世間の注目を集めましたね。9月のFacebook社訪問の時点では、この「Dislike」ボタンの導入が前向きに検討されているというお話をされていました。「Dislike」ボタンは、投稿に対しての「いいね!」だけでは表現できないマイナスの感情への共感を示し、「残念だね」「辛いね」と言った感情を表すために使用するものということだったのですが、今年の10月に「Dislike」ボタンではなく、従来の「いいね!」に加えて楽しい・驚き・悲しみといった数種類の顔文字アイコンが「Reactions」として追加されることが発表されました。アイルランドとスペインでテスト的に公開された後に、全世界のユーザーに公開されるそうです。ではこの「Reactions」ボタン導入で何が変わると思いますか?

今までFacebookは中心的機能として「いいね!」ボタンと「シェア」を持つ、比較的ポジティブなイメージを持つプラットフォームとして使われてきました。Facebook本社は「Reactions」ボタンの設置がユーザー間により多様な感情を含んだコミュニケーションを促すとの方針を打ち出していますが、ボタンの導入によりこれまでの使い方とは異なる、新たなリーチが生まれるとも考えられます。

・”ポジティブ”だけじゃない投稿が可能に

今までの”ポジティブオンリー”なFacebookのイメージから一転し、一層多様な投稿が可能となりえます。

例えば、明るくないどちらかといえばシリアスな投稿も、「Reactions」ボタンがあれば提供しやすくなりそうですよね。ネガティブな投稿に対してもプラットフォーム上で表現できる感情が増えるので、コミュニケーションの幅が広がり、より日常的に使えるツールになることでしょう。

・新たな評価指標に?

今までにもFacebookでは「いいね!」の重要性が低下したり、注目すべき数値がファン数からリーチ数・クリック数へ転じたりといった、評価指標の変化がありました。このように、「Reactions」ボタン登場によって新たな価値バランスが生まれることも十分に考えられます。リーチ数・クリック数を向上させるため、どのようにユーザーの関心を投稿に惹きつけるかという問題について、ポジティブな投稿だけでは出来なかった遡及法の可能性も広がります。こういったボタンがあることで、あえてマイナスな出来事も投稿できると考えると、活用の幅も見えて来ます。

例えば、このようなプロモーションとしての使い方はどうでしょうか。

「改善しているけどまだ完全ではない状態」「普段みせたくないような裏事情…」こういったネガティブな状況をはあまりみせたくないものですよね。それをあえて見せることで、真摯に受け止め努力を怠らない姿勢を表現するといった意味の投稿になります。もちろん裏事情やネガティブな状況とはいっても、それほどヘビーなものでなくても大丈夫です。飲食店で料理を焦がしてしまったという場面や、商店で発注ミスをしてしまったという場面のような、比較的小さなことでかまいません。投稿がスルーされずに「Reactions」ボタンのいずれかが押されることで、投稿へのエンゲージが高まり、結果的に活気あるページとしての評価にもつながっていく訳です。もちろんネガティブな投稿でも、対処が素晴らしくファンやユーザーが共感できた場合は、「いいね!」を押してもらえます。「いいね!」なのか「Reactions」を押すのか迷うケースも考えられますが、それは個々の判断に任せどちらでも押してもらえれば、ファンとの交流が活発化します。十分に活用するメリットはありそうです。

 

■Facebookで招待された「イベントページ」を見ていないと相手に分かる機能が搭載される!?

これは時期が未定なのですが、Facebookで招待された「イベントページ」を見ていないと他の人に知られてしまう、という機能が実装される予定だそうです。ご存知の通りFacebookでは「イベントページ」を作成するにあたり、イベント開催情報を発信するだけでなく、他のユーザーを招待したり、出欠の確認をとったりすることができます。

今回搭載される機能はイベントに招待された人が「イベントページ」を見たかどうか分かってしまうもので、イベントの作成者だけでなく他に招待された人サイドにも、自分がイベント告知を「見ていない」ということが分かってしまうのが特徴の一つです。

この機能を使えば、「イベントの告知を送ったのに、皆からの反応が悪い…」そんな場合の原因を探って、今後のイベント時の工夫や対策を考えることができます。そして告知を送った後の反応までしっかり追いかけることが出来るようになります。すぐにできる参加率対策の事例としては、以下があります。

 

