vol.18報告(2/2)―未来がいくら合理化されてもコミュニケーションの大切さは変わらない

TechLION取材班のまつうらです。先週に続き、9/25に開催したTechLION vol.18のレポートをお届けします。

vol.18のゲストの皆様vol.18のテーマは「未来のライフスタイルとテクノロジー」。第二部では、お迎えした3人のゲストと司会2人の計5人が、このテーマに基づいた台本ナシのフリーディスカッションを行いました。

『やがてこうなっていくのではないか』、『将来はこんなことになっているのではないか』。ディスカッションが進むにつれ、現在とは異なった世界になるであろう未来の姿が少しずつ具体的に描かれていきました。しかし、それでも変わることのない普遍的なものとは。それでは後半戦(注1)の模様をご覧ください。

(注1)録画映像がありますのでの是非併せてご覧ください(第二部#2第二部〜エンディング)。(撮影協力:日本仮想化技術様)

■第二部 ジャングルバス.com

第二部第二部では4つのテーマについてトークが展開されました。ここではその中から2つのテーマについてなされたディスカッションを要約してお届けしたいと思います。

ウェアラブルコンピューティング

馮P:この間、アップル・ウォッチが発表されましたが、ウェアラブルコンピューティングについ聞いてみたいです。この手のものを既に使った事があるかとか、皆さんどう思われているとか気になります。
増井先生:塚本昌彦っているじゃないですか、だいぶ前からずっとウェアラブルで生活している……。彼とは昔同僚だったんですが、メガネをつけてアホかと思っていたらやっぱり全然流行らないし、突然何か知りたくなってググりたいというのもあんまり活用してるようには見えなかったし。私は腕時計とかすごく嫌いで、つけるの嫌なんですよ。本当はメガネも嫌なんだけど、よく見えないからつけている。よっぽどシンクロしないとつけられないんですよ。まあグーグル・グラスなんかは1日に5回くらいは便利かなーと思うんだけど、ちょっと使う気にならないですね。
瀬尾さん:自分の場合、ファッションに影響するものはあまりつけたくないなと。でもNike+でランニングする時にアップル・ウォッチで取れたら、その時は使おうと。色んな技術が何年かの周期でバージョンアップしてくるのでブレイクスルーが起こるんじゃないかと思いますけど、現時点ではまだ特殊用途という感じかなあと。
寺園先生:メガネや腕時計をつけたくないと増井先生がおっしゃっていたけど私もそう。あちこち置き忘れてしまって、後から大騒ぎしたり……。よく付け忘れるので、やるんだったら体に埋め込むとか、身体に無線LANが走っているとか、そこまでやらないとうまくいかないんじゃないかな。
瀬尾さん:一時的には生体に入れられても、人間の抗体の作用で膜が作られて機能しなくなっちゃうという話もありますし、そこをもっと恒久的にやりとりできるようなデバイスができた時に初めてウェアラブルの時代になるのかなあと。そこまでくるともう「ウェアラブル」と言わないのかもしれませんが。
寺園先生:宇宙飛行士なんかは例えば国際宇宙ステーションにいる時、人間の無重力の影響を調べるために、見られまくっているんですね。血圧やら心拍数やら、尿も採取して検査したりとか……。体にセンサーを埋め込むっていう方法もありますけど、外部からセンシングしてもいいわけですね。病院へ行かずともリモートで心拍数をずっと見張っていて、それがいきなり止まったら消防に通報するとか、そういうような動きが出てくるかもしれない。

2020年の24時間・2020年のスマホ

vol.18ゲスト馮P:これ聞きたかったんです。2020年は東京オリンピックがあるわけですが、最初の東京オリンピックがあった1964年と比べて、今現在は生活環境や活動時間ってかなり変わってると思います。では6年後はどうでしょう。特にITと絡めて。
寺園先生:私は、あんまり家の外に出なくても全てできるのが理想というか、通勤ラッシュは嫌ですね。会津に移ったのも、昔片道2時間かけて通勤していた時期もありましたが職住近接な場所がいいなっていうのもあってのことで……。さっき言った病院に行かなくてもセンサーで全部なんとかなるとか、問診もテレビ電話で受けられるとか、既に買い物はほとんどネットで届きますし。ほとんど家の中でっていう人たちが増えるかなあと思います。
増井先生:年を取ってくると特に重要な資源は時間なので、時間を無駄にしないことは大事ですよね。無駄にしないというか、長いと自分が思えばいいわけじゃないですか。一般的には年を取ると時間は短く感じられるという説がありますが、短いと感じるのはたいてい同じことを繰り返しているからで、人生gzipだと思うんですよ。昨日、今日と同じことやっていると、gzipのようにどんどん感じる時間が圧縮されてしまうけど、それは避けたい。それじゃどうするかというと、毎日違うことをすればいいわけですよ。……全然2020年と関係ないですけどそんなことを思っています。とにかく、何か違うことをやらないと。
瀬尾さん:6年後なので基本的には変わらないかなと思っています。ただ、知的な作業は先進国の人の特権のようなこれまでのイメージは変わるかなと。プログラムの学習コストとかどんどん下がってきて、物事に習熟する時間が昔に比べて増えていき、世界中で新しいことを考える人がどんどん出てきて、「ここまでできるのか」ってところにまでなってきました。
馮P:技術のコモディティ化なのかもしれませんね。
寺園先生:今逆に、何に時間がかかっているのかと考えると面白いですね。例えば掃除する時、昔はほうきだったけど、電気掃除機ができて、今はルンバができて……、主婦の仕事がぐんと減って家事や生活を変えましたよね。こうして考えると、瀬尾さんがおっしゃったようなクリエイティブな仕事に時間を割く人がもっと増えるかもしれない。もちろん、そうならないかもしれませんが。
馮P:でも増えた時間に何をしているかというと……
寺園先生:スマホゲームとかですか?(笑) それ知的生産じゃないですよね。一見楽しんでいるようですが頭は疲れているわけで、逆に怖いと思います。スマホゲーム作っている方がいたら申し訳ないですけど。
増井先生:ゲームに限らず、スマホ自体がダメでしょー。知的生産ができていないことは置いておいても、無駄なことを繰り返しているだけだし。そうすると時間を圧縮しているわけだから、人生を短くしているだけですよ。