【タイトルのつけ方】

タイトル次第でイベントの参加率が変わることが、機能の追加で目に見えてわかるようになります。そこで、タイトルに数字を入れる、なるべく短いものにするといった様々な工夫行ってみましょう。例えば、【注目!100人集客のイベントを開催する方法とは!】一目見ただけで、招待された側の参加意欲が湧くようなタイトルが理想的ですよね。

 

【友だちのツテを活用】

参加者も通知が行くことで事前に他の参加者を知ることが出来るので、参加する友人づてにイベント参加やページの閲覧を促すこともできます。

 

【クエスチョン機能】

クエスチョン機能を使ってイベントへの質問を受付け、事前に不安点を解決させ、参加率を上げるといった工夫もできます。また、メッセンジャーといった他の機能との併用で参加者とより密にコミュニケーションをとることもできるでしょう。

 

このように、参加率を上げるためにいろいろと施策が考えられます。機能の追加で「この人参加していない」ということが周りに分かってしまうことで当人は不都合を感じる場面もあると思いますが、主催者側には効果的に使えるメリットも十分ありますよね。

ラインの既読スルーと通じるところやプライバシー的な観点からも、この機能については賛否両論あるところでしょうか。しかし、イベント主催者はしっかり告知が届いているかは気になるところですよね。

受け取った側がどのような返答をするかは別として、しっかり情報が届いたかどうかが把握できる事はメリットです。

もしこの機能が常設されれば、招待された方は、半ば強制的にページを見ざるを得ない状況となるかもしれませんね。機能の実装に即して、イベント内容や告知方法を改めて創意工夫していきたいところです。

 

以上。少し長くなってしまいましたが、今回の出張レポートでした。いかがでしたでしょうか?

今回の出張は、私にとって様々なことを吸収できた、とても有意義なものになりました。

◇ ◇ ◇  ◇ ◇ ◇  ◇ ◇ ◇  ◇ ◇ ◇

 

さて、2015年のTechLIONはまだまだ終わりません!12月19日,大阪産業創造館で行われる「まにまにフェスティバル(まにフェス)P4」に,「TechLION大阪まにフェス出張版」が参加する運びとなりました!出演者に瀬口理恵さんが加わりました!

■プログラム

■参加申し込み方法

事前申込はありません。会場へお越しください。

 

そして、2016年最初のTechLION vol.24は1月14日(木)。

「未来のEC」をテーマに、3組のゲストスピーカの方々が充実したセッションを繰り広げてくれることでしょう。
お申し込みは下記よりどうぞ。

■参加申し込み方法

  • 料金パターン1(事前予約・事前支払) 2,700円(1ドリンク700円分込)
  • 料金パターン2(事前予約・会場支払) 2,700円(1ドリンク700円分込)
    (当日受付にて現金をお支払いください)
  • 料金パターン3(予約なし・会場支払) 3,200円(1ドリンク700円分込)
    (事前予約で満員となった場合、ご入場できなくなる可能性があります。あらかじめご了承ください)
  • 事前予約フォーム
    TechLION vol.24 ~EC・決済最新動向~

 

次回の担当は高坂さんです。よろしくお願いします!

 

 

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【10年後の生活を支える最新IT動向】TechLION vol.23報告

【10年後の生活を支える最新IT動向】

 

こんにちは、レポート担当の田中です。最近めっきり肌寒くなってきましたね。
そんな寒さを吹き飛ばすようなアツいイベント、TechLION vol.23が10月20日に行われました。京都に遠征した前回から、再び会場を東京に会場を移しての開催です。

それでは早速、当日の模様をお届けしようと思います!

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●Connect Everything~myThingsが目指すつながる未来~

トップバッターを務めるのは山本学さん。
Yahoo! JAPANが取り組む「myThings」の開発に携わり、現在はエバンジェリストとして活躍している山本さんがIoTや「myThings」の今後について説明してくれました。

「myThings」とは様々なアプリやサービス、IoTデバイスの機能を組み合わせて
自分の課題解決や新しいライフスタイルを実現できるサービスです。例えば「myThings」上でメールと天気情報を組み合わせれば、雨が降りそうなときに通知を受け取ることができる。知りたいタイミングで欲しい情報が手に入るのってとても便利ですね。

Web×Webだけでなく、IoT機器やスマートウォッチなどのWeb×モノの組み合わせも可能なのが大きな特徴の一つ。現在はYahoo! JAPAN関連のサービスやFacebookやYouTube、Evernoteなど32種類のチャンネルに接続が可能ですが、つながるサービスの種類は今後も続々と増える予定なのだそう。今後も追加サービス次第と自分の組み合わせ次第で新たな発見ができそうで、運用側だけではなく、利用者側もワクワクしながら使えそうですね。山本さんも「「myThings」アプリは使い方次第で小さな粒の日常課題を解決できる。アプリ上の設定で組み合わせができるので、全くWebの知識が無い人でも自分でモノとモノを″つなげる″楽しさが味わえる、画期的なサービスです」とのこと。

また「myThings」を「これからできあがるモノと今までに作られたモノをつなげるプラットフォーム」として、つながりを利用者や町にまで拡大させ、利用者の快適で安全な暮らしをサポートしていきたいとの抱負も聞けました。町と自分がつながるというと、規模感の大きさになんだか圧倒されそうです。山本さんは災害発生時の避難経路確認など例に挙げていましたが、他にも通勤中や買い物中など、様々な面で実生活に役立てることも可能でしょう。

つながりの拡大を実現させるため、現在は「myThings」経由でインターネットにつながっていないモノやデータをつなげる試みも行われているのだとか。
現状自作ガジェットなどからもWebの情報をデバイスに、デバイスがセンシングした情報をWebへと相互の情報のやり取りもできるということで、ハードからソフトに入る技術者の人でも使いやすそうですね。山本さんは「この機能を使って新たなIoTデバイスをプロトタイピングしてほしい」とコメントしています。ラズベリーパイなどを用いれば、それこそ自分で工作をするような感覚でIoTデバイスを作ることができるので、あまり知識のない人のIT技術に感じる敷居を下げるような効果も持っているように感じました。

「myThings」はモノやサービスが従来持つ機能を拡張し続けることができるプラットフォーム。そして新しいモノを生み出す手伝いやあらゆる生活シーンをつなぐことで、現実世界の課題をIoTという形でWebを使って解決できる可能性を秘めていると締めくくりました。

 

●HTTP/2: ぼくたちのWebは何が変わる?

続いて登壇したのは株式会社レピダムでシニアプログラマとして認証認可やデジタルアイデンティティなどを専門としている前田薫さん。現在話題のHTTP/2について概要を話していただきました。

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今年からRFCとして公表され使われるようになったHTTP/2ですが、現在でもユーザが知らず知らずのうちに使っているとのこと。世の中の巨大サービス、例えばGoogleやFacebook、Twitterはすでに対応しており、Firefox やChromeなどのブラウザでも対応済みであるようです。

 

HTTP/1.1とHTTP/2との違いを簡単にまとめるてみると、プロトコルがテキストからバイナリーに変わり、セキュリティも強化されたプロトコルになりました。マルチプレキシングが可能になったので、HTTP/1.1が一つのTCPコネクションで一つのリクエストしか処理できなかったのに対しHTTP/2はリクエストが複数処理できるように。他にもプライオリティー制御やサーバープッシュの機能の追加により、リクエストレスポンスのセマンティクスを保持したまま性能の改善が見られるそう。

ではHTTP/2の導入後、ブラウザ体験としてどのように変わるのか。
まずHTTPリクエストの通信が早くなるので、Webページの描画が早くなります。また、画像やCSSなどの取得時のプライオリティが選択できるようになり、状況に応じて ページ内要素のダウンロード順をコントロールできるようになりました。これは体感時間にして、0.5~1秒ほどの反応の改善がみられるそうです。しかも通信速度が遅いネットワークほどその違いが顕著に出てくるというので驚きですね。マルチプレキシングにより接続の数が減るので、自然にネットワークリソースの効率化が図れトラフィックの軽減にもつながります。
このように気が付かないうちに、Web環境がかなり便利になってくるのですね。
ページ離脱の阻止など、Webマーケティングにも影響を与えそうな印象を受けました。

続いてHTTP/2に移行するに際して、技術者側が考えておくべきことを説明していただきました。HTTP/2に移行するメリットとしては、まず先ほども言ったようにページの表示が早くなる。またTCP接続数が少なくなるので、フロントサーバー数の削減にもつながるということがあります。これだけで大きなビジネスメリットですよね。

デメリットとしては、対応サーバーへの移行(Apacheなど)やTLS前提なのでhttpからhttpsへの移行が必要になってくる。また、HTTP/1.1時代の工夫のundoが必要になるとのこと。HTTP/1.1での工夫やメリットが2だとデメリットになることもあるのだとか。技術者側としては、HTTP/1.1と2が混在する環境で相手が何で来るか考えていく必要がありますね。前田さんの予測としては、「まだHTTP/1.1は使えるので、HTTP/2への移行については当分急いでやる必要はない。しかしプロトコルはどんどん進化するので早め早めに対応したほうが得です。のほほんとしているといつか取り残されてしまうかもしれない」とのこと。