MCs法林GM:2020年にはスマホってどうなってますか?
増井先生:あ、いい質問ですねー。2020年くらいになると、皆ジョブズの騙しから解放されているんですよ。だからみんなガラケーを使っている、と。(笑)
法林GM:僕には今作る能力はないけど、なんか別のものが出来ていて欲しいなあというのはありますね。
増井先生:正しいですよ。ぜひ作ってください。
法林GM:えー、俺が作るの!?
瀬尾さん:以前実際に話題にしたことがあるんですけど、まずスマートフォンを使っている姿がスマートではないという……。東横線とかでサラリーマンが疲れた様子でスマートフォンわざわざやっているんですよ。もっとシンプルなものがそろそろ出てほしい。

瀬尾さん:2020年には間に合わない、SF的な話ですけど……。AIが発達してAI自身が自分でプログラミングをするようになると人間の知的生産活動は飽和して要らなくなるかと思うのですが、そうすると人はそこでいう知的生産活動とはまた別の、かといって単純な労働とは違う別の何かを求めるようになるんじゃないかと。例えばコミュニケーションであったり……。その時価値を見い出されるであろう、その「何か」がこれから大事になっていくんじゃないかと考えています。
寺園先生:僕はけっこうウェットなところがあって、最後は人間同士かなって思います。最後は人間同士がハグをしないとコミュニケーションできないのかなっていう思いがどこかにあると思うんですね。家から一歩も出なくなると、逆に家から出て情報サービスを受けたいとか、たまには昔の長屋の生活にかえってみたいというふうに、欲求が出てきて、ずっとじゃないけど、昔の生活をしてみたいって思うようになるかもしれませんね。
増井先生:だからやりたいことは江戸の昔から変わっていないんですよ。旨いもん食いたいとか面白い話が聞きたいとか誰かと一緒にいたいとか……。今ウェブで一番流行っているのはコミュニケーションでしょ。人間生活にコミュニケーションが大事だっていうのも何千年前から変わっていなくて、それがそもそもなんですよ。それらを実現するために今スマホを使っているわけですよ。スマホなしに実現出来たら、スマホなんかいらないわけじゃないですか。世の中スマホベースで物を考えているでしょ。それはいけない。コミュニケーションが流行るのは間違いないんだからそれが一番大事だと思ってやっていればいいんじゃないでしょうか。

未来について語り合うと、それまでぼんやりとしか浮かんでいなかった姿がこんなにも具体的なところまで想像が巡るものなんですね。第二部を聴いていてそんな様子がとても面白かったです。しかし、技術が進歩してライフスタイルがいくら合理化されようともコミュニケーションが大事という結論に帰着するところもまた興味深かったです。ゲストの皆様、ありがとうございました。(下の写真は、毎回恒例の出場者記念撮影。写真にマウスを重ねると……)

■次回は11/25「2014年のセキュリティを振り返る」

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次回は、今年のセキュリティを振り返る。

次のTechLION(vol.19)、もうテーマが決まっております。「セキュリティ」です。4月にHeartbleed、そしてvol.18開催の直前に発覚したshellshockと、最大レベルのセキュリティーホールが、今年は2つも見つかりました。いや、まだ出てくるかもしれませんが……。

そこで、セキュリティー業界のゲストをお呼びして、2014年のセキュリティを振り返りつつ、一足早い忘年会を開催します。現在既にお一人、満永拓邦@JPCERTさんをお呼びすることが決まっていますが、さらに交渉中です。

場所は同じく六本木SuperDeluxe、開催日は11/25(火)です。詳細は決まり次第本サイトで告知致しますのでどうぞお楽しみに!

 

 

 

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