最後にhttpの次に何が起こるかということについて、プロトコルの拡張仕様やプッシュノーティフィケーションの実施、HTTP/3にも話が及びました。HTTP/3についてはアイディアを出していく段階だそうなので、気になる方は「http workshop http ideas」で検索をお願いします。トランスポートの改良について、リクエストレスポンス過程のロスを自分で処理しカーネルの仕事をアプリ上で行う機能を持つQUICにも少し触れ、UDPベースのHTTP通信についての展望を述べるという形でセッションを締めくくりました。

技術者側として、今後どのようにWebサービスが変化するのか流れについていかなければならないと繰り返し言われていたのが印象的でした。

 

●パーソナライズが加速するメイカーズムーブメント

休憩を挟んで、3番目に登壇したのは、株式会社Cerevo で広報・マーケティングを担当し、コミュニケーションデザイ ナーとしても活動しているあくやんさん。

あくやんさんが所属している株式会社Cerevoは、注目を集めるIoTの分野でさまざまな開発を行うハードウェアベンチャーとして、2008年に設立して2014年まで社員は10数名でしたが、2015年の今年になりIoTの波から約80人までに拡大したとのこと。しかも社員のうち8割がエンジニアという大変モノづくりに強い会社です。

今まで制作されてきたIoT製品は、皆さんご存知であろう、PCなしでもオンライン配信ができるデバイス「LiveShell」だったり、アプリ連携で変形するスマートトイなど、ユニークな製品が中心のようです。というのはCerevoの開発基準に「Global Niche(グローバルニッチ)」があるから。世界規模である、ニッチであっても確実に存在する需要を開発していくことが、独自で面白いモノづくりにつながるのですね。インターネットがあることで小さな需要一つ一つにリーチし、実現が可能になるということでマーケティング的にも大変興味深く、改めてインターネットが持つ力を見せつけられたような気がします。

そんなCerevoのモノづくりの拠点となるのは秋葉原にある「DMM.make AKIBA」。
総額5億円の機材設備を備えた、企業や個人がモノづくりするのにも便利な施設だそうです。ちなみにここでは、ほかにもダンサーさんやフェスにぴったりな、音楽にあわせて光る靴などの、遊び心のあるクリエイティブな製品が数多く制作されているのだとか。他にどのような面白い製品が作られているのでしょうか…。大変気になるところですね。

しかし、このようなものづくりの現場というのは、設備や環境、場所といった問題が大きく関与してきます。そのため、「DMM.make AKIBA」のような施設を使用しなければなかなか、オリジナルのハードウェア開発が難しいのが現状です。
では10年後のIoT動向は一体どうなっているでしょうか。
あくやんさんは「モノがつながるのも、つながるモノが作れるのも当たり前になり
必要なものが必要な時に作れる時代になっているでしょう」と結婚やキャリア形成なども含めた自分の未来年表とともに説明してくれました。

今後は個人の作りたいモノにあわせた開発モジュールや、キットが誕生して
Webやリアルなものづくりにおけるコストが低下することでもっといろいろなモノが作れる時代になる。そして誰もがモノづくりできるのが当たり前な状況のもとで生まれたIoTネイティブが生まれるだろうとのこと。「パーソナライズなもの、つまり自分だけが使いたい自分のためのIoTを誰もが作れる未来になっていくでしょう」とIoTが身近になる未来を現場の目から語っていただきました。自分が欲しいモノ・コト・体験ができたら自作してしまおうということ自体が今まで私たちに無かった発想ですし、そのような新しい観点を持つということで今後の世代は新しいWebサービスや画期的なモノづくりを行ってゆく余地がまだまだあるのだということに気づかされた、充実したセッションでした。

 

●IoTから”動き出す”技術

最後に登場していただいたのは、株式会社ユビキタスエンターテイメントで取締役副社長兼CTOを務めている水野拓宏さん。最近水野さんが興味を持たれているVRやドローンといった技術から、10年後の人間とITの進化についてお話していただきました。

水野さんはプログラマ出身で、ドワンゴに所属したりIPAにて天才プログラマー/ スーパークリエイターとして認定された経歴をお持ちの方。
ユビキタスエンターテイメントは「技術とエンターテイメントをコンテンツに役 立てる」と理念を掲げ、また「エンターテイメント=おもてなし」と捉えていることから、人を喜ばせるコンテンツを多数制作しているそう。最近、会社として関わったプロダクトには映像情報を取り込んだ地図サービス や、ぺんてるのラインマーカーに対応するスマートフォン専用アプリ「AnkiSnap」があります。開発した商品の中に共通するのは”エンターテイメント性”で、実用的で終わるだけではなく、付属すると製作品としての面白さが上がる機能も盛り込んでいるのだとか。

水野さんが最近はまっているものとして紹介した一つ目は「超4K実写動画ソリューション」。これはCGでなく実写であることで臨場感を実現させている技術で、CGとの組み合わせも可能であり8K動画を使ったコンテンツ作成も現在進んでいるそうです。

8Kほどの情報量にまで到達することもあるといいますが、そこまでの情報量になると、映像でも本物のようなアスファルトの質感、すれ違う車の文字までリアルに見えるというから驚きです。実際に超4K動画の秋葉原や初音ミクを見た人の感想は「そのまま仮想世界から帰ってこられない」「向こうにいる初音ミクと目が合って好きになった」など、映像への没入感を強く感じたという声も上がったとのこと。VRがディスプレイというより実態に近い域まで進化し、人間の心理を動かすレベルまで技術発達が進んでいることは非常に面白く、今後のさらなる応用の可能性が感じられますね。

二つ目に紹介していただいたのは、昨今何かと話題になっているドローン。水野さんが持参したピコドローン(※現物は自律しないタイプです)を会場で実際に飛ばすと、客席からも「凄い」「可愛い」との声が聞こえてきました。じつは制作ではラジコン的な部分もあるのですが、ドローンとラジコンとの大きな違いは自分で情報処理できるか否かという点にあるといいます。どういうことかというと、ドローンにはフライトコンピューターが入っているので、操縦者側があらかじめプログラムした情報や事前の操作情報をドローン側が維持 してくれる。そのためドローンの自律飛行も可能で、速度やフライト情報を事前にプログラムしてドローンに渡しておけば、コントローラーの電波が届かないで も飛ぶなんてことも可能だとか。さらに自分でアプリケーション作れるレベルにまで行くと、ただ飛ぶだけではなくドローンにさまざまな動作をさせることも可能です。「ドローンは情報処理することができる、つまり空を移動するコンピューターなんです」と水野さんは言います。実際に飛行コンピューター実験やドローン実験を重ねて可能性にフライトコンピューターやドローンに物を運ばせることで、一般の人にもロボットを操縦する感覚が味わえるようになるとは…。何だかドキドキしますね。

では、この二つの技術が持つ意味とは何でしょうか。
水野さんはVRを「人間が情報空間に介入する手段」、ドローンを「情報、仮想空間の存在の、実世界での機動力」と説明しました。Amazon Dash Buttonのようにコンピューターが実空間での動きを獲得しはじめ、最近発表された「SORACOM Air」「AWS IoT」のようにIoT向けのプロダクトや サービスの拡充が積極的に行われ、情報空間での動きの獲得が行われる。これからの10年でこのような実空間と情報空間の交差が始まる、というように締めくくっていました。

◇ ◇ ◇  ◇ ◇ ◇  ◇ ◇ ◇  ◇ ◇ ◇

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以上4名の方の熱いプレゼンテーションの後、セッションや懇親会を行ってTechLION vol.23は終了しました。10年後のIT動向という一本のテーマがあったため、IoTの進展でインターネットやIoTといったIT技術がより身近になり誰もが作り手や発信者になれ、自分のアイデアを形になし得る未来の到来がはっきりと見えたように思います。今後ツールやモジュールの進化とともにクリエイティヴなモノがどんどん現れる可能性が感じられました。

インターネットというツールがあることでニッチな需要や受け手が表面化する反面、面白いコンテンツだけが生き残れる、厳しい時代になっていくように思います。そのような状況下で、技術者はより個にリーチするモノを作りつつ、利用者側は、今後プログラミングなどを含めて、知的好奇心が強いIoTネイティブが現れるという意味でも、流れについていき必要性を感じました。

改めまして、スピーカーおよび参加者・聴講者、スポンサーの皆さん、ありがとうございました。

次回のTechLION vol.24は来年1月に東京で開催予定です。後ほど詳細情報が発表されますので、奮ってご参加ください!

